《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》27.真理のお誕生日會
――翌日、學校にて
「マジかよお前。波戸山っつったら溫泉で有名の大企業じゃねえか。その社長令嬢の誕生日會に招待されたって、ヤバイな」
「そうなんだよね。だから、今日はログインやめとく」
「それならしょうがないな。ま、頑張れ」
幸也に今日の午後から一緒にTPOやらないかとわれたので、昨日の出來事を話したらこんな會話になった。
◆◇◆◇◆
終業式が終わり、家に帰ってから數時間経ち17時になると、桃香が前に乗ってきたリムジンで迎えにきた。
リムジンに乗り波戸山家に向かう道中、自分の誕生日を言おうとして言い淀んだ。
何故なら自分から、この日が誕生日だから、なんて言うほど図々しいものはないからだ。そう思った僕は、桃香の誕生日を聞いてから自分の誕生日を言うことにした。
「そう言えば、桃香の誕生日っていつ?」
「私ですか? 私は8月19日です」
「えっ、近っ!?」
「龍さんはいつなんですか?」
「桃香の三日後」
「えっ!? ということは、22日ですか?」
「うん」
「じゃあ、一緒にお祝い出來ますね!」
「うん、まぁ、そうだね」
間に二日あるけど……。でもそっか、そんなに近いとは思わなかったな……。ちゃんとプレゼント用意しなきゃ。
一応誕生日を教えることが出來たので、今日の第一目標を達した。次の目標は、真理の誕生日會を楽しむことだ。
それからしばらくして、とある大豪邸に到著した。
「えっと、ここは?」
「真理ちゃんのお家です」
「さすがに大きすぎない?」
「家の雰囲気が違うだけで、龍さんのお家の大きさとあまり変わらないですよ?」
「えっ? そうなの?」
見るからに僕の家よりも大きい気がしたんだけど、言われてみれば確かに和風か洋風かと構造が違うだけで、大きさはあまり変わらないかも。
「それに、龍さんのお家の方が大地主の土地だっただけあって、敷地広いですからね?」
「確かに……」
僕と桃香がそんなやり取りをしていると、タキシードをに纏った年配の男の人がやって來た。
あれだ、執事ってやつだ。本初めて見た。本當に執事って居たんだ……。
「桃香様、ようこそおいでくださいました。そちらの方は?」
「事前にお伝えしていた、私の彼氏です」
「そうですか。お名前をお聞きしても?」
「あっ、猿渡龍です。よろしくお願いします」
「ああ、剣道の県大會で三連覇された」
「あ、はい、そうです」
僕ってそんなに有名だったの? 全然自覚無いんだけど……。
「なんでも、桃香様のお兄様を三回も破って優勝なさったとか?」
「ええ、まぁ、そうですけど……」
「そんな凄い方に來ていただけるとは、お嬢様もお喜びになることでしょう。是非、祝ってあげてくださいませ」
「あ、はい」
そんなやり取りが終わると、中へと案された。
玄関からヤバイの一言。凄く綺麗な上に大理石で造られてる。
お金持ちなだけあって、々な置や豪華な額縁にはめられた絵なんかが、玄関から続く廊下にところせましと飾られている。
一気に場違いが出てきた……。普通の服裝で良いって言うから普通の服裝で來たけど、全く家の雰囲気と合ってない。
桃香は元からオシャレだしお嬢様っぽい服裝だから、いつも通りと言えばいつも通りの服裝と言えるし、この家の雰囲気とも合ってる。
僕がそんなことを思いながらソワソワしていると、桃香がこう言ってきた。
「龍さん、また場違いだとか思ってませんか?」
「な、なんでわかった……」
「それは、私が龍さんの彼だからに決まってるじゃないですか」
「それもう彼の域を越えてる気がするけど?」
「気のせいです」
誇らしげで嬉しそうな表をしながらそう言う桃香。
そんなこともありつつ、タキシードの人に連れられて著いたところは、リビングにしては広い場所で既に何十人かが集まっていた。
「龍さんは、ここで待っていて呼ばれたらってきてくださいね」
「えっ? あ、うん、わかった」
ここで一人で待つの? 長く待つのは嫌だから、早めに呼んでほしい。
桃香が中へっていくと、「待ってたよ!」とか「連れてきた?」とかざわざわしていた。
うわ、たぶん拍手もあるんだろうけど、これ絶対呼ばれてっていったらざわつくやつじゃん。
というか、見る限りほぼ全員がそれなりの服裝で來てるんだけど!? 本當に普通の服裝で良かったの!?
そんなことを思いながら待っていると、「ここで、サプライズゲストの登場です!」という司會者(?)の聲が聞こえてきて、すぐさま「それではおりください! どうぞ!」と聞こえたので中へった。
司會者らしき子の僕から見て左に數歩離れたところには、真理と思われるの子が居た。その子はってきた僕を見て、嬉しさ半分驚き半分な顔をしていた。
中へると、盛大な拍手と歓聲で迎えられ、どこへ行けば良いのか迷っていると、全員の前方に居る司會者らしき男の子が「こちらへどうぞ」と言って傍らを指したので、心の中では嫌だなと思いつつ顔はニコリと笑ったまま示された場所へ行った。
というか、これは完全に主役よりも目立っちゃってるよね? ごめん真理、僕はこんなつもりじゃなかったんだ。
みんなの前に立つと、司會者らしき男の子が「サプライズゲストは、我らがの神桃香様の彼氏であり、剣道の個人戦の県大會で三連覇した猿渡龍さんです!」と凄く恥ずかしい紹介をした。
いや、完全に桃香の方が恥ずかしいと思う。だって、「我らがの神」って言われたし。
そんなことを思っていると、司會者の男の子がこう言った。
「それでは猿渡龍さん、何か一言」
えっ!? なんも考えてないんだけど!? いや、でも、取り敢えずなんか言わないと……!
「あ、えっと、初めまして猿渡龍です。よろしくお願いします。先ずは真理さん、お誕生日おめでとうございます。たぶん驚いたと思いますが、僕も驚いています。なんせ招待されたのが昨日だったので、噓でしょ、明日ッ!? と思いましたから。會うのはこれで2回目ですけど、1回目はゲームの中だったので実質これが初めてですね。これからも仲良くしましょう。今日は本當におめでとうございます。以上です」
僕の一言(?)が終わると、こんなに喋ると思ってなかったのか全員が唖然としていた。
あれ? 僕なにか変なこと言ったかな……。そう思っていると、桃香が出てきてこう尋ねてきた。
「龍さん、今のは考えてあったんですか?」
「いや? 即興だよ? 喋るとは思ってなかったから焦ったけど、意外となんとかなった」
いやぁ、本當に焦った! と苦笑しながら言うと、全員が一斉に『即興!?』と驚いた。
そのすぐ後、速人に楓季に輝の三人が駆け寄ってきた。三人も同じクラスだったのか。
「龍さん、真理さんに會ったのが2回目ってどういうことですか」
「さっき言った通りゲームの中で會ったんだよ。昨日だけど」
「昨日!?」
「龍さんに會いたくて會ったんですの」
おっと、この特徴的な口調は……。そう思って聲がした方を見ると、さっきの真理らしき子が傍に立っていた。
「マリー?」
「はいですの。本名は聞いたと思いますが、波戸山真理ですの。今日は來てくださってありがとうですの。龍さん。とても嬉しいですの」
「それは良かった。改めて、お誕生日おめでとう」
「ありがとうですの」
満面の笑みでお禮を言う真理。來て良かったと思っていると、速人がこんなことを聞いてきた。
「龍さんは、何かプレゼント持ってきたんですか?」
ギクッ!? ほら、やっぱり持ってきた方が良かったんじゃん! ……まぁ、こうなることは予測済みだったから、実はこっそり持ってきてたりする。
ポケットから出そうとしてそこで真理が慌てながら遮るようにこう言った。
「り、龍さんが來てくれたのがプレゼントなので、龍さんからのプレゼントは大丈夫ですの!私が龍さんからのプレゼントをけ取るのは、憲法に反するんですの!」
「いや、そんな憲法無いよ!?」
「というか、持ってきてないですよね? プレゼント、持ってきてないですよね? ね?」
必死にけ取らない姿勢を見せる真理。なんでかはなんとなくわかってる。何故なら、桃香が真理の後ろから真理の耳になにかを囁いているからだ。
そんなに他の人に僕からのプレゼントをけ取ってほしくないのか……。昨日ゲームの中では嫌そうにしてなかったのに。
「桃香、圧力掛けるのは良くないよ。それと、持ってきたプレゼントはばあちゃんが持ってってって言って持たされたものだから」
「それなら許可します」
桃香から許可が下りたので、ポケットからそれを出して真理に手渡した。
「はい、真理。誕生日プレゼント」
「こ、これは、製造元不明かつ數がない手作り髪飾り!? ど、どうしてこれを龍さんのお祖母さんが?」
「どうしてって、それ、うちのばあちゃんが作ってるものだから」
『えぇええええ!?』
思わぬ事実に一斉に驚くの子達。
「誰にもらさないでよ。絶対に言ったらダメだよ? 手紙、メール、LINE、ツイッター、フェイスブックでもダメだから。ばあちゃんに迷がかからないように、絶対にらさないでよ?」
「り、龍さん、顔が近いですの……しかもちょっと怖いですの……。わ、わかりました、わかりましたですの! 絶対に言いませんから顔を離してくださいですの!」
わかればよろしい。と言いながら顔を離すと、桃香が微妙に不機嫌そうだった。
「あれ? 桃香? どうした?」
「……ズルいです」
「えっ?」
「そんな凄いものをプレゼントするなんてズルいです!」
「いや、これは僕からじゃなくてばあちゃんからだからね? 桃香の誕生日にはちゃんと僕からのプレゼントをあげるから」
「それはそうですけど、なんか負けた気がします」
そう言って暗い顔をする桃香。
それから僕は桃香を元気づけるのに必死になり、ようやく元気になったと思ったら、桃香のクラスの子達に群がられ、話しをしたり質問に答えたりと、てんやわんやとなった。
そんなこんなで誕生日會が終わり、真理に挨拶をしてから桃香のリムジンで家まで送ってもらおうとしたら、速人と楓季と輝が大きな荷を持ってやってきた。
「三人とも、なんでここに? しかも、そんな大荷で」
「龍さんの家に泊まるからに決まってるでしょう!」
「今日から!?」
「でないと夏休み中ずっとじゃないですから!」
速人がキリッとした顔でそう言ってきた。
初耳だからばあちゃん達に伝えてないんだけど……。そう思っていると、速人がこう続けた。
「安心してください! 龍さんのお祖母さんには伝えてあります! というか、さっき伝えました!」
「あっ、そうなんだ……なんというか、思ってたんだけど、速人って手回しが良いね……」
「いやぁ、それほどでも!」
いや、褒めてないからね? 僕は照れている速人に心の中でさりげなくそうツッコミをれた。
そんなやり取りもありつつ、やり取りが終わり桃香のリムジンに乗ると、いつの間にか桃香の荷が置いてあった。
今日から僕の家に泊まるの決定なんですね、わかります。ばあちゃんに了承してもらってあるって言ってたし。
そんなじで、速人達も桃香のリムジンに乗り、僕の家に向かうことになった。
【書籍化・コミカライズ】三食晝寢付き生活を約束してください、公爵様
【書籍発売中】2022年7月8日 2巻発予定! 書下ろしも収録。 (本編完結) 伯爵家の娘である、リーシャは常に目の下に隈がある。 しかも、肌も髪もボロボロ身體もやせ細り、纏うドレスはそこそこでも姿と全くあっていない。 それに比べ、後妻に入った女性の娘は片親が平民出身ながらも、愛らしく美しい顔だちをしていて、これではどちらが正當な貴族の血を引いているかわからないなとリーシャは社交界で嘲笑されていた。 そんなある日、リーシャに結婚の話がもたらされる。 相手は、イケメン堅物仕事人間のリンドベルド公爵。 かの公爵は結婚したくはないが、周囲からの結婚の打診がうるさく、そして令嬢に付きまとわれるのが面倒で、仕事に口をはさまず、お互いの私生活にも口を出さない、仮面夫婦になってくれるような令嬢を探していた。 そして、リンドベルド公爵に興味を示さないリーシャが選ばれた。 リーシャは結婚に際して一つの條件を提示する。 それは、三食晝寢付きなおかつ最低限の生活を提供してくれるのならば、結婚しますと。 実はリーシャは仕事を放棄して遊びまわる父親の仕事と義理の母親の仕事を兼任した結果、常に忙しく寢不足続きだったのだ。 この忙しさから解放される! なんて素晴らしい! 涙しながら結婚する。 ※設定はゆるめです。 ※7/9、11:ジャンル別異世界戀愛日間1位、日間総合1位、7/12:週間総合1位、7/26:月間総合1位。ブックマーク、評価ありがとうございます。 ※コミカライズ企畫進行中です。
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