クエスト注場所に著いた僕達は、直ぐ様杭が貰えるクエストを注し、依頼主のところへ向かった。

容は、『吸鬼ハンターと協力して吸鬼を倒せ』というものだった。

いや、結局どちらにしろ吸鬼は倒すんかい！！　まぁ、このクエストが吸鬼の倒し方のチュートリアル的なものなんだろうけど……。

依頼主のところに著くと、そこは森の中の小屋だった。

その小屋のドアをノックすると、中から出てきたのはまさかの人なお姉さんだった。

でも、なぜか全を覆うように分厚い布をに纏っていた。

「どちら様？」

「吸鬼を倒すのを手伝いに來たんですけど」

「あらそう。よく來たわね。中にってちょうだい」

お姉さんに中にるように言われたので、お姉さんに続いて中にった。

お姉さんが背を向ける時、一瞬ニヤリとするのが見え、さらに、なにかがキラッとったのが見えた。

んー、なんかわかっちゃった気がするなぁ。

でもまあ、せっかくだし、このままにしておこう。一応、何があっても良いように、いつでも刀が抜けるようにはするけど。

中へると、お姉さんが僕達に椅子に座るように言い、お茶を淹れに行った。

そして、お茶を淹れ終えたお姉さんがお盆に人數分のお茶を乗せて運んできた。

僕以外の四人は、なんの疑いもなく出されたお茶を飲んだ。僕は飲まずにさりげなく「吸鬼の話が聞きたいです」と言うと、お姉さんは吸鬼について話し始めた。

話し始めてし経つと、ハヤト達がけなくなった。……やっぱり、そうなったか。

恐らく麻痺毒でもお茶に混ぜたんだろう。飲まなくて正解だった。

「なぜ君は、お茶を飲まなかったの？」

「この小屋にる時に、貴の尖った八重歯がったのが見えたからですよ」

「そう、バレていたのね。私が吸鬼だと」

「まぁ、最初その格好を見た時は、吸鬼に噛まれないようにしてるのかと思いましたけどね。でも、八重歯を見てわかりましたよ。日に直接當たらないためだってね」

「凄いわ。そこまでわかった人は貴方が初めてよ。ご褒として、今回は見逃してあげる。でも、次會った時はを貰うわ」

お姉さんはそう言うと、小屋を飛び出していった。

これで一難去った訳だけど、本の吸鬼ハンターさんはどこにいるんだろう？　……って、今はそんなことよりも、みんなの狀態異常をなんとかしないと！

ブランって、狀態異常は治せるんだっけ？

「クゥクゥ！」

「えっ、なに？　任せろって？　狀態異常治せるの？」

「クゥ！」

「じゃあ先ずはモモから頼むよ」

絶賛モモに抱かれ中だし、モモから治さないと、他の三人を治せないからね。

ブランがしったと思ったら、モモがけるようになった。そしてその後、他の三人もブランが治したおでけるようになった。

「あ、危なかったです……まさか、あのの人が吸鬼だったなんて……リュウさん、助けてくれて、ありがとうございました」

モモが律儀にお禮を言ってきた。

「いいよ、気にしなくて。気づいたの、偶々だったし」

「でも、よく気づいたよな。八重歯が一瞬ったのが見えたとか、リュウさんの注意力と観察力、半端ないな……」

「そうね。リュウさんだからこそできた蕓當よね」

「完全にこういう設定にしてたの忘れてました……！」

ハヤトが、凄く、不覚を取ったみたいなじでそう言った。

そんなやり取りをしていると、小屋のドアが開く音がしたので、全員が一斉にドアの方を向くと、１メートルぐらいの杭を持ったひげ面のしっかりとしたがたいのおじさんだった。

「ん？　なんだおめぇら、人の家に勝手にり込んで」

「えっと、それが……」

僕が代表して説明すると、おじさんは納得してくれた。

「そうか、それは災難だったな。前にも何回か同じことがあったんだ」

「そうなんですか」

「それにしても、そんな些細なことに気づくとは、おめぇ中々見込みがあんじゃねぇか」

おじさんは、そう言って笑いながら僕の頭をワシャワシャとでてきた。

頭でられたの、いつ振りだろう。小さい頃、父さんにでられた時以來だから、１０年ぐらい振り？

なんにしろ、１７歳になっても、頭でられると嬉しいことがわかった。

「ありがとうございます。それで、吸鬼を倒すには、どうしたらいいんですか？」

「簡単だ。この杭を、吸鬼の鳩尾辺りにぶっ刺せばいい。だが、言うは易く行うは難しだ。奴は々な手口でこっちの攻撃を防いでくる。いつもは俺一人で苦戦するが、今回は人數が多い。確率はいつもの倍以上だ。よろしく頼むぞ」

おじさんの言葉に僕達は、頷きで答えた。

その後僕達は、吸鬼を倒すための作戦を立て、吸鬼が現れる場所へ向かった。

吸鬼が現れる場所に著くと、お姉さんが待ちかねた顔をして待っていた。

「やっと來たわね。さあ、貴方のをちょうだい」

「あげませんよ、僕は一言もあげるなんて言ってませんから」

「そう言うと思ったわ。貴方がその気なら、力づくで貰うわね」

「殘念、その前に貴は杭に刺されて死にます」

「ふふ、できるかしら……えっ！？」

驚いたのも無理はない。今僕は吸鬼のお姉さんの目の前に居るのだから。

吸鬼のお姉さんの目の前に行った僕は、後ろへ回り込んで吸鬼のお姉さんの脇に腕を通して、ガッチリと捕まえた。

そして、僕が「今ッ！」とぶと、おじさんが杭を抱えて僕が捕まえた吸鬼のお姉さん目掛けて猛ダッシュしてきた。

そう、これは僕が一緒に杭に刺される作戦だ。杭のダメージは、吸鬼にとっては一撃必殺だけど、プレイヤーに対しては５００と微量なのでこの作戦になった。

この作戦を言った時、結構反対されたけど……主に、モモとシアンとブランに。

それでも、萬が一のことを考えて一番ＨＰが高い僕がその役目を擔うことになった。

とうとう、おじさんの杭が吸鬼のお姉さんを捕らえ、僕も一緒に突き刺した。

よく考えたらこれ、某球を七つ集める漫畫に似たようなシーンあったよね。作戦を言った時は、全く気づかなかったけど。

「ま、まさか、この私が負けるなんて……！　見事だったわ」

そう言い殘した吸鬼のお姉さんは、杭が刺さったままの僕を殘して、サラサラと砂になっていった。

おじさんは、その砂を殘さず集めて袋にれると、僕に刺さったままの杭を抜いてくれた。

すると、直ぐ様ブランが駆け寄ってきて回復してくれた。

「ありがとう、ブラン」

「クゥクゥ！」

お禮を言いながらでると、ブランは嬉しそうに目を細めた。

「よくやったぞ、リュウ！　お前のおで、吸鬼を倒すことができた。ありがとう」

「いえ、お役に立ててよかったです」

吸鬼を倒したことにより、クエストクリアとなった。そして、おじさんが杭を１００本譲ってくれた。

ハヤトによると、おじさんとの信頼関係や倒すまでの経緯によって、杭の貰える本數は変わるそうだ。

因みに、上限は１００本。悪くても最低二本は貰えるらしい。

ということは、僕達は最も良い進め方をしたってことか。

「さすがリュウさん！　僕達にできないことを平然とやってのけるッ！　そこに痺れる、憧れるッ！」

「ハヤト？　急にどうしたの？」

「えっ、だって、リュウさん、そんなことしかしてないんですもん」

「そうだな。自分が犠牲になって杭に刺されるとかな」

「そうね。常人では思い付かないわよね」

だって、それが一番確実に杭を刺せる方法だったから。と言おうとしたら、モモが先に喋りだした。

「それは、リュウさんが頭おかしいって言いたいの？」

「違うわよ。常人では思い付いても勇気がなくてやらないわよねって話よ」

「ふ～ん、ならいいけど」

「リュウさんのことになると、こうなるから難しいのよね……」

そんなことを、やれやれと言ったじでボソッと呟くヒカリ。なんか、ごめん……。

そんなやり取りもありつつ、杭のクエストが終わったので再びダンジョンに挑戦するため、僕達はダンジョンへ向かった。