《Creation World Online》第39話
ディヴァ=ヘトの街並みはこれまでのヨーロッパ調の建と違い、和風の建が並び、道行く人を見れば袴をはいた侍風の男NPCや、何故か背中に祭りと書いてある法被はっぴを羽織って褌ふんどしを履いた子供達や著を著て杖を擔ぐ獣耳のNPCなど、正に和風ファンタジーという言葉がぴったりだった。
それにしても…
「なんだかピリピリしてねえか?」
「うん、それは思う。何か起こる」
キョウジとナクが言う通り、道を歩く人々の表は余裕がなさそうだった。
「お前達!」
突然背後から聲をかけられる。
そちらを振り向くと、怒りの形相を浮かべたハーと困り顔のキョウラク、そして_
「話がある、ついてこい」
そう言ってマントを翻ひるがえす【皇帝】レノン。
俺たちは大人しく従うことにして、レノン達の後ろを歩く。
しばらく進んだところで大きな料亭らしき建にると、中の店員NPCに奧の座敷へと案される。
俺、ナク、キョウジは襖側に座り、レノン達はその向かいに座った。
そして、店員NPCが出した緑茶を一口飲むと、レノンが口を開く。
「さて、今回のことだが。君たちは自分たちが何をしたのかわかっているのか?
君たち攻略者パーティーは最強、つまりプレイヤー達の希なのだ。もし、そんな君たちが萬が一にも死亡、ゲームオーバーになったとしたらどうなると思う?プレイヤー達の士気はかなり下がることになるのだぞ。
特にシュウ、君は全プレイヤー最強の稱號を持っているのだ。不本意だが」
「おい、心の聲れてんぞ」
いや、その気持ちはわかるけどな。
俺がそう言うとレノンは溜息を吐く。
「そして、シュウ。君、パーティーを抜けるなどと言っているそうだが…それに関しては我々天議會が決める、故に後日連絡させてもらおう」
そう言うとレノンは腕を組んで黙ってしまう。これ以上は何も語ってくれなさそうだな。
「シュウ君…あの、アンリさんのことは気の毒だと思うけど、もっと自分を大事にしてくれないかな?」
「…ああ、キョウラク悪いな。心配をかけた」
そこで、襖が開き料理が運ばれてくる。
すると、レノンは組んでいた腕を解くとこう言った。
「さて、話は以上だ。ささやかながらボス攻略への禮だ。け取ってくれ、もちろん後日、報酬金も払わせてもらう」
「そうか、それなら遠慮なくもらおう」
こうして俺たちは味い料理に舌鼓をうち、料亭を後にした。しかし、アンリがいないと何処と無く味気なくじるものだった。
☆
食事の後、俺たちはキョウジと別れ、アンリを治すための薬を取りに、3界層の南の村【ドクラ村】を目指して歩いていた。
あまり舗裝されておらず、土剝き出しの道路を俺とナクは歩いて進んで行く。
すると、進行方向に2匹のゴブリンの姿を見つける。
しかし、ゴブリン達の姿はこれまでのものと大きく異なっていた。
なんとゴブリン達は鎧と刀を持っていたのだ。今までのゴブリン達の裝備は貧相な布の服に素手か棒、良くて錆び付いた短剣といったところだったのに対し、目の前で刀の手れらしきものを行っているゴブリン達の鎧や刀は金屬特有の沢を放っており、手れを怠おこたっていないという証拠だろう。
「ギャオ!」
「お、気づかれたか」
片方のゴブリンがこちらに気がついたようでこちらを威嚇いかくしてくる。
もう片方のゴブリンもこちらを見ながら刀を構える。
すると、威嚇をしていたゴブリンが俺目掛けて駆けてくる。
「グルァ!」
「【ピアッシングエア】」
俺の五指に出現した小さな魔法陣から放たれる高度の風の針をゴブリンは難なく避けると、そのまま俺の橫を通り過ぎ、すれ違いざまに俺の脇腹を刀で斬りつけていく。
そんな俺にナクは心配したように駆け寄ってくる。
「ぐっ…!」
「シュウ!大丈夫?」
「ああ、何とかな…っ!【法則介】!」
ガキンと質な同士がぶつかり合う音が聞こえる。先程まで刀を構えていたゴブリンが攻撃を仕掛けてきたのだ。
斬りつけてきたゴブリンは、地面からせり上がった土壁を踏み蹴って距離を取る。
俺はアイテムボックスから取り出したポーションを一気に飲み干すと、周囲を見渡す。
ゴブリン達は余裕そうな表で、ジリジリと距離を詰めてきている。どうやら俺たちを嬲なぶり殺しにする気らしい。
すると、突然周囲の気溫が急激に冷えていく。
見ればナクの頭上に氷塊が出現していた。
「良い加減にしろ薄汚い小鬼が」
ナクがそう呟くと氷塊は砕け、破片となった氷がゴブリン達の鎧をまるで、紙か何かで出來ているかのように貫き、絶命させる。
の粒子に変化していくゴブリン達を眺めながらリザルト畫面を確認すると、やはりというか、今までの敵よりも経験値が多かった。
「ん、レベルアップ」
「おお、よかったな。いくつになったんだ?」
心なしかドヤ顔でピースをするナクにそう尋ねる。
「レベル23になった」
そう言ってナクはステータス畫面を見せてくれる。
◇◇◇◇◇◇
名前:ナク
別:
レベル:23
職業:メインジョブ【ウィザードLv.20】
サブジョブ 【薬師Lv.24】
HP:1250
MP:4300(+250)
STR:34(+8)
DEF:52(+20)
INT:680(+180)
MEN:450
VIT:70
SPD:160
〈技能〉
固有技能:【固定魔Lv.9】
付屬技能:【地形ダメージ軽減】
通常技能:【水魔法Lv.18】【風魔法Lv.8】【魔法Lv.14】【魔の心得Lv.22】【暗視】【鑑定Lv.24】【調薬Lv.22】【付與Lv.27】【魔力回復速度上昇[中]】【杖Lv.2】【空きスロット2】
〈裝備〉
武 :銀の杖
頭 :シルバーハット
防 :ウィザードローブ(銀)
:ウィザードスカート(銀)
靴 :小鬼の靴
裝飾品:魔法使いの指
:銀のイヤリング
:海蛇かいじゃの腕
〈裝備効果〉
魔法威力上昇[微小]
水屬耐[中]
水屬威力上昇[小]
【所持金:38300L】
◇◇◇◇◇◇
「どう?強い?」
「ああ、いいんじゃないか」
「ふふっ、ありがと」
そう言って微笑むとナクは「早く行こ」と言って先に歩いて行ってしまった。なんだったんだ?
☆
その後も數匹のサムライゴブリンや、忍者のような姿をしたゴブリンシノビ、などが襲いかかってきたが特に苦戦することもなく屠ほふり歩くこと3時間。
日が暮れそうになった頃、ようやく俺たちは南端の村、ドクラ村に辿り著いていた。
「著いた」
「ああ、しかし何もないな」
「ど田舎」
ナクの想通り、ドクラ村は田舎だった。
周囲を見渡してもあるのはボロボロの家が數軒に、田畑や牛舎など。
家へと帰っている人々の格好もディヴァ=ヘトの人々のような華やかなものではなく、ボロボロの布切れのような様子だった。これが地域格差ってやつか。
「今日はもう遅いから取り敢えず宿屋に泊まろうか」
「ん、あそこに宿屋あるよ」
そう言ってナクの指差した方向にはボロボロの家の中でも多まともな建だった。
宿屋の扉に手をかけて開くとギィィイ…と扉が軋きしむ音がしてゆっくりと扉が開く。
中で退屈そうに頬杖をついていた男NPCがびっくりしたような表を浮かべた後、一瞬で笑顔を作り元気な聲で「いらっしゃいませ!」と言った。
「泊まりたいんだがいくらだ?」
「夕食・朝食付きで1人30Lです」
「それじゃ、それで頼む」
「お客様、現在空き部屋が1つしか無いのですがそれでもよろしいでしょうか?」
俺はいいんだがナクはどうなんだろう。
チラリとナクを見るとサムズアップされる。問題なさそうだ。
「ああ、それで大丈夫だ」
「ありがとうございます。お部屋は奧の突き當たりの壁を右に曲がったところです」
☆
案された部屋の裝は、やはりというかなんというか、ディヴァ=ヘトとは比べにならないくらいボロボロで古臭かった。
木製の床は傷んでいるらしく、一歩歩くたびにギシギシと音を立てる。
窓は填はめ込み式の分厚いガラスで、表面はボコボコしておりしさはじられなかった。
しかし、そんな事はどうでもよかった。瑣末な問題だ。何よりの問題は_
「なぜベッドが1つしか無いんだ!」
そう、ベッドが1つしか無いのである。もう一度言う、1つしか無いのである。
年頃の男が同じ部屋というだけでも非常にマズイのに、ベッドまで同じなどマズイを通り越して最早アウトだ。
「うふ、シュウと同じベッド。襲われる予」
「勘弁してくれ…」
なら普通は嫌がるはず、にもかかわらずナクは心底楽しそうだった。
俺が頭を抱えると部屋の扉がノックされ、店員NPCの呼び聲が聞こえた。夕食の時間らしい。
扉まで駆けていくと、ナクは扉から出ながらこちらを見る。
「食後のデザートは私」
そう言うとナクはさっさと部屋から出て行ってしまった。なんなんだあいつは。          
俺の高校生活がラブコメ的な狀況になっている件
カクヨムコンテスト4參加作品! カクヨムの方でも感想やレビューお願いします! カクヨムで80000PV突破した作品の改稿版です 高校入學を前に両親は長期海外出張。 一人暮らしになるかと思いきや、出発當日の朝、父からとんでもないことを言われた。 それは…… 同い年の子と同居?!しかも女の子! ただえさえ、俺は中學の頃はぼっちで人と話す事も苦手なのだが。 とにかく、同居することになった子はとてつもなく美少女だった。 これから俺はどうなる?この先の生活は?ラブコメ的な展開とかあるのか?!
8 99Lv.1なのにLv.MAXよりステ値が高いのはなんでですか? 〜転移特典のスキルがどれも神引き過ぎた件〜
全校集會で體育館に集まっていた人間達が全員異世界に召喚された!? おいおい冗談はよしてくれよ、俺はまだ、未消化のアニメや未受け取りのグッズを元の世界に殘してきてるんだ! え、魔王を全て倒したら元の世界に返してやる? いいよ、とっととやってやるよ! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 學校関係者全員が勇者召喚されたとある高校。 〜元の世界に殘してきた、あなたの大切な物の數だけ、代わりにチートスキルを付與します〜 神のその言葉通りに全員が、それぞれ本當に大切な所持品の數だけチート能力をもらうことになる。 全員がだいたい平均2〜4くらいしか付與出來なかったのだが、重度のコレクション癖のある速水映士だけは1000ものスキルを付與できることになっていて!? しかも最初に極運を引いたことで、後に付與されたスキルが超再生、超成長、更には全屬性特攻etc,etc……というあからさまに強そうな能力たち! 元の世界ではただのヲタクソ野郎である彼がこの世界では英雄! しかし、彼は英雄の座には興味を一切示さず!? 「魔王なんてサクッと全員倒してやる。俺には、さっさと地球に戻って未消化のアニメを消化するっていう使命が殘ってるからな!」 ギャグ要素強めな情緒不安定ヲタクソ野郎×チート能力の組み合わせによる、俺TUEEEE系異世界ファンタジー! ※小説家になろうにも投稿しています 《幕間》噓つきは○○の始まり、まで改稿済み 2018/3/16 1章完結 2018/6/7 2章完結 2018/6/7 「いや、タイトル詐欺じゃねぇか」と指摘を受けたため改題 第63部分より3章スタート 第2章まで完結済み 2月3日より、小説家になろうにて日刊ランキングに載せていただきました! 現在作者都合と病弱性により更新遅れ気味です。 《番外》は一定のテーマが當てられてます。以下テーマ。 2018バレンタイン→初めてのチョコ作りをするシルティス 2018ホワイトデー→理想の兄妹の図が出來上がるエイシルコンビ 2018エイプリルフール→策士な王女様と騙された勝気少女 ◇◇◇ ご不明な點がございましたらコメントかTwitterのDMにどうぞ 7/9 追記 公開しようと予約した一括投稿のうち最終話のみ、予約ではなく後悔にしてしまっていたので削除しました。 全體的な更新はまだ先になります。
8 156【嫌われ體質】自覚したら最強?かも
主人公『五色 大輔』は生まれ持っての【嫌われ體質】、幼馴染みが居ない、小さい頃から回りの者に嫌われる、友達も居ない、ペットも犬、貓、鳥、金魚にも嫌われる。生き物から嫌われ、病気にも嫌われ、死んだら神にも嫌われていた…。ネタバレ注意、主人公以外にも迷い子(転生者)複數登場。
8 53全てを創造した主の後継者と神の器の異世界ライフ‼︎ 〜可能性しか貰ってませんが⁉︎〜
ある日、その教室內にいた者達は一人殘らず異世界に召喚された。 異世界へ召喚された主人公はクラスのみんなが勇者スキルと魔法の屬性適性を授かるなか、魔法の屬性適性…無。勇者スキルも、神の加護もない。 だが主人公には人に言えない秘密があった。その力で異世界を楽しく過ごすことを決意する。 初投稿作品なので、非常に読みにくいとは思いますが、よろしくお願いします!
8 97拝啓、世界の神々。俺達は変わらず異世界で最強無敵に暮らしてます。
幼い頃、生死の境をさまよった主人公、秤彼方は大切な人が遺した力を神々から受け取った。 異世界転移に巻き込まれる前にチート能力を授かった主人公。彼は異世界をどう歩んでいくのか……。 「拝啓、神々。なんで俺が異世界の危機を救わなければならない?まあ、退屈しのぎになるから良いか!」 少年は神より譲り受けた銀に輝く雙剣と能力とで異世界を崩壊へ導く邪悪を絶ち切っていく! 少年が異世界を奔走し、駆け抜け 退屈を覆してゆく冒険譚、ここに開幕! 小説家になろうでも投稿してます! イラストはリア友に描いてもらった雙子の妹、ルナです!
8 128じゃあ俺、死霊術《ネクロマンス》で世界の第三勢力になるわ。
「お前は勇者に相応しくない」 勇者として異世界に召喚された俺は、即行で処刑されることになった。 理由は、俺が「死霊術師/ネクロマンサー」だから…… 冗談じゃない!この能力を使って、誰にも負けない第三勢力を作ってやる!! ==================== 主人公『桜下』は十四歳。突如として異世界に召喚されてしまった、ごく普通の少年だ。いや、”だった”。 彼が目を覚ました時、そこには見知らぬ國、見知らぬ人、見知らぬ大地が広がっていた。 人々は、彼をこう呼んだ。”勇者様”と。 狀況を受け入れられない彼をよそに、人々はにわかに騒ぎ始める。 「こやつは、ネクロマンサーだ!」 次の瞬間、彼の肩書は”勇者”から”罪人”へと書き換わった。 牢獄にぶち込まれ、死を待つだけの存在となった桜下。 何もかもが彼を蚊帳の外に放置したまま、刻一刻と死が迫る。絶望する桜下。 そんな彼に、聲が掛けられる。「このまま死を待つおつもりか?」……だが牢獄には、彼以外は誰もいないはずだった。 そこに立っていたのは、一體の骸骨。かつて桜下と同じように死を遂げた、過去の勇者の成れの果てだった。 「そなたが望むのならば、手を貸そう」 桜下は悩んだ末に、骨だけとなった手を取った。 そして桜下は、決意する。復讐?否。報復?否、否。 勇者として戦いに身を投じる気も、魔王に寢返って人類を殺戮して回る気も、彼には無かった。 若干十四歳の少年には、復讐の蜜の味も、血を見て興奮する性癖も分からないのだ。 故に彼が望むのは、ただ一つ。 「俺はこの世界で、自由に生きてやる!」 ==================== そして彼は出會うことになる。 呪いの森をさ迷い続ける、ゾンビの少女に。 自らの葬儀で涙を流す、幽霊のシスターに。 主なき城を守り続ける、首なし騎士に。 そして彼は知ることになる。 この世界の文化と人々の暮らし、獨自の生態系と環境を。 この世界において、『勇者』がどのような役割を持つのかを。 『勇者』とは何か?そして、『魔王』とはどんな存在なのか?……その、答えを。 これは、十四歳の少年が、誰にも負けない第三勢力を作るまでの物語。 ==================== ※毎週月~土曜日の、0時更新です。 ※時々挿絵がつきます(筆者ツイッターで見ていただく形になります)。 ※アンデッドが登場する都合、死亡などの殘酷な描寫を含みます。ご了承ください。
8 105