《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》28.夏休み中お泊まり會開始
家に著いてからの家の中は騒がしいことこの上なかった。
家に著くなり、速人が「やっと、やっと龍さんの家に泊まれる……!」とガッツポーズをしながら言い、楓季が「俺、龍さんの家に泊まるのが夢だったんだ!」と大袈裟なことを言い、輝が「和風って落ち著くわよね」と大人なことを言い、桃香がそんな三人に対し自慢気に「ふふん、私は一度泊まりましたから!」と言った。
そのせいで家にる前にちょっとした口論になってしまったけど……。
家の中にってからも、ワイワイガヤガヤとお喋りをしながら夕飯を食べたり、テレビを見たりしていた。
そんな賑やかな四人を見ていると、これから約一ヶ月間こんなじが続くんだと思い、いつもより気分が高揚した。
両親が居たときも、居なくなってから今までも三人での夏休みだったので、大勢での夏休みは初めてだ。いや、両親が居たときは一人になることの方が多かったので、両親との思い出はない。
でも、休みになったときは全力で僕と遊んだり旅行したりしてくれたので、それなりに思い出は殘ってる。
僕が慨深そうにしている間も、四人はワイワイガヤガヤとお喋りを楽しんで……ると思ったら、夏休みの宿題をやっていた。
「龍さん龍さん、ちょっと教えてもらいたいところがあるんですけど」
速人にそう言われた僕は、苦笑しながら速人のところへ行った。
「どこがわかんないの?」
「この『タンザニアで発見された猿人は?』っていう問題なんですけど、名前が出てこないんです……」
おっふ、世界史か……。僕日本史選択だから世界史ってあまりわかんないんだよね……。というか、さすがお金持ちが通う學校。中學でこんな詳しいところまでやるとは。
でもまあ、これは聞いたことあるから答えられる。
「えーっと、確か、ホモ=ハビリスだったと思う」
「ああ! それですそれ! ありがとうございます!」
「どういたしまして」
スッキリした顔で再び勉強に勤しむ速人。
ふぅ~、一瞬焦ったけどなんとかなった。聞かれたやつが知ってるやつで良かった。
しかし、そう思っているのも束の間。今度は楓季が質問してきた。
「龍さん、さっきからこの『2x+4y=-8,-3x+5y=6の連立方程式を解きなさい』っていう問題の答えが合わないんだけど」
「ん~…………あっ、ここのプラスとマイナスれ替わってるよ」
「うわっ、本當じゃん! ありがとう、龍さん!」
「どういたしまして」
楓季の質問に答え終わるや否や、今度は輝が質問してきた。
「龍さん、『1338年に征夷大將軍になり室町幕府を開いた人は?』という問題……」
「足利尊氏だよ」
日本史を聞かれたことが嬉しくて、つい速答してしまった僕を見て、速人や楓季がこう言ってきた。
「なんで日本史だけそんなに答えるのが速いんですか!?」
「俺らの時より速いじゃんか!」
「そりゃあ日本史が得意だからに決まってるでしょ。それ以外に理由はない」
僕がそう言って得意そうにしていると、桃香も質問してきた。
「龍さん、chemical fertilizerって和訳すると何でしたっけ?」
「……化學料じゃなかったかな」
「そうでした! ありがとうございます!」
「どういたしまして」
というか、化學料が出てくる文章ってどんな文章なの!?
それと、全員の質問に答えてわかったことがある。それは、全員勉強しているものがバラバラだということだ。
「みんな教科がバラバラだけど、苦手なやつなの?」
「そうなんですよ! 人と人の繋がりとか人と場所の繋がりとか深く覚えないといけない日本史より、その時々に起こった出來事や人を覚えれば良い世界史の方がいけると思ったんですけど、カタカナが多くて覚え難くて苦戦してます……」
僕が質問すると速人が逸速くそう答えた。速人が答え終わると、楓季、輝の順にこう言った。
「俺も數學は苦手だなぁ。いつも符號間違えるし」
「私は、速人の反対の理由ね。世界史の方が覚えやすいもの」
そして、最後に桃香がこう言った。
「私は、苦手というか……ただ、龍さんに質問したかっただけです……」
てへっ。といったじで本音を吐き出した桃香。それを聞いた僕が、えっ? そうなの? という顔をすると、輝がこう言った。
「桃香はいつも學年の績トップを取ってるもの。本當は宿題なんてとっくに終わってるのに、龍さんに質問したいがために態々持ってきたのよ? 龍さん、されてるわね?」
あれ? そのセリフ、前に真理にも言われたよ? 流行ってるの? とは思ったけど、聞かなかった。聞くほどの事でもないし。
「そう言えば、龍さんは宿題やらないんですか?」
そう聞いてきたのは、速人だった。
「宿題なら貰ったその日に終わらせたよ。一緒にやってると、質問されたら返答に集中しちゃって進まない気がしたから」
「龍さんって、強い上に頭良いんですね!」
「剣道バカだと思ってた」
「はいそこ龍さんをバカにしない! 桃香が凄い形相で貴方のことを睨んでるから!」
「龍さんを、バカにした……。許しません! ええ、絶対に許しませんとも! これは、何か罰を與えないと……!」
ヤバい! 桃香の雰囲気が真っ黒だ! 目がを失ってて、完全に怒ってる顔だ!
「桃香、落ち著いて! 剣道バカって程ではないけど、確かに剣道は好きだから! 気にしてないから!」
「龍さんがそう言うなら……。良かったですね、楓季君。龍さんが寛容で。私は許しませんけど!」
許さないんかい!! 僕が良いって言ってるんだから許してあげてよ! でもまあ、いつもの桃香に戻ったから良しとしよう。
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***マイクロマガジン社様にて、コミカライズと電子書籍化が決定しました!応援してくださった皆様、本當にありがとうございます。*** シルヴィアには、幼い頃に家同士で定められた婚約者、ランダルがいた。美青年かつ、魔法學校でも優等生であるランダルに対して、シルヴィアは目立たない容姿をしている上に魔法の力も弱い。魔法學校でも、二人は不釣り合いだと陰口を叩かれていたけれど、劣等感を抱える彼女に対していつも優しいランダルのことが、シルヴィアは大好きだった。 けれど、シルヴィアはある日、ランダルが友人に話している言葉を耳にしてしまう。 「彼女とは、仕方なく婚約しているだけなんだ」 ランダルの言葉にショックを受けたシルヴィアは、その後、彼に婚約解消を申し入れる。 一度は婚約解消に同意したものの、なぜかシルヴィアへの執著を隠せずに縋ってくるランダル。さらに、ランダルと出掛けた夜會でシルヴィアを助けてくれた、稀代の光魔法の使い手であるアルバートも、シルヴィアに興味を持ったようで……? ハッピーエンドのラブストーリーです。 (タイトルは変更の可能性があります)
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