《ランダムビジョンオンライン》VSキングスライム
「ここがそうなのか?」
「みるからにそうですよね~」
途中に何回かの戦闘をはさんだ俺たちは今、始まりの塔にもあったような、門の前にたどり著いていた。
あきらかにボス部屋の口だと思われるこの門は、とても大きく、かっこよかった。
「この中にはボスがいるんだよな?どんなやつなんだ?」
「「ここのボスはキングスライムですよ」」
「キングスライム?」
「キングスライムといえば、あの……金になるという。あのキングスライムですか?」
「キングスライムって金になるのか?」
「その通りですよ、ラン君」
「キングスライムはドロップアイテムがいいものばかりなのですよ」
「私が知っている限りですと、かなりのサイズの魔結晶を落とすそうです……」
「それだけじゃないよっ」
「キングスライムは、それそのものが素材になるからね?」
「キングスライムのジュースは、スライムジュースの100倍で取引されるんだよ」
「大きさもあるから、結構な量が取れるんだよ?」
「平均で10~15くらいは取れるはずだよっ」
「全部売れば、2~3萬位にはなりますね。お得でしょう?」
「そこまでは知りませんでした。確かにお金になりますね。ラン様、早速いきますか?」
「そうだね。スライムならちょうどいい実戦の練習臺になってくれそうだから、一人でやらせてくれるかな?」
「わかりました。危なくならない限りは、手出しはしないことにします……。二人もそれでよろしいでしょうか?」
「「かしこまり~」」
「カッコいいところを見せてよね?」
「私たちが選んだことを後悔させないでください」
「わかった。頑張るよっ!」
「では行きましょう。……開けますよ?」
「あぁ」
「「レッツゴ~」」
ヒカリがボスの部屋の扉を開ける。
俺たちはまとまって中にった。
・・・
・・
・
「あれがキングスライムか……でかいなっ」
部屋の中……奧の方には、ぷるるるる~んという擬音が似合いそうな、巨大なスライムがいた。
通常のスライムは、俺の膝から腰辺りまでの大きさなのだが、このキングスライムは全然違う。
明らかに3メートルはありそうで、遠めに見なければ全を見る事が出來そうにない。
「だがまぁ……相手はスライムだ。でかいってことは、力があるという予想がたつが……それ以外の能力は普通のスライムと大して変わらないと見た。クー、キッカ、その認識であっているか?」
「その認識で正しいのですよ」
「ただ、その力が問題なのです……」
「ボスモンスターの中でも上位に位置する力を持っているのですよ」
「同レベルの中では、ドラゴンやゴーレムに次ぐ力の持ち主なのですっ」
「それは……すごいのか? ドラゴンもゴーレムも見たことがないから、比較できないぞ?」
「それではこう考えてください……」
「普通のスライムを150レベルにして、力を100倍にしたじですっ」
「それはまた……微妙なたとえだな。まぁいいや、つまりはしぶといってことだろ? それだけならむしろ、たくさん練習できるぜっ!」
「ラン様のステータスなら……スキルを使わなければ、むしろ楽勝でしょう。まぁそれでも、數発で倒せるわけではありませんが……」
「通常攻撃で戦えばいいんだろ? それが今後の目的である自力の強化だからな。……早速行くぜ? 「我が魔力を糧に、炎の弾よここに。我が意志に従い、敵を焼き盡くせ! ファイアーボール!!」」
俺は自分の考えた・・・詠唱を唱え、ファイアーボールを発する。
この詠唱を用いた魔法の発は、通常攻撃扱いになる。
武の攻撃力ではなく、自のステータスによって威力が決まるのだ。
この詠唱だが、決まったものはない。
決まっているキーワードを用いさえすれば、ほかは自分で考えていいのだ。
今回のファイアーボールの場合……「炎の弾」と「ファイアーボール」の二つが決まっているキーワードであり、それ以外の部分は俺のオリジナルである。
そのため、「炎の弾よ、ファイアーボール」と唱えればファイアーボールは発する。
ただし、詠唱が短いとデメリットが発生する。
そのデメリットとは、威力が弱くなるというものだ。
通常攻撃の魔法の威力は、詠唱時間×消費MPに比例する。
単純な話、詠唱時間さえ長くすれば、ただのファイアーボールでも上位の魔法と同程度の威力が出せるのだ。
だがまぁ、そんな威力を出そうとすれば、詠唱時間が一分以上は必要になるだろう。
閑話休題
今回の俺の詠唱時間は約6秒。
消費MPが10なので、60のMP……つまりは今まで使っていた詠唱無しの魔法の、6倍以上の威力を持つファイアーボールを使った事になる。
なぜ6倍以上かというと、武攻撃力依存の部分がステータス依存になっているからである。
まぁ簡単に言うとだ……
「結構でかかったな。今までの大きさの10倍くらいか?」
俺が放ってキングスライムに命中させたファイアーボールは、今まで使っていたものとは大きさが違った。
その分威力も上がっているらしく、今までだったら牽制程度にしかならなかっただろうファイアーボールが、敵をひるませるまでになっている。
「次は風を使ってみるか……「我が魔力を糧に、風よ研ぎ澄ませ。研磨の風刃、敵を切り裂け! ウインドカッター!!」」
今度はウインドカッターを発する。
ウインドカッターも詠唱時間は6秒程、消費MPが10なので、6倍以上の威力になったはずだ。
普通の詠唱しないて発したウインドカッターが、ただの目に見える風の線だったのに対し、今発したウインドカッターは、巨大な風の刃だった。
橫に飛ぶ風のギロチンといえば、一番正しいと思う。
キングスライムに當たった場所から上を、切り飛ばしたのだから。
「部分破壊に功なのですっ」
「これで、ドロップアイテム以外にも、スライムジュースが回収できるのですっ」
「今の切り飛ばした部分のことだな? 後で回収しよう。……それより、次は水を試す。「我が魔力を糧に、圧せし水球をここに。我が意志に従い、敵を押しつぶせ! ウォーターボール!!」」
発したウォーターボールは直徑が1メートル位であり、を反しておらず暗い水底をイメージさせられた。
ちなみに、ファイアーボールも同じくらいの大きさだった。
ウォーターボールはキングスライムにぶつかると、そのまま貫通した。
キングスライムに丸くがあいたが、すぐに元通りになってしまった。
「やっぱりスライム系に水はだめか……。んじゃ次は土だ。「我が魔力を糧に、研ぎ澄まされし土の杭を。尖りし弾丸、敵を刺し穿て! アースニードル!!」」
できたアースニードルは、太さ30センチ、長さ60センチほどの三角錐だった。
高速で撃ち出されたアースニードルは、キングスライムに命中すると、そのまま刺さって消えなかった。
どうやら継続ダメージを與えられるらしい。
キングスライムは苦しんでいるように見える。
「さすがですね、ラン様。四屬とも見事な威力でした。次は剣による近接ですね」
「かっこよかったです」
「魔法を見る限り、あなたを選んで良かったですわ……」
「そうかな? そういって貰えると、頑張って詠唱を考えたかいがあったよ。……さて次は、ヒカリの言うとおり剣による近接戦の練習だ。見ててくれよっ」
俺は三人に向いて聲をかけると、右手にノーマルソードを裝備する。
「行くぜ? ハァァァァッ!」
俺はキングスライムに向いて走り出す。
キングスライムがをばして攻撃してくるが、剣で打ち払ってそのまま突っ込む。
「ヤァッ!!」
間合いにってそのまま一閃。
スキルを発しない、通常攻撃である。
そのまま走り抜け、キングスライムの後ろにまわる。
「もういっちょっ!」
俺を見失っているキングスライムに、二度目の攻撃を仕掛ける。
「やぁっ! たぁっ!」
驚くキングスライムに、三度、四度と追撃をかける。
ぽよ~ん
四度目でこちらに気づいたらしく、こっちに向き直るキングスライム。
「だが甘いぜっ!」
俺は、キングスライムが向き直る方向と同じ方向に回り込み、再び背後をとる。
「ハァッ!」
そのまま再び切りつけ、キングスライムに確実にダメージを與えていく。
ぽよんっ!
「うぉっと!」
學習したのか、キングスライムが後ろに向けて攻撃をしかけてくる。
俺はなんとか防ぐが、カウンターをける可能を考え、一度キングスライムから距離をとる。
「ラン様! 今の防ならば、多くらった程度ではあまり大きなダメージにはなりませんっ! 臆せずにそのまま攻撃をっ!」
「ラン君、かっこいいところをみせてくれるんでしょ?」
「ラン君っ! そのままきめちゃいなさいっ!」
「わかった! イクゼェッ!」
俺は三人の聲に従い、再び距離を詰めて切りかかる。
「うおぉぉぉぉっ!」
そのまま離れずに連続で切りつけていく。
ぽよよよ~ん
さすがに危機をじたのか、キングスライムが俺から離れる。
「離れたということは、後しで倒せるはずですっ!」
「「いっけぇっ! ラン君!!」」
「うおぉぉぉぉっ!!」
おれは駆け出し、飛び上がる。
「チェェストォォォ!!」
そしてそのままキングスライムを一閃した。
ふにゃふにゃふにゃ
その攻撃でHPがなくなったらしく、キングスライムはその場で潰れて消え去った。
「よっしゃぁぁぁ!
勝ったぞーーー!!」
俺は初めてのちゃんとした戦闘に勝利を収めた。
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