《初心者がVRMMOをやります(仮)》男たちの酒盛り

ジャッジたちは実のところ、酒盛りと名のつく相談の場だった。

「ミ・レディは先ほど一度ログアウトしました」

セバスチャンがそう言って部屋にってきた。

「明日の鍛冶師の作業は見送るそうです」

その言葉に驚いたのは、ジャスティスだった。

カナリアの集中力は凄く、そしてやり方を覚えた今、ジャスティスが教えることなどない。

「カナリアは自己評価が低いんだ。どうやったら自信がつくのか分からんな」

ジャッジが呟いた。オークションでもそれなりに高値で取引されている、カナリアのアクセサリー。數ヶ月でその地位まで自力でのぼりつめた今でも、それは変わらない。

「ジャッジ様の教えがよかったからだと、ミ・レディは仰ってましたが」

「俺の教えじゃない。カナリアの教わる態度がいいんだ」

「それは同だな」

セバスチャンの褒め言葉に、ジャッジが返せば、ジャスティスも同意してきた。

「それはミ・レディに直接仰ってください。私が伝える言葉よりも、ミ・レディに屆きますから」

それをどうやって伝えればいいのか、それすらも難しい。いきなり言ったところで、カナリアは「気をつかわせている」と思ってしまう。

「にしても、ジャッジには懐いてんのな。あれはどうしてだ?」

ディスカスが不思議そうに言う。

「インプリンティングに近い……と思う」

そして、ディッチ以外にも出會いを言う羽目になった。

「それって、インプリンティングって言うよりも、つり橋効果じゃないか?」

からかうように言ったのはジャスティスだ。

「しっかし、リアルでも知り合いのディッチにも怯えるってのは、どうよ?」

ディスカスの発した疑問に、ジャスティスも同意してきたので、そちらの顛末まで話さざるを得ない。

「それはディッチさんの自業自得。半ば脅迫に近いことをしたし」

「あれを脅迫と取るか? 普通」

心外とばかりにディッチが言う。

「脅迫でしょう? 本名で呼ぶとか、無理矢理フレンドになろうとするとか」

「あの子から見れば、脅迫かも」

ジャスティスまでもが同意してきた。

「ジャッジ、ジャス! お前らっ!!」

すぐさま裏切り者と言わんばかりに、ディッチが突っ込みをいれる。

「しかもカナリア報だと、ディッチさんはカナリアの學年の主任。お難いイメージと、威圧が特徴らしいぞ」

「……そりゃ怯えられるわ」

ジャッジの追い討ちに、ディスカスがとどめをさしていた。

「ま、明日あたり俺らもフレンド登録してもらえたらラッキーと思うしかないな」

ジャスティスの言葉に、ディスカスが頷いていた。

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