《究極の捕食者 ~チート融合スキルで世界最強~》第38話 何人がこの人を覚えているのだろう

舗裝された道を、俺はハーフデーモンのサミュと共に歩いている。ドワーフは手先が用で、凄い技力を持っていると聞いていたが、その完度は凄まじい。歩き心地でいったらアスファルトを超えているかもしれない。

「遠いな……」

何故俺が森の中の道を歩いているのか。それは隠れ里に向かっているからである。俺がランページと死闘しながら遊んでいた頃。森を調査していたエルフ達が発見したという隠れ里。

住んでいる種族は人間、魔族などバラバラ。元奴隷や人間との混など、表の世界で忌み嫌われ、追い出されて落ち延びた連中が集まった場所らしい。

畑と狩猟が中心の生活をしていたという。森を統一する上で、この隠れ里との友は避けては通れない道だ。渉には何故か絶佳が向かっていたらしいのだが、數日前から連絡が取れないらしい。行方不明という訳だ。何かトラブルがあったのだろうか。いや、あったのだろう。

だって絶佳だぜ? トラブルが起きない、訳が無い。

という訳で俺の出陣だ。コンボイでも良かったのだが、隠れ里の存在自、知らなかったらしい。ならば俺が行こうと名乗りを上げたというわけだ。暇だしね。

それに、できれば人間に近い形をしたヤツが出向いたほうが良いというのがこちらの考えだ。モンスターの姿で出向くと、相手に警戒心を抱かせてしまうかもしれないからね。

「ここから獣道にります」

サミュに促され、舗裝された道を外れる。し、名殘惜しかった。目にった獣道があまりにも険しかったとうのもある。こりゃ、確かに見つからないわ。そう思えるほど過酷な道だった。俺は今、普通のシャツとハーパンを著ているのだが、大丈夫だろうか。もっとちゃんとした裝備をした方が。

そんな心配をしつつ、山道を越える。

人のサミュと一緒で最初こそテンションが上がっていたが、事務的なやり取り以外全く會話が無い。

気まずい。ボッチだが會話なしの沈黙は苦手なのだ。何か話しかけてみようか。

「えっと、サミュはお金が好きなんだよね」

「ええ、まぁ。ですが、貯金とかが好きな訳ではないのです。仕事をし、労働をし、経済活をする事が好きなのです」

「へぇ。経済活ねぇ」

ピンと來ない。俺も地球に居た時はガチャ代を稼ぐためにバイトをしたこともあった。だからお金の大切さも、働く苦しさも知ってはいるつもりだ。しかし、サミュが見ているのはもっと遠くて広い景な気がする。

「俺は頭が悪いから、良くわかんないな」

「でしょうね。現在のジオサイドの経済狀態も非常に良くないです」

「え、そうなの?」

「はい。何かしら手を打たないと……」

「まぁ、そこら辺は任せるよ。素人の俺がやっても、上手くいかないだろうし」

「良いのですか? 私達六柱の事は、信用していないのでは? 自分で言うのもアレですが……いつ裏切るかはわかりませんよ?」

こちらを試すような視線で告げるサミュ。うん。信用はしていない。けれど。

「そうなんだけどね。ただ、頼りにはしているんだよ。生きって適材適所だからさ」

「適材適所ですか?」

「そうそう。昔先生に言われた事があるんだよ。績に1がいくつあってもいい。ただ、一つでも5を持っておけ。ってね。1を2にする努力なんて無駄だ。苦手なところは出來るヤツに任せる。自分は自分の出來る事をやればいいって」

黒崎。最悪の教師だとは思うけれど、いつかのホームルームで話していたこの言葉は、良く覚えている。それは教師としては間違った発言なのだろう。けれど、俺の心には何故か響いていた。

1を2にしている暇があったら4を5にしろ。5が一つで必要とされる人間に。5が二つあれば最強になれる。オール3が一番まずい。

そこで姫川が「私はオール5ですが何か?」とわざわざ挙手して、その話は中斷されたのだったか。

今ならわかる。黒崎が言っていたのは、何も績の話ではないのだろう。俺は誰にも負けないくらいの戦闘力を手にれたけれど。けれど、頭も神も普通の高校生だ。

だからこそ。

「お金の事はキミに任せるよ。そういうの、誰にも負けるつもりは無いんだろう?」

「ええ。もちろんです。寧ろ知りたいものですね。敗北というものを」

「……」

スゲェなコイツ。すぐに調子に乗る。面白い。

「ですが竜帝さん。今の話を聞く限り……」

「ん?」

「竜帝さんの5って……なんですか?」

「うーん」

「ウザさ、それとも気持ち悪さ……ですかね?」

「おい」

最後はともかく。俺の5か。それは難しいところではある。実際戦闘でなら誰にも負けない自信がある。いや、あった。だが、結局勝負のつかなかったランページとの死闘。さらに、戦闘のセンスや技はイデアには遠く及ばない。結局俺の戦い方は魔力とスキルによるゴリ押しだ。

だからこそ、もっと強くならなければならないのだが。

「う~ん、強さと言いたいけれど……ここは敢えて人かな」

「……ハッ」

鼻で笑われた!?

「竜帝さん。あなたは本當に面白い。私を瞬殺出來る力を持ちながら、それでいて隙だらけだ。そして、経済に関して私に自由にさせるなどと……はは」

えっと。何が面白いのだろう。珍しく、笑っている。サミュが。

「あなたは理解している。私を強制的に縛るより、やりたいようにやらせた方が、最終的に自分の利益になるということを。面白い。ああ、面白い。そして嬉しい。私が封印されたのは4000年前。その時、私は新しい通貨を開発し世界を変えようとした。だが、當時の抑止力によって阻まれた。悔しかった。私にもっと力があれば。もっと世界をかに出來たというのに。でも、今は違う。抑止力とすら渡り合うあなたの元で、存分に我が力を振るうことが出來る。素晴らしい」

「ゴキゲンだね」

「ええ、々取りしました。適材適所。実にすばらしい。あなたの言う事が本當だったら、私はこんな所に居る場合ではありませんね」

え、それってどういう? 彼の背から、スーツを突き破り、悪魔の羽が生えてきた。それを羽ばたかせ、飛び上がるサミュ。

「糞狐の拭いは竜帝様にお任せいたします! 私は経済で人間共を倒す。その準備に移ります! では!」

「では! じゃねーわ! おい、戻って來い! おーい……あー駄目だ。完全に変なスイッチがってしまった」

だがまぁ。悪いようにはならないだろう。さて。それじゃあ気は進まないが。俺は隠れ里を目指そうか。俺は険しい道を見てため息をつきつつ、ゆっくりと歩を進めるのだった。

***

過酷な獣道を進んでいくと、開けた場所に出た。そこは滝の流れる場所。まさに境といった絶景だ。この滝を昇って川沿いを歩いていけば、そこが隠れ里のはず。

「いやーなかなかに絶景。今度イデアや孫リラ達を連れてきてあげたいな~」

俺は滝壷を沿うように、滝へと近づいていく。飛び散る水しぶきが、歩き通しで疲れたに気持ちよくぶつかる。マイナスイオンをじるぜ。

「さて、あとは滝を飛び越えて……ん? なんか滝の様子がおかしいな」

なんだろう。滝の下。水が落ちてきてぶつかる部分。水の跳ね方が違うような。何か石でもあるのか……いや。あれは人間だ。人間が滝に打たれて修行しているのだ。

「むっ。そこに誰かいるのか。居るのは誰だ?」

滝の中から現れたのは。

「おっ。なんだ七瀬か!」

「えっと……狩野くん?」

滝の中から現れたのは、かつて一人で離したクラスメイト。半の狩野慎二(かのうしんじ)だった。

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