その後、飯屋を出た俺たちは近くにある林に來ていた。

その理由は簡単。ナクのスキルの試し打ちである。

「おっ、早速お出ましだな」

俺の視線の先には一の巨大なナメクジのようなモブがウネウネと蠢(うごめ)いていた。ぶっちゃけ気持ち悪い。

鑑定を使用してみると、ナメクジの名前はユルケルとのことだった。ゆるキャラ満載の名前だが、見た目は明らかにSFホラー系の怪だ。子供が見たらギャン泣きだろう。

そんな巨大ナメクジを見てもナクは一切じずに杖を構えていた。なんとも頼もしい限りだ。

「ごめん、シュウ。あれキモい、無理」

前言撤回。役に立たねえ。

俺は仕方なくウネウネと蠢(うごめ)いていた巨大ナメクジを風の刃で切り刻んで始末すした。

☆

しばらくの間歩き続けていると今度は砂でできた巨大な山のようなモブが現れた。

鑑定を使用してみればサンドゴーレムという名前のようだ。

サンドゴーレムはザラザラと自のを崩れさせながら移をしている。

俺はナクの肩をトントン、と軽く突く。するとナクは顔を赤らめてこう言う。

「肩じゃなくてもっと下でもいいよ？」

「おおそうか…って違えよ！ほら、あいつにお前のスキル使え。その間に倒すから」

「わかった。【空そらぬい】」

ナクがそう発音するとサンドゴーレムのきがぴたりと靜止する。先程まで流れ落ちていたその砂すらもきを止めている。

俺はその隙に全力でサンドゴーレムに近づくと両手に出現させた二刀の鉄剣で斬りつけると「ガガンッ」と質な音と共にいものにぶつけたようなが手に伝わる。サンドって名前のわりに意外と固いな。

俺は斬りつけたサンドゴーレムを見るが、一切ダメージをけていないように見けられた。

あまりの出來事に驚きを隠せずにいると、サンドゴーレムがき出し俺に気づいたのか砂でできた拳を打ち付けて來た。

「ぶわっ！」

慌てて鉄剣でガードするがぶつかった衝撃でサンドゴーレムの拳から砂つぶが飛び散り、大量の砂つぶが俺の目にる。

目を開けていられなくなった俺は風魔法【ウインドサージ】を発すると周囲に風の波を生み出し、自を守る盾とする。

俺はアイテムボックスから水のった容を取り出すと、中を目にかける。

するとみるみる俺の視界は元に戻る。現実では起こりえない、まさにゲームだからこそり立つ現象である。

良好になった視界でサンドゴーレムを見つけると俺はサンドゴーレムに風の刃を幾つも放つ。

すると先程までのさが噓のように、スパスパとサンドゴーレムのが切れていく。

やがてサンドゴレームは斷末魔の悲鳴をあげながら崩れていき、そのまま消えていってしまった。

戦利品を確認しながら俺はひとつの疑問をナクに投げかけた。

「なあ、ナク。お前の固定魔って…」

「ん、察しの通り。完全に固定するからかないかわりにどんなダメージもけ付けない」

ドヤ顔でそう言うナクに俺は足元に落ちていた砂を投げつける。

「やめて、シュウ。見えないし、口に砂がった。ぺっぺっ」

砂を吐き出しているナクを見ながら俺は考えた。どうやったら上手く使いこなせるか。

そこで俺はひとつの方法を思いついた。

「ナク、アンリの足だけを固定するイメージでスキルを使え」

「えっ、ちょ、シュウ君！？」

「わかった、【空】」

「アンリ、歩いてみ」

俺がそう言うとアンリは足をかそうとして首をかしげる。

そして、また足をかそうとした瞬間、不意にくようになったせいで前につんのめり、顔から砂にダイヴする。

「功だな」

「こんな使い方があったとは…」

「ねえ！酷くないですか！？」

俺とナクが新たな可能に心を躍らせているとアンリがフシャー！と怒っていたので、アイテムボックスから一口サイズのチョコレートを取り出してアンリの口にねじ込むと大人しくなった。いや〜、ちょろくて助かるわ。

その後、俺たちはパターンを変えてモンスターを慘殺し続けていった。

そのおかげで俺たちのレベルは2ずつ上昇していた。