《初心者がVRMMOをやります(仮)》誤魔化す方法

「ワンボックスカーこの車も先生が作ったんですか?」

本日の運転は、ディッチである。初めて出來た八人乗りの車ということで、試運転も兼ねているんだとか。

「あのね、カナリア君。『先生』って呼び方止めてくんない? 止めないと本名で呼ぶよ?」

「えぇぇぇ!?」

「ディッチ『先生』そんな難しいことを言わなくてもいいんじゃないんですか? カナリアは生真面目ですから」

「ジャッジ……お前ね……」

「しかも現役の教え子でしょう? 俺らだって現役時代は『先生』って呼んでたと思うんですが」

慌てふためくカナリアをよそに、ジャッジとディッチが仲良く話していた。

「……お前がそこまでいれこんでいるとはねぇ」

しみじみとディッチが呟く。

「分かった。カナリア君が俺を『先生』呼びにするなら、俺は君にこの世界VRでも勉強を教えるとしよう。それから『君』付けで呼ばせてもらう」

「いいんですか!?」

まさかVRの中でまで、勉強が出來ると思わなかった。

「……喜んでますよ。『先生』呼び決定ですね」

「くそっ」

喜ぶカナリアをよそに、ディッチは悔しそうだった。

「まぁ、いいじゃないですか。先払いで口止め兼ねていいもの貰ったわけですし」

「確かになぁ」

カナリアが渡したアクセサリー一式はディッチにも好評だった。

「カナリア君は気付いてないようだけど、何を作するにしても、存外MNDとか使うんだ。集中するからね。そういったものをUPする上にMP自回復なんて、作業中もクエスト中も外せないな」

ディッチが褒めるように言った。

「ディッチ『先生』は聖職者クレリックを名乗ってますからね。尚更でしょう」

「ジャッジ……。いい加減お前に『先生』つけられたくない」

「分かりました。ディッチ『さん』。いい加減、最初のカナリアの質問に答えたらいかがですか?」

「質問、なんだっけ?」

「車の件ですよ」

ジャッジがさらりと話を戻していた。

「車ね。これも作ったよ。キャンプも出來る仕様だ! しかも普通に走って時速二百五十は出る」

二百五十!? その言葉に一瞬カナリアは絶句した。

「ききき」

「木?」

「危険じゃないですかぁぁぁ!!」

「ところがどっこい、モンスターを撥ねたところで問題ない! ……経験値は貯まらないがな」

「そ……素材は!?」

「カナリア君が気にするのはそこ? 轢いたのに気付いて止まったとしても、遅いからね。無理!」

「えぇぇぇ!! せっかくの素材がぁぁぁ」

既にカナリアが気にしている部分が変わっていることに、にジャッジとディッチが気付いたが、あえて黙っていた。スピードが怖いとか言っていられるよりもはるかにましだ。

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