「友達になったからパーティー組も？」

騒ぐアンリを引きずって3人で宿屋の近くにある飯屋でし遅めの晝食を取っているとナクが唐突にそう言いだした。

パーティーか…まあ、いいか。

「ああ、良いぞ。ただその前にナクはどんなことができるのか教えてしい」

「ん、わかった。じゃあこれ」

そう言うとナクは自のステータスが映った半明のエアディスプレイを見せてくる。

◇◇◇◇◇◇

名前:ナク

別:

レベル:16

職業:メインジョブ【ウィザードLv.12】

サブジョブ　【薬師Lv.18】

HP:1190

MP:3500(+100)

STR:28(+8)

DEF:43(+20)

INT:540(+120)

MEN:380

VIT:55

SPD:120

〈技能〉

固有技能:【固定魔Lv.8】

付屬技能:【地形ダメージ軽減】

通常技能:【水魔法Lv.10】【風魔法Lv.5】【魔法Lv.8】【魔の心得Lv.12】【暗視】【鑑定Lv.20】【調薬Lv.22】【付與Lv.23】【魔力回復速度上昇［小］】【空きスロット1】

〈裝備〉

武　:銀の杖

頭 :シルバーハット

防　:ウィザードローブ（銀）

:ウィザードスカート（銀）

靴 :小鬼の靴

裝飾品:魔法使いの指

:銀のイヤリング

〈裝備効果〉

魔法威力上昇［微小］

【所持金:300L】

◇◇◇◇◇◇

うーむ、なるほど裝備が貧相だな。それにしても金がなさすぎじゃないか？300Lって小學生のおやつじゃあるまいし。

所持金について聞くと言い爭っていた男たちからもっともらえるはずだった、とのことだった。

「なあ、ナクの固有スキルってどんな効果があるんだ？」

「んと、を止められる。例えば…このカップを…」

そう言うとナクは食後のコーヒーがったカップを持ち上げるとパッと手を離す。

もちろんコーヒーカップは重量に従って地面に落ちて々になる…なんてことはなくナクの手元でそのきを停止していた。

「これが私のスキル。効果時間は15秒くらい」

ナクがそう言うとコーヒーカップがき出す。

ナクは難なくそのコーヒーカップをけ止めると中を一口飲んでコースターの上に置く。

なるほど、戦闘中に相手のきを15秒止められるってのは中々に有効じゃないか。

俺が予想以上に役立ちそうな仲間が増えたことに心喜んでいると店の扉が暴に開かれる。

何事かとそちらを見てみれば自滅した戦士とその仲間だった。

男達は店を見渡すと俺たちの席に近づいてくる。面倒だな…

男達は俺たちの席の橫に立つとバンッとテーブルを叩く。

「おい、ナク。何逃げてんだああん？」

「今謝って戻るなら許してやるぜ」

男達が好き放題言っているがナクは一切聞く耳を持たずコーヒーを飲んでいた。

そんなナクの態度が頭に來たのかリーダーっぽい男が「テメェ！」とびながらナクを毆ろうとしたので橫から男の腕を摑んで止める。

「俺のツレがなにか？」

「テメ…っ！おい！お前ら帰るぞ！」

男はそうぶとドスドスと床を踏み鳴らしながら店から出て行く。

店を出る際に「覚えてろよ」と言っていたが所詮あの程度のフェイントで沈むようでは高が知れている。

「シュウ、ありがとう」

「ん？ああ、なんてことないぞ」

ナクが禮を言ってきたので俺がそう返すと、何故か顔を赤くしたナクがモジモジしながらこう言う。

「私、お禮にあげられるもの無いから。私ので…」

「ストォォップ！ちょっとナクさん何言ってるんですか！」

「何って、お禮の話？」

「だからってでなんて！ふ、不純ですよ！」

「お前が言うな」

まったく、人を縛って襲っておきながらなんて言い草なのだろう。

俺がそうツッコミをれると「ピューピュー」と口笛を鳴らして誤魔化すアンリ。そして、妙に上手いんだが。

妙に上手なアンリの口笛を聴きながら俺は食後の紅茶を一口飲んで窓の外を眺めると、心地良い風が店を通り過ぎ、なんとなく心が穏やかになった。

店ではショックで固まっているナクともはや誤魔化すことを忘れて口笛による演奏に夢中になっているアンリ、その2人に挾まれるような形で席に座って窓の外を眺めながら穏やかな表で紅茶を飲む俺、と中々にカオスと化していたのだった。