《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》34.ダンジョンに挑戦 2

十一階層も九階層までと同じで、迷路式になっていた。

この階層で出てきたモンスターは、甲冑をに付けた鬼人だった。骸骨剣士の後に武士とか、さすがにキツいよ……。

「リュウさん、リュウさん」

「どうかした?」

「あの鬼人なんですけど、ソードマンしか相手にしないので、頑張ってください!」

ハヤトがそう言いながら僕に向かって笑顔で親指をグッと立ててきた。

そんな設定が出來たのって、完全に僕のせいだよね? 僕を進みにくくさせるための設定だよね?

他のソードマンの人達、ごめんなさい……!

そんなことを思っていると、鬼人が斬りつけてきた。

僕は、それを避けながら刀を抜いて鬼人のを斬ると、思いの外斬れやすくてが上下に真っ二つになり、鬼人は消滅エフェクトと共に消えた。

「なんだ、結構簡単に倒せるじゃん。今までなにかしら厄介な部分があったから、てっきり鬼人にもなにかあるのかと思ってたけど」

「殘念ながらありますよ。1倒すとそこに100集まってくる特が」

なんだそれ!? 早く言ってよ!! ということは、こうしている間に集まってくるってこと?

そう思って僕がさっき消えた鬼人の方の道を見ると、奧からガシャンガシャンと金屬の音を立てながら近づいてくる影が見えた。

集まってきてしまった……。あれじゃん。ゴキブリじゃん。1匹見つけたら100匹居るならぬ、1倒したら100やってくる。

100も倒すの面倒くさいなぁ。シアンにやってもらうのも手だけど、それはなんか他の攻略者達と不公平なんだよね……。仕方ない、自分で倒すか……。

そう決意した僕は、四人に「正面突破するから、走って付いてきてね」と告げた後、全力で走りながら1倒すと100集まる特のせいで集まった100以上の鬼人を倒し、最後の1を倒し終えると運よく次の階層に続く階段のところに著いた。

後ろを見ると、四人が走ってくるのが見えた。

「や、やっと追いついた……」

「リュウさん速すぎ……!」

「あのスピードで全部倒すなんて凄いわね……」

「さすがリュウさんです!」

一人を除いてぐったりしている様子の三人。ブランは、自分で走ったわりに疲れていない様子だった。

「ブラン、大丈夫? 疲れてない?」

「クゥクゥ!」

「本當に疲れてない? なんだったら、モモに頼んで抱いてもらう?」

「クゥクゥ」

「この前抱いてもらって気持ちよかった? ぜひお願いしたい?」

ブランがそう言うので、モモに頼んでみると快く聞きれてくれた。

「ブランの抱き心地、モフモフですし、なんと言っても熊ですから。熊好きの私としては願ったり葉ったりです!」

「あ、うん、じゃあ、お願いします」

僕がそう言うと、モモは嬉しそうにブランを抱き上げた。

そんなに熊が好きなのか……。クロみたいな怖いじの熊でさえ可いって言うぐらいだから、相當だよね……。

そんなやり取りの後、僕達は十二階層へった。

十二階層は、相変わらずの迷路式だけど出てきたモンスターがゾンビだった。ちょっとちょっと、これじゃあ違うゲームじゃないか。

「リュウさん、リュウさん」

「今度は何?」

「あのゾンビなんですけど、ゾンビなので無限に復活してきます」

なんだそれ、面倒くさっ!? そう思っていると、ハヤトがこう付け加えた。

「あ、でも、浄化魔法があれば消し去れますよ」

「ハヤトは使えるの?」

「使えません。浄化魔法は今回のアップデートで追加されたものなので、あるクエストの報酬で使えるようにしてあります」

「それ、ここに來る前に言ってほしかった……」

まぁ、過ぎたことをとやかく言っても仕方ないので、ここは倒したら復活する前に突破することにしよう。

そのことを四人に提案すると、四人は「またか……」といった表になりつつも、「それしかないか」といった諦めの顔で顔を見合わせてから頷きあった。

作戦が決まったので、さっきのように僕が全力で走りながら先陣切って群がるゾンビを倒し、四人が後ろに走って付いてくるというのをしながら、次の階層に続く階段を目指した。

次の階層に続く階段に著くと、見知った人達が居た。

「あれ? マクロじゃん」

「あ、リュウだ」

「まだこの階層なんだね。てっきりもっと上の階層に居るのかと思ってた」

「なんかムカつくな、その言い方。思いの外苦戦してたんだよ。十階層の骸骨剣士とか、十一階層の鬼人とかに」

「ふ~ん。大変だったんだね」

「その様子だと、苦戦してなさそうだな」

「まあね」

後ろの四人のうち三人はぐったりしてるけど……。主に僕のせいで。

モモは、なぜかブランを抱いて走ったにも関わらず元気そうにしている。

すると、マクロが突然こう提案してきた。

「なら、俺達と一緒に行かないか? リュウが居ると、早く攻略できそうだしさ」

マクロの言葉にカナデ,クリア,マサトの三人はうんうんと頷いた。

「そこは自分達の実力で頑張ってよ。トッププレイヤーなんだからさ」

「そっか、そうだよな。殘念だなぁ……」

いや、そんなにチラチラと見ながら言われても一緒には行かないよ?

そんなマクロ達を置いて、僕達は先に十三階層へと進んだ。

後ろから付いてこられても困るので、この階層も早めに突破したいけど、この階層で出てきたモンスターは厄介なことに空を飛んでいた。

「コウモリ?」

「あぁ、違います、違います。コウモリの姿をした吸鬼です」

「えっ?」

「いかにも、我輩こそ偉大な初代吸鬼様の子孫。吸鬼三世だ」

喋った……。というか、いつの間にかコウモリから人の姿になってる。

「吸鬼は特殊な倒し方をしないと倒せません」

「もしかして、杭が必要とか?」

「おぉ! よくわかりましたね、リュウさん! その通りです!」

「ということは、またクエストの報酬になってたり?」

「しますね」

「だからさハヤト……そういう大事なことは早く言おうよ……」

絶対わざとだよね? 僕をからかって楽しんでるよね?

「あっ、あと、攻撃しても直ぐ様回復するので実質無敵ですね」

「えっ、じゃあ無理じゃん。ここって一旦出ることできないの?」

「できますよ。メニューから一時撤退を選択すれば。しかもちゃんと出た階層から再開できます」

「じゃあ、一旦出て必要なものを揃えてから再挑戦ってことで。吸鬼三世さん、出てきたところ悪いんですけど、また來るんで待っててください」

「なっ、我輩を待たせるというのか!?」

そんな、目を見開いて慌てて言っている吸鬼三世の言葉は無視して、僕達はメニューから一時撤退を選択して一旦ダンジョンを出た。

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