《初心者がVRMMOをやります(仮)》腹踴り

現実世界でし休んだカナリアは、祖母手作りのお菓子を食べて気持ちを持ち直してからログインした。

「もどりま……!!」

ジャッジたちは酒を呑んでまたクエストに出かけたらしい。おふざけも重なって、VRの中で酔いがまわったのだとか。

「この方々とまわると、大半がこんなじになります」

呆れたようにリースが教えてくれた。

「……そ、そうなんですか」

初めて見るジャッジの羽目を外した姿に、カナリアは何も言えなかった。

「カナリア嬢には謝しているんですよ。以前ほどこんな無様な姿のマスターを見ることがありませんので」

本當のところ、ジャッジはこうやって騒ぐのが好きなのかもしれない。それを抑制しているのかと思ってしまう。

「あ。カナリア。土産」

酔いがまわったままでもしっかりとした足取りで、そしてはっきりとジャッジが渡してきた。またいい素材をもらえたみたいで、カナリアは悪いと思いながらも禮を述べて鞄に仕舞った。

「ディッチさん見てみろ」

こっそりとジャッジが言う。見ると腹を出し、腹に顔を書いて踴っている。

「あれ、腹踴りって言うんだ。カナリアにああいう風になったディッチさんを見せたかった」

酒盛りもそのためだったという。

「ありがとうございます」

「そこは禮を言う場面じゃないと思うぞ」

「?」

何が言いたいのか分からないまま、カナリアはジャッジを見つめた。

「とりあえずこっそり見ててみろ」

そう言いながら笑ってディッチたちのところへ向かった。

「うっひっひっ」

しばかりどん引きしそうな笑い聲で、ディッチが先程よりも走り回っている。

隠れてみているカナリアも、だんだんと笑いがこみ上げてきた。

「ふっ」

自分でも知らないうちに、カナリアは聲を立てて笑っていた。

「げっ! お前らっ!! カナリア君が戻ってきたら教えろって言っただろ! 俺のイメージが崩れる!」

「ディッチさん以外はカナリアちゃんが來たことに気付いてた。調子に乗ってはしゃぐディッチさんが悪い」

「ジャスティス!」

「あ、ちなみに。そこにカナリアを隠したのはジャッジだ」

「ディスカス! お前止めろ」

「やだね。こんな面白いこと、俺が犠牲にならずに見れるんだ」

「いいじゃないですか。お難いイメージが取れますよ」

ディスカスの言葉に追い討ちをかけるようにジャッジが言った。

そのやり取りに、尚更カナリアは笑ってしまった。

そして、罰と言わんばかりにディッチが學校と同じような「授業」を始めたが、カナリアから見れば全く罰になっていなかったというオチがついた。

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