《異世界生活語》初売り・・・

早起きは三文の徳とか言うが、あまり変わらないかな?パッチテストも問題が無く、ピンクにもなっていない。

朝から屋に行き、脂を貰って処理を済ませて、一回目を煮たら、今日はこのまま放置する。

今日は何と言っても、膏の初売りをする日なのだ。

・・・いや初配りと言った方が良かったな、流石にあそこまで手伝わしたのだから、領軍と違い、初回は無料で配布する事にしたのだ。

これは、宴の時に周知してあるので問題ではなかったが、の兼ね合いのあったので、初日はまた回って伝えると言っておいたのだ。毎日家まで押しかけられても困るからな。

「おはよう座いま~す、今日からはじめるのでお願いしま~す」

井戸端に居た奧様達に聲を掛けて回る、四つ五つと井戸端を回ると、「後で行くよ」と皆さんに返してもらえる、ありがたい事だ。

あれだけ手伝って貰ったのに、サービスはそれしか無いのかって?まげわっぱのをリユースする事で、値段は抑えてあるが、良い香り付にもしたし、そのあたりで勘弁していただきたい、これからの生活がより良いものになるのだから。

「待ってたよ、エドちゃん今から行っても良いのかい?」

「これで帰るので、今からでも大丈夫です」

「そうかい、悪いけど、これから行かせて貰うよ」

「それじゃ、私も行かせて貰おうかね」

「は~い、大丈夫です。ありがとう座います」

ある程度面積のある土地だが、人口度が途轍もなく薄いので、すべて回っても聲を掛けた人數は、30人を下回る。

手伝って頂いた人も、顔がすべて覚えられる程度なので、もし手伝いもしていないのに、タダで貰おうなどという不屆き者が出ても対処可能なのだ。

おばちゃんABと供に家に帰ると、さらにCが待っていた。こちらも日中に用があって、朝のしか時間が取れないとの事だった。

「今持って來るね」と聲を掛けて納屋の中から、一回目処理の間を使って、詰め替えを行なった膏を持ってきた。

「えらく小さいね?」

「三日以上使えないから小さいにしてあるんだ。四日目になるとカチカチでもう塗れないから」

「そうなのかい、それと、そのは何だか変わってるだね。」

「魔法で作ったんだ。皆さんには手伝って貰ったから、は僕からの贈りです。次からは、を持ってきて下さい、中にクリームを足します」

面倒だと言い出されたらどうしようかと思ったが、皆言葉にはしないでくれたみたいだ。

朝食が終わった辺りから、お晝までは、母と姉の手を借りなければならないほどの大盛況、やはり小さい事を気にする人はいたが、前に作ったカチカチの蝋化したクリームを置いておいたので、母でも大きな問題にはならずに、説明して納得して貰ったようだ。

奧様達にも、アップルパインの香りは好評で、ミント香は今回は試供として置いておいたのだが、アップルパインの方が好評だった。ミントの方はし鼻に殘るじとの事だった。

かなり弱い香りだが、こちらの人にとってミントは、あまり馴染みが無いのだろう。

これとは逆に、晝過ぎに納品した領軍では、ミント香が好評で、魔が嫌がってくれるかなとの事だった。

用途が分かれてくれたのは、香草探しに明け暮れずに済むので助かる話だ。

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