「…………お」

何か來たか？　いや、來たな。かすかに魔力があることがわかるぞ。今までの修行で知できていた場所に反応している。これは魔力知できている？　出來てない？　出來てるな。

「し――」

あ、ダメだ見失った。別のことをしようと思うと知できなくなるな。

「どうした？」

師匠は俺のかすかなつぶやきですら聞き取ったようである。ありがたい。

「ほんのわずかですが、魔力をじ取れたもので」

「ふむ、やるのう。その調子じゃな。まあ今はし休憩しなさい。気を張り詰めてもいいことはないからのう」

「はい」

お言葉に甘えてし休憩しよう。そして、今の覚を反芻するのだ。

今の時間はゲームで午後四時。晝食から四時間たってようやくかすかな魔力を知できた。しかし、目標はまだまだ遠い。自転車を真っ直ぐ走らせられるからといって満足してはならないのだ。

で、俺の家族はつい先ほど俺と同じ修行にった。みんなして座禪を組んで魔力をじ取ろうとしている。座禪は気分だ。正座でもいいぞ。

では、再開しよう。もっと確かに魔力を知できなくてはな。

「もうそろそろ夕食の時間じゃな」

「では私たちが作るわね」

「あなたたちはくつろいでて」

母さんたちがキッチンへと向かう。もうそんな時間か。この修行で一日潰すとは、なんと難易度の高い修行であるか。というか、これゲームだよね？　ゲームなのにこんな難易度高いの？　ＥＸスキル？

まあ、俺はようやく集中していれば魔力を知できるようになったところである。當然俺の魔力だ。外の魔力は知できない。それには、自分の魔力を常に知できなくてはならないらしいからな。食事中とかでも。

「スバルはどう？」

「し進んだってところだな」

「スバルでもそんなにかかるのなら、私たちも結構時間がかかっちゃうね」

「そうだろうな。まあ、時間かかってもらわないと、俺の才能がないということになってしまうけどな」

「ひどいなあスバル。あ、この文字は？」

「これは……『ん』だな」

「これも？」

「これも」

今俺は？　かおるに文字を教えている。魔族語のだな。

「スバルよ。おぬしの『ん』はｎの『ん』じゃ。これはｍじゃよ」

「いや、俺も昨日覚えたばかりなんで細かいところは見逃してほしいんですけど」

「だめじゃ」

ということで、俺とかおるで師匠の魔族語講座を講することにした。ついでに霊語もさわりだけ教えてもらえる約束も取った。これで、霊語もマスターしてやるぜ。

「ご飯出來たわよー！」

月子母さんの呼びかけで師匠の言語講座は終了。俺は自作の対応表をかおるに貸すことで、かおるも魔族語はすんなりと覚えることが出來た。霊語もさわりは教えてもらえた。

霊語は？　英語？　そんな雰囲気。しかし、さらにそこから大きく分かれるらしい。エルフとドワーフは同じ霊語を使う。でも、イギリス英語とアメリカ英語のような違いがあるらしい。つまり、俺は師匠のエルフ訛りの霊語を覚えるわけだ。問題ないね。

「お兄さんたちは、何をしていたのですか？」

「霊語の勉強」

「霊魔法とかのですか？」

「ほっほ、違うぞ。霊に語り掛けるのは古代霊語じゃな」

「また覚えたくなる言語が増えてしまいましたよ師匠」

「わしも古代霊語は教えられんぞ」

ならばどこで覚える必要があるのだろうか？　霊と會話できる人がいるのか？　失言語の可能があるな。　俺が復活させたら？　最高だな。目標の一つにしておこう。もし、誰も話せないという場合の話だけどな。

「さて、夕食にしようかの。準備も終わっているようであるしの。」

というわけで夕食の席に著く。この景は毎日見ている。一人多いけど。師匠のことだ。それ以外はただの日常風景である。姿は違うが。

「ごちそうさまでした」

夕食をおいしくいただいて、修行を再開でもしようか。ようやく魔力を知できるようになったわけだしな。このを忘れないうちにに覚え込ませる必要があるのだ。

しかし、いまだにスキルに魔力知は出てこない。本當にＥＸスキルな気がしてくる。そんなわけはないと思いたいけどな。

そうして俺たちは風呂にかわるがわるりながら、修行を続け、就寢時間になってしまった。うむ、今日は本當に魔力の修行で終わったな。

『スバル？』

『メルか、なんだい？』

『今大丈夫？』

『大丈夫だよ』

『ふふ、スバル』

メルの聲が弾んでいるのがよくわかる。初対面の時の凜とした雰囲気を纏ったの様子は？　存在しない。だが、問題ない。本來のメルとはこういう娘なのだろう。可らしい。

『メルは、今日何をしていたんだ？』

『今日はね……街に行って跡継ぎを探してもらえるように申請してきたのよ』

『お、もう行ってきてくれたのか。早く決まるといいな』

『うん、わたしもそう思う。夢でスバルと會えたけど、現実でもスバルと會いたい』

『俺も會いたいよメル』

『スバル』

『で、これから何かすることとかあるのか？』

『特にないわ。だから、暇つぶしにアクセサリーでもまた作ろうと思うわ』

『お、そうか。俺はメルのアクセサリー好きだからな。メルの作ったものが見れないのがちょっと殘念だ』

『わたしもスバルに見てもらいたいわ。だけど、こればっかりはね。もっと話していたいけど、明日もあるし、もう寢るわね』

『うん、おやすみ、メル』

『おやすみ、スバル。してるわ』

『俺もしてるよメル』

こうして信は終わる。俺のＭＰも限界ぎりぎりだったのでここで切って正解であっただろう。

で、隣に座っているかおるが俺のことを目を見開いての一切を排除したような顔で見ている。ちょっと怖いが、その顔をきれいだと思っている自分がいる。いた、とても綺麗だ。この評価が覆ることはない。嫉妬からきているのだろうか、その顔ですらおしいのだ。

「とても幸せそうな顔してるけど、なにかあった？」

「今、メルと話していたんだよ」

「ふーん……」

かおるはし考え込むような顔をした後、俺の顔を再び見つめ、ニッと笑うと俺に抱きついてくる。俺は薫の頭をやさしくなでる。

「ふふん、私はスバルに頭なでてもらえてる」

俺はかおるが満足するまで優しく頭をなで続けるのであった。