《FANTASY WAR ONLINE》第五一話
「おう、帰ってきたか」
門につくと衛兵さんが迎えてくれる。
「ああ、ただいま」
「どうよ収穫は」
「大量よ、大量」
俺はそう言いながら、腰のあたりを叩く。すると、衛兵さんは満足そうに何度もうなずいた。
「いいことだぜ。最近の若いもんは、気がねえからな。ウサギがあまり狩れねえってんで、すぐに別のところに行っちまう。しかも、たいして強くならずにだ。そういうやつが最初に死ぬっていうのによ」
衛兵さんは、空を仰ぎながら戒めるように言う。たしかに、衛兵さんの歳だと何人もの若い魔族の人間が死んでいるところを見たのだろう。それはつらいだろうな。衛兵さんはかなりの人家だな。
「それによ、そんなに弱っちい奴は、神事にも出したってたいして使えないしな。せいぜいが、後方支援だよ」
FWOの戦爭イベント。それをこの世界の人たちは『神事』と呼ぶ。一種の祭りとして創造神様に見せることを目的としているからこそ、そういう風に呼ぶのだ。創造神様に自分たちの武勇を見せつける。これにが高ぶらない魔族などいない。だからこそ、弱いやつを人間以上に嫌いするのだ。
「まあ、安心しろよ。俺はそんなに弱くはないからさ」
「レベルだけ高くっても意味がねえからな?」
「當り前よ。が詰まっていない戦士になるつもりはないからな」
「くっくっく……違いねえ」
俺たちは聲を押し殺すようにして笑いだす。
「スバルって生まれてくる時代間違えているよな」
と、懐かしむように言うのはウッド。
「ああ、確かに。九十年前ぐらいに生まれてたほうがスバルは活き活きしてそうだよね。刀一本で前線に突撃するんでしょ」
「特攻よりひでえや」
ぼろくそに言う雙子たち。まあ、否定はしない。祖父ちゃんが実際に敵陣に刀一本で突撃をしているというのだから、おそらく、俺もするかもしれない。
俺たち龍の一族の家訓は『殺すために生きろ』である。死ぬことは許されず。死んで百人より、生きて千人を殺せ。それがうちの家訓。戦國時代から続いている教えなのである。
「お、兄ちゃんも生粋の魔族か。最近は、戦いに興する魔族がなくなってな。なよなよした奴らが増えてきているんだよ」
衛兵さんは本當に殘念そうに語る。自分の強さを誇示する戦いこそが至高という考えた方の魔族にも、そういうような人がいるんだな。
「それは大丈夫なのか?」
どんな教育をしたんだろう。人間の策略かな?
「偉い學者様がな、なんか言ったらしいんだわ。『ペンは剣よりも強い』ってさ。だからなのかね、増えてきているんだよ。そういうやつらが」
「魔族がそれを言っちゃおしまいだろうよ」
「まあ、今はそういうのに酔っているだけだと思うんだけどなあ。いずれは戦いの素晴らしさに気づいてくれると思うよ」
「俺も切に願うよ。それは」
ダメだろ。魔族が剣を捨てたら。これは、魔族の教育改革の案件なのではないのだろうか。どうしたものだろうか。
というか運営はこういうあほみたいな設定を考えるなよ。魔族は魔族らしく、戦闘民族で居続けろよ。子供ですら立派な一兵卒でいろよ。
「おっと、すまねえな。長話しちまった」
「いや、俺も楽しめたからな。謝ることはないさ」
俺たちはお互いに握手をする。その直後、俺は衛兵さんと戦ってみたい衝に駆られてしまう。
「……」
俺はその衝を必死に抑え込む。
いやあ、まずいな。握手しただけで伝わってくる強者の風格。これは手合わせを願いたくなっても仕方ないことだろうよ。これにかないものは武人ではない。しかし、彼はいま公務の真っ最中である。それを邪魔することはしてはいけない。やるなら、彼の休みの日を狙ってだ。だから、諦めよう、な。
「…………むー」
俺は衛兵さんの顔を見ると、衛兵さんの顔も今まで見たことがないような険しいものとなっていた。何かを必死に我慢しているような、いや、目の前にある豪華な料理を口につけることを止されているような顔だ。今すぐにも手をばしたい。しかし、それは許されないというような獣の顔。ひどい葛藤に衛兵さんもさいなまれていたのだ。
「な、なあ……もう握手はやめてもいいんじゃないか?」
ウッドの発言により、俺たちは我に返りさっと手を放す。
「じゃあ、中にらせてもらうぜ」
「あ、ああ……いいぞ」
俺たち二人はぎこちなく笑みを浮かべて別れることとなった。
「ねえ、スバル」
しばらく歩いて、衛兵の姿が見えなくなるころ、かおるが近づいてきた。
「あの人はどれくらい強いの?」
「そうだな……俺よりは強いだろうなあ。それほどの気迫をじた」
「へえ。私も戦ってみたいなあ」
かおるのその笑顔は暗く輝いていた。
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