《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》55.久々のダンジョン攻略

そう言えばもう、桃香の誕生日まで一週間後に迫ってるじゃないか。

自分の部屋にあるカレンダーの19日に「桃香の誕生日!!」と書いておいたのを見てそう思った僕は、そろそろプレゼント作り始めなきゃなと思いつつ、ゲームにログインした。

◆◇◆◇◆

ログインした後、ハヤト達と共に久しぶりにダンジョン攻略をすることになった。

もちろん、シアンとブランも連れて。

五十一階層から一階層も進めていなかったので、あと350階層ぐらいあると思うと気が滅る。

加えて、難易度が僕のせいで高いので400階層まで辿り著けるかどうか、一抹の不安がある。

なんか、前にもこんなこと思ってた気がするな……。

まぁ、それはともかくとして、五十一階層へ転送してみて、目の前に広がる景を見た僕は、こう思った。

――すごく、めんどくさい……!

なぜかというと、今目の前には、珍しく他のプレイヤーが3~4人のグループ単位で3グループ居る。

その3グループのそれぞれのリーダー(?)が「俺達が先に行く!」やら「いいや、俺達が先だ!」やら「いいや、俺達だ!」やら言い合いをしていたからだ。

「うわぁ、どうしよ、これ……。やめて別のことする? 思いっきり進路塞がれてるし……」

「そうですね……。これで通してくださいって言っても巻き込まれるだけのような気がしますしね……」

ハヤトが言った言葉に、他の3人も頷いて肯定していた。

意見が一致したため、ダンジョンから出ようとしたその時、3グループの中の一人がこちらに気づいた。

「あっ、あれ! 牛若丸じゃない!?」

あっ、それ、久しぶりに聞いた。まだ生きてたんだ……。って言うと、なんか自分が死んでなかったのかって言ってるみたいなもんだから、変な気分になる。

「えっ、マジ!?」

「うわっ、本當だ! 牛若丸だ!」

「おい、俺ら邪魔じゃねぇか! 道開けろよ!」

一人が言ったその言葉に、3グループ全員従ってバッと左右に分かれた。

あっ、これ、前に桃香が理科準備室でされてたやつだ。

「龍さん、開けてもらえたんですから行きましょう」

「ん? あぁ、そうだね。せっかく開けてもらったんだしね」

そう言って僕達は、ペコペコと頭を下げながら「すみません、お先に失禮します」と言って通り過ぎた。

通り過ぎた際、チラッと「あれが、牛若丸か」だとか「トッププレイヤーのマクロより強いっていう話だぜ」「えっ、マジ!?」だとか「噂では、戦PVPで10人を瞬殺したって話だぜ」「マジかよ!?」だとか、々な言葉が聞こえてきた。

その報、一どこから……?

問い質したかったけど、我慢して奧へと進むことにした。

そして、結論から言って、五十一階層はとてもバードだった。

なんせ、ピンボールのように壁や天井や床を自由自在に高速で跳ね、當りや引っ掻きで攻撃してくるモフモフそうなネズミ(モンスター名:ウモウネズミ)や、から生えている無數の針を高速で飛ばしてくるネズミ(モンスター名:カウントレスニードル)や、一回けただけで500ずつダメージをける猛毒を持つネズミ(モンスター名:ポイズンマウス)など、様々な厄介なネズミが現れ結構苦戦した。

中でも、カウントレスニードルとポイズンマウスは特に苦戦した。

カウントレスニードルは、針は防げてもそれは自分に當たりそうな針だけであって、後ろに居るみんなに當たりそうな針までは防げなかったため、みんなに文句を言われたけどブランを預けていたので回復は間に合っていた。

とはいえ、モモやブランに當ててしまうのも気が引けるので、手っ取り早くシアンにブレスを吐いてもらって乗り切った。

ポイズンマウスの方は、これが結構小さいネズミで、パッと見では確認できないぐらいだったため、いつの間にか噛まれていた、なんてことが多発した。

毒とHPの回復は、ブランが手早くやってくれたので誰も死なずに済んだ。

しかも、ブランはすばしっこいポイズンマウスを見つけては神業のような手捌きで潰していっていた。

おかしいな……。クマって視力は良いけど視力はあまり良くないって聞いてたんだけど、あれ、違ったのかな……?

まぁ、ここゲームの中だし、現実のクマと違ってもなんら問題はないよね。

とまあそんなじで、ポイズンマウスはブランがすべて素手で潰すという、どこか可らしいようなそれでいて猟奇的なような、なんとも言えない様子だったけど乗り切ることができた。

その後も、苦戦しつつやっとのことで次の階層へと続く階段に辿り著いた。

五十二階層に行くと、今度は狼の群れが次々と襲ってきた。

こればかりは僕一人では無理なので、ハヤト達に參戦してもらった。

「龍さん、もっと頑張って全部倒してくださいよ!」

「無茶なこと言わないでよ! この數だよ!? 一人じゃ無理!」

本當に無理……。だって、本當に次々と襲ってくるし、奧の方ではだんだん列がびててキリがないし。

ハヤト達に參戦してもらわないとずっとこの階層に居続けることになるかもしれないんだから文句言わないでほしい。

「そんなに文句言うなら、ハヤトが一人でやってくれてもいいんだよ?」

「えっ、あ、いや、それはちょっと……」

「だったら文句言わずに狼を倒す!」

「はい、すみません!」

僕がそう言うと、ハヤトは謝った後、狼を次々と倒していった。

モモを除いた殘り二人は、僕とハヤトのやり取りを聞いて思うところがあったのか特に何も言わずに狼を倒していた。

そんなこんなで、無事、狼の群れを倒しきり次の階層へ続く階段に辿り著いた。

五十三階層へ行くと、ちょうど誰かが転送されてきた。

珍しいこともあるもんだなと思って誰が來たのか見てみると、なんとマクロ達だった。

最近、會うことが多いから狙ってるんじゃないかとさえ思えてくる。

「おっ、やっぱり來た。ナイスタイミング」

……どうやら今回は狙ってたらしい。

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