《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》53.プールにて 3
50メートルプールでの競爭の後、幸也が先導して次なる勝負の場所へ行くこととなった。
そして著いたのは、速人と楓季が行くと言っていた、巨大なウォータースライダーだった。
「よしっ、次はウォータースライダーでどっちが速くれるか勝負だ!」
ここのウォータースライダーが二つとも同じ長さだからいいけど、違う長さだったらどうするつもりだったんだろうか。
「ルールは言うまでもないな。よしっ、行くぞ、龍!」
「はいはい」
桃香と佐倉さんにはスライダーの出口(?)の方に居てもらい、どちらが速くったかの審査を任せ、僕と幸也はウォータースライダーに向かった。
上まで行った僕と幸也はせぇーのでり始めた。
外見からして長そうなスライダーだったけど、実際にってみると、あっという間にじた。
けど、結構り汲んでて、左右に曲がったり一週回ったりSの字に曲がったりと楽しかった。
り終わると隣には幸也が居たので、桃香達のところへ行き、どちらが速かったのか聞いてみたところ、「どっちも同じタイミングだった」と佐倉さんに言われ、それを聞いた幸也が迷いなく「もう一回だ!」と言って僕を引っ張っていった。
まぁ、べつに楽しかったし、もう一回りたいなと思ってたからいいけど。
2度目のウォータースライダーをり終わると、また同じようなタイミングだったので聞きに行くと、「また同じタイミングだった」と言われた。
これはさすがに勝負にならないので、引き分けということになり、またもや幸也を先頭に次なる勝負の場所へ行くこととなった。
そして、著いたのは、流水プールだった。
ん? 流水プールで何を勝負するんだ? 結構人が居るんだけど……。
「どっちが速く一週できるか勝負だ。人を避けながらだから、どれだけ速く泳げても意味がないからな!」
「あぁ、そういうこと。じゃあ、また二人にはここでどっちが速く一週できたか見ててくれないかな」
「私達に任せて!」
「はい。龍さんも、幸也さんも、頑張ってください!」
あれ? 二人の仲が深まってる気がするんだけど……いつの間に?
それから僕は、流水プール全を一瞥してからプールにった。
そして、佐倉さんの「よーい、ドンッ!」の掛け聲で競爭が始まった。
人を避けつつ且つスピーディーに流水プールを泳いで僕がリードしていたところ、誰かに足を摑まれた。
振り返ってみると、幸也かと思っていたけど違って、そこに居たのは速人と楓季だった。
ちょっ、君達どこから湧いて出たの!?
しかもその間に幸也に抜かれて、その上こっちを向いて流されながら、馬鹿にしたような顔をするやら最終的にはおペンペンをして僕のことを煽ってから先へ泳いでいった。
うわ、超ムカつく!! というか、おペンペンって……小學生か!
しかし、そのやり取りを見て競爭していることを察したのか、速人と楓季が足を離してくれた。
二人の方を向くと、二人とも手を合わせてごめんなさいをしていたので、いいよいいよというジェスチャーをしてから幸也を追いかけた。
幸也が抜いてから速人達が離すまでそんなに間が無かったので、すぐに追い付くことができた。
幸也は余裕の顔で後ろを振り返ると僕が居たため、ギョッとした顔をして必死に泳ぎ始めた。
そこからは、追い抜いては追い抜かれての繰り返しだった。なぜなら、負けられなくて手段を選ばなくなったのか、僕が抜區度に足を摑んできたからだ。
有りなの? と思いつつ、構ってられるかと思った僕は抜いた瞬間に全力で泳いだ。
急に全力で泳ぎ始めた僕を見て焦った幸也は、必死で泳ぐも50メートルプールの時、調子が悪いと言っていたためか、中々追いつけなかった。
そしてそのままゴールインして僕が勝った。
負けてもいい気はしたけど、それだとまだ勝負がついていないため次の勝負に移りそうだったので、どうせなら次挑もうとしないくらいにボコボコにしておこうと思ったのが理由。
「やりましたよ、龍さん。龍さんの勝ちです!」
「途中幸也が妨害してきたけどね」
「お前が速すぎなんだよ!」
「はいはい、言い訳しない。猿渡くん、幸也くんの我が儘に付き合ってくれてありがとう。桃香ちゃんもありがとう。それじゃあ私達はこれで」
そう言って佐倉さんが幸也を引っ張っていった。
「ねぇ、桃香」
「なんですか、龍さん?」
「いつの間にそんなに佐倉さんと仲良くなったの?」
「龍さん達が泳いでる間に、ですよ」
「なるほど」
そんなやり取りをしていると、速人と楓季が上がってきた。
「すみません、龍さん。邪魔しちゃって」
「まさか競爭してるとは思ってなかったからさ」
「いいよいいよ、結局勝ったし」
再び謝ってくる二人を宥めてふと周りを見ると、し遠いところに同じ年齢の男の子を連れた輝が見えた。
「あっ、あそこに輝が男の子を連れて歩いてる」
「えっ!? どこですか!?」
「本當に!? どこどこ!?」
「ほら、ウォータースライダーの近くに居るじゃん」
「あっ、本當だ! 居ます! 男の子を連れてます!」
「マジか、逆ナンパ功するもんなんだな……」
「龍さんが見惚れたぐらいですもんね?」
「いや、だからあれは、あざといことをしてきたからだっていったでしょ?」
いつまで引き摺ってるんだって言いたいけど、なんかなに言っても無駄な気がするから言わないでおこう。
その後、輝の尾行をしていたら真っ先にバレてしまったので、連れてる男の子が誰なのか聞いてみたところ、前から気になってた同じ學校の生徒だそうだ。
確かに、年な顔つきで優しそうだけど。
というか、輝と同じ學校ってことはイコールお金持ちじゃん。
「は、初めましてっ。自分、飛弾隆盛(ひだりゅうせい)って言います! 一応剣道やってるので、お會いできて栄ですっ。猿渡龍さん!」
深~く頭をさげながらそんな挨拶をしてきた。
えっ? 僕? と困してどう反応していいのか悩んでいると、隆盛くんがカバッと顔を上げてこう言ってきた。
「あの、よろしければ稽古をつけてもらえないでしょうか?」
「え、あぁ、それくらいなら大丈夫だけど」
「いいんですか!? よしっ! では、あの、今日の午後でも大丈夫ですか?」
「ん~。せっかくプールで涼しくなったのに暑苦しい格好して汗掻くのもどうかと思うけどなぁ」
「あ、でしたら大丈夫です。家に道場あるんですけど、冷房・暖房完備ですから」
「あ、そうなんだ。でもまあ、冷房はいいよ。暑い中や寒い中でやるからこそ鍛えられるんだから」
「そうですね。では、今日の午後2時頃でどうでしょうか」
その申し出を快く(?)引きけた後、今がだいたい11時なのでプールを出ることになった。
それにしても、輝と付き合うためだったのか僕目的だったのかよくわからないな。
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