《究極の捕食者 ~チート融合スキルで世界最強~》第37話 死者の復活と覚悟
「ききき、今日は……お、お日柄も良く……こ、こ、この良き日に……」
ランページとの激闘を終えてから數日後。イデアもえてボルボルをしたり鬼ごっこをしたりして遊んで過ごしていた。東の森、ウルドの森連合《ジオサイド》の頭となった訳だが、別段仕事は無い。そう、無いのだ。
有能なサミュやコンボイ、孫リラたちが勝手に進めてくれるし、所詮は擔がれた神輿だ。俺の真の出番は、戦いということなのだろう。
だから、何かプロジェクトを任されているという事も無いのだが、一つだけ部下を使って調査させていたことがある。その調査結果の報告。目の前に立つのはスエットを著た金髪の痩せこけた青年だった。
そのは病的に白く、髪は油にまみれ、白目は走っている。
「えっと……あ、あわ……」
俺が何も言わないことを怒ったと思ったのか、あわあわと震えている。
彼の名はヴァン。吸鬼だ。絶佳やサミュと同じ、俺がヘルズゲートで復活させたモンスターの一。吸鬼といえばプライドが高いというイメージがあったが、コイツは違う。
常におどおどしていて、絶対に目が合わない。本人も、人と付き合うのが嫌だから、夜活したいから吸鬼になったという筋金りのコミュ障だった。
「別に怒った訳じゃないよ。ただ、キミのスキルの結果を教えてしいんだ」
「ひゃい!!」
彼、ヴァンパイアのヴァンの戦闘力はそれほどでもないが、かなり兇悪なEXスキルを持っている。
《ハッキング》。機を暴く最兇最悪のスキル。強力な分様々な制約や下準備があるらいしが、それは教えては貰えなかった。
融合して奪おうかとも思ったのだが、確実に奪取できる保障は無い。だから、一番知りたい報をとらせるまでは、コイツ自に頼むことにしたのだ。こんな態度だから勘違いされるかもしれないが、頼むと言っても脅した訳では決して無い。
俺は拷問のやり方なんて知らないし、手加減も出來ないしね。
「えっと……三回くらい殺されましたけど……ボソ」
「え、何か言った?」
「いいいいえええ? あ、け、け、結果でしたね」
「ああ。ガルム王子の狙い。それはわかったのかな?」
「よ、よ、余裕です。僕のスキルは、絶対ですので……」
弱気な態度だが、やはり封印されるほどの魔。自分の力には絶対の自信を持っている。
「で、で、では……お、おおおお話します」
こいつの喋り方だと理解しづらかったので、要約する。
5000年前。始めて異世界からやって來た勇者と共に旅をして、世界を救ったカロム。その後、何回も転生を繰り返し、今も世界の裏で暗躍を続けている。そんな彼の真の目的。それは死者の復活だという。
「えっと……それだけ?」
「ひゃい……」
俺は考え込んでしまった。いや、死者の復活。それは凄いことだ。何度も死に掛けから復活していたり、限定的に殺した奴等を復活させられる俺からしたらちょっと首を傾げてしまうけれど。
しかし、死者の復活か。そういえば黒崎が前に言っていたな。この世界には死者を復活させる魔法があると。
「あの……つつつ続きを」
そうして、ヴァンは語りだした。
ガルム王子の目的は《リブートコード》を出現させ、死者を復活させることらしい。
リブートコード。それはこの世界を作った前世界の勇者達、そしてこの世界の神達がこの世界を造るのに使ったアイテム。ランページから聞いたときは天地創造のおとぎ話アイテムかと思ったが。
ヴァンが言うには、製造方法はあるらしい。ローグランド王家に伝わる転生玉。そして、スキルレベルが《極》狀態に上がった《勇者の魂》のスキル持ちが必要らしい。
「ああ……なるほど」
全てが……繋がった。
ヤツが異世界召喚を繰り返していた理由も。
大場と共にスキルと魔の研究をしていた理由も。
そして、転生を繰り返していた理由も。
俺はあの日。クラスメイト達と初めてこの世界にやって來たあの日。姫川のスマホに表示された勇者の魂の文字を見て、歓喜していた王子の顔を思い出す。
そうか。ヤツはずっと探していたんだ。勇者の魂のスキルを持っている者を。ずっと異世界召喚をし続けて。この屋敷での研究だって、恐らくは魔の中から探していたはずだ。勇者の魂のスキル持ちを。そして、地下に封印されていた魔達。
あれは、恐らく勇者と戦わせる為にとっておいた魔なのではないか。大場は言っていた。ガルムの目的は新しい魔王の作なのではないかと。あの時は理解出來なかったが……今ならわかる。きっと魔王は世界を支配させたいとかではなく。
勇者に倒させる為に造ろうとしていたのだ。勇者が戦えば戦うほど、スキルレベルの上がる確立は増えるだろう。
勇者を強くする為の當て馬。それを造ろうとしていたのだ。
寒気がした。俺はずっとガルムから姫川を解放するために戦っていた。現に、大場とエッシャーを倒し、奴の計畫を妨害出來た気で居た。
けれど。
ヤツの計畫は全然邪魔出來ていないのでは? 俺と言う存在が……既に魔王の代替になっていないか? 神樹を打ち倒したとして。それで人間側と対立してしまったら。
きっとヤツが出てくる。姫川璃緒。勇者の魂を持つ。この世界の人々の為に、今も東の森で戦い続けている。まっすぐな目をしたが。
姫川は善意を利用されているし。俺の姫川への憧れも、利用されたという事か。
吐き気がする。
「あ、ああ、あれ。竜帝が黙っちゃった。あれ? もしかしていま、チャンス? コイツを倒すチャンス? ひゃはっ!」
「いや、全然チャンスじゃないから余計な野心は抱かない方がいい」
「ひっ!?」
怯え部屋の隅に逃げ出したヴァンを放置し、俺は部屋の窓を開け放つ。全てを姫川に告げるべきか。
彼に全てを告げ、イデアとの約束やジオサイドのみんなとの約束を投げ出し。クラスメイト全員でガルムを倒すか? いいや。刻印を通じて全てがバレてしまう。そして、神樹がある限りガルム陣営に勝つことは難しい。今更計畫の変更はありえない。
だとしたら。
俺は覚悟しなくてはならないだろう。ギリギリのギリギリまで。彼を救うまで。俺は彼の敵であり続けなくてはならない。
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