《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》38.夏祭り 1

時は進み土曜日になり、夏祭りの日がやって來た。

ただ、祭りは17時からなのでそれまでTPOをやることになった。

しかし、ここで問題が発生した。速人達が夏祭り一緒に行かないかとってきたのだ。

「龍さん、今日夏祭りがあるので一緒に行きませんか?」

そう聞かれた僕がどう答えようか悩んでいると、桃香がはっきりと「今日は私と二人で回るから、三人で回って」と言った。

それを聞いた速人は、慌てて「そりゃそうですよね。お祭りですもんね。僕達は僕達で回るので、二人で楽しんでください」と言った。

完全に気を使わせてしまった……。

申し訳ないと思いつつ、TPOをするためログインした。

◆◇◆◇◆

17時の30分前にログアウトした後、速人達三人は先に行き、僕と桃香は浴に著替えてからお祭りに向かうことになった。

著替え終わってまだ著替えている桃香を待っていると、「お待たせしました」と桃香が來たので見てみると、ピンクの浴に黃い帯、浴髪型がよく似合っていた。

いつも以上に可くて驚いた。

「ど、どうですか?」

「よく似合ってるし、可いよ」

「そ、そうですか? えへへ、ありがとうございます!」

因みに、僕の浴は黒に薄い灰の波のような模様がった浴だ。

桃香は僕の浴姿を見て、「やっぱり洋服より和服の方が似合いますね」と言った。まぁ、普段著がシンプルだから、それよりは和服の方が似合ってると思う。

それからお祭りが催されている場所へ行くと、既に大勢の人達がお祭りを楽しんでいた。

出店している屋臺を見て回っていると、桃香が立ち止まった。

「どうしたの?」

「龍さん、あれやりましょう! あれ!」

桃香がそう言いながら指を指したのは、祭りの定番的だった。

「しゃ、的?」

「どうしたんですか?」

的は苦手なんだよね……」

「いいじゃないですか、苦手でも。楽しめればいいんです」

優しくそう言ってくれる桃香。でもね、桃香、苦手は苦手でも……

「龍さん、どこに飛ばしてるんですか!? 危うく店主さんに當たるところでしたよ!?」

思いもよらない場所へ弾が飛んでいくから、楽しめないんだよ……。しかも、一回も當たったことないし、かすったこともないんだよね……。

「だから苦手って言ったのに……」

「苦手の域を越えてますよ! どうやったら屋臺の左側で真っ直ぐ撃ったはずの弾が、右側の隅に居る店主さんに當たりそうになるんですか!?」

「本當、不思議だよね。なんで真っ直ぐ飛んでいかないんだろう? 父さんと母さんは百発百中だったんだけどなぁ」

僕が不思議がっていると、桃香が「次、私がやります」と言って的銃を持った。

僕のノーコン撃に対して、桃香は6発中6発全部當てた上に當てた全て落とした。

桃香、撃得意なんだね。というか、撃つ時の桃香の目がマジでガチだった……。獲を狙う時の猟師さんみたいな目をしてた。

「見てください龍さん! こんなに取れました!」

「あ、うん、そうだね……」

クマ関係のグッズを嬉しそうに見せてくる桃香。クマが大好きなのがよくわかった。

的を終えた僕達が次にやったのは、くじ引きだった。

一等から十等まであって、一等は僕達が既に遊んでいるTPO,二等は某人気カードゲームのレアカード五枚,三等は某人気探偵マンガ最新巻を含めた約九十巻,四等は桃香が大好きな大きめのクマのぬいぐるみ(リ○ックマ)で、五等以下もそれなりにいい賞品だった。

「あれです、あのぬいぐるみがしいです!」

「よし、任せて。さっきの汚名返上するから」

「ハッ、無理無理! くじ引きなのに狙って當たるもんか!」

僕の言葉に、店主のおじさんが嘲笑いながらそう言ってきた。

僕はお金を払い、箱にった三角形のくじを引き、ホチキスで止められた紙を開くと……

「そ、そんなバカな!? きっちり四等を當てやがっただと!?」

「ふぅ、これで汚名返上できた」

「さすが龍さん、凄い強運ですね!」

「強運過ぎだろう!?」

店主のおじさんがそんな風に驚きながらも、ぬいぐるみを渡してきたので、桃香に渡した。

「はい、桃香」

「ありがとうございます! 他のグッズよりも大切にします!」

ぬいぐるみを抱きながら嬉しそうにそんなことを言う桃香。

クマグッズが七つになって持ちきれなくなっているので、賞品が貰える系のものはやめて、次は食べの屋臺を見て回ることにした。

見て回っていると、桃香がリンゴ飴を食べたいと言うので買ってきてあげた。すると、桃香がこう言ってきた。

「手が塞がってるので食べさせてください」

「いや、それ、片手で抱けるでしょ?」

「落としたくないじゃないですか」

「まぁ、それもそうだね。はい、どうぞ」

そう言って僕がリンゴ飴を口へ持ってってあげると、桃香は嬉しそうにしながら一口食べた。

「甘くて味しいです」

「そりゃよかった」

「龍さんの分は買わなかったんですか?」

「リンゴ飴の気分じゃなかったから」

そんなやり取りをしつつ、リンゴ飴を食べさせてあげながら、次の食べを求めて屋臺を見て回った。

すると、前から幸也がの子と一緒に歩いて來るのが見えた。

隠れようかと思ったけど時すでに遅し、向こうがこちらに気づいて手を振りながら近づいてきた。

「よっ、龍! ……って、なんでお前の子と一緒に居るんだ? もしかして、彼か?」

「猿渡くんに彼が居たっておかしくないでしょ? 幸也くんより頭良いし、剣道は東京一なんだから」

「補足すると高・校・生・で・だけどね。こんばんわ、佐倉さん。と、TPOトッププレイヤーさん」

僕が不適な笑みを浮かべながら幸也に向かってそう言うと、幸也が怒った。

「またそれか! つーか、現実でそれはやめろ!」

「ごめんごめん、ついうっかり」

そこへ佐倉さんがこう訊ねてきた。

「猿渡くんがあの牛若丸って幸也くんに聞いたんだけど、本當?」

「そのあだ名、久し振りに聞いた……けど、うん、そうだよ」

「ところで、その子、誰なんだ?」

幸也が思い出したかのように聞いてきた。

「誰って、モモだよ。僕が所屬してるギルドの」

「はぁ!? まさか、あの可いフェアリーの!?」

「初めまして、丹紫桃香です」

「あ、どうも、鉈切幸也です」

「佐倉菜奈です」

桃香がお辭儀をしながら自己紹介をしたので、二人もつられてお辭儀をしながら自己紹介をした。

その後、桃香が一緒に回らないかと提案すると、一緒に回ることになったので、四人でお祭りを楽しむことになった。

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