《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》56.幸也の頼み事
狙ったように現れたマクロ達。
どんな思を抱いているのだろうか。
「どうしたの? みんな揃って」
「リュウ……夏休みの課題が終わらないんだ! 助けてくれ!」
「……はい?」
聞き間違いだろうか? 夏休みの後半に差し掛かっているにもかかわらず、課題が終わってないから助けてくれって言ったように聞こえたんだけど?
「あっ、言っとくけど、終わってないのマクロだけだからな」
「そうそう。俺達はもう終わってるし」
「付き添いみたいなもんだよね」
そう3人が豪語すると、マクロはそんな殺生なと言いたげな顔を3人に向けた。
いや、終わらせてない自分が悪いんでしょ?
付いてきてくれただけ謝しないと。
「……一応聞くけど、あとどのくらい殘ってるの?」
「數學が丸々殘ってる。でも、それ以外は終わってる」
「よりによって數學か……。量の多いやつを殘すって、どういう神経してるの? 終わらなかったらアウトじゃん。しかもマクロが一番苦手な教科だし」
「そこはリュウさんのお力でなんとか……」
「他力本願にも程があるよ……。でもまあ、課題テストがあることだし、それに、勉強の面倒を見るっていう約束もあるし助けてあげるよ」
「マジか!? ありがとう!!」
「ただし、やるからには徹底的にやるから、休みは無いと思って臨んでね」
僕がニコッと微笑みながらそう言うと、マクロは死刑宣告でもされたかのような絶した顔をした。
「家(うち)でやるから、今すぐ泊まる準備をして家(うち)に來てね」
「えっ、俺の家で電話しながらとかじゃねぇの?」
「サボらないようにしっかり監視しながらじゃないと、僕が安心できないから」
僕がそう言うと、付き添いの3人が「確かに」と言いながらうんうんと頷いた。
そんなこんなでマクロが家に來ることになったので、一旦ダンジョンを出て申し訳なく思いつつシアンとブランを久々にアイテム欄にれて、ログアウトした。
◆◇◆◇◆
ログアウトした後、ばあちゃんとじいちゃんに事の顛末(てんまつ)を話すと、快くオーケーしてくれた。
ダンジョン攻略一階層しかできなかったけど、まぁ、仕方ないと言えば仕方ないと言える。
ゲームより夏休みの課題の方が大切だし、學生の本分は勉強と言うから幸也にはこの際勤しんでもらうしかない。
僕のプライベート時間を割(さ)いてまで教えるんだから、テストではいい績を取ってもらわないと僕が損するので頑張ってもらいたい。
それに、これが一番大事なことだけど、そろそろ桃香のプレゼントを作らなければならないので、あまり時間をかけられない。
桃香にあげるプレゼントだから手間暇を掛けて作りたい。
それからしばらくすると、インターホンがなったので僕が玄関にいって出ると、なぜか両親を伴った幸也が立っていた。
「えっと……?」
「龍君、うちの愚息から話は聞いたよ」
「うちの息子が馬鹿なばかりにせっかくの夏休みの時間を割いてしまって、本當に申し訳ないわ」
「あ、いえ、気にしないでください」
僕がそう言うと、幸也の両親は申し訳なさそうにしながら「息子を頼みます」と頭を下げて去っていった。
その後は、早速數學の課題にとりかかった。
幸也は、文句ひとつ言わずに僕の缶詰のような勉強會に必死に食らいついていた。
結局その日では終えることができなかったので、次の日も缶詰め狀態で數學の課題に取り組んだ。
しかし、僕には桃香のプレゼントを作らないといけない使命があるので、夜中にしずつ作った。
桃香への誕生日プレゼントは、ばあちゃんが作っている髪飾りを作るつもりなので、作り方は散々間近で見たいてから覚えているため早く作れるには作れる。
しかし、ただ似たようなものをあげても仕方ないので、嗜好を凝らす必要がある。
デザインやら大きさやら様々な部分で、世界でただひとつのものを作らないと、真理の誕生日會での桃香との約束が果たせないからだ。
まあそれは誕生日の時のお楽しみということで、それより幸也だ。
取り組んでいるのを見ていて、クラスで赤點を取らない程度ではあるが最下位の幸也は、數學の知識はある程度はに付いていた。
しかし、まだおおまかにしか理解できていないため、正解率が40%だった。
これはいけないと思った僕は、課題にある數學の分野だけでもと、事細かく的確に説明して理解の向上を目指した。
結局、幸也の數學の課題が終わったのは桃香の誕生日の二日前だった。
もちろん、髪飾りは完まであと一歩というところまで來ているので何ら問題はない。
でも、ここまで幸也の數學の課題が掛かるとは思わなかった。
どれだけ今まで適當にやってたんだと言ってやりたいぐらいの理解度の低さだったけど、今回の勉強會で數學だけならテストで結構な點數が取れるぐらいのところまで至ったので、あとは自力で頑張ってもらいたい。
やっと終わったので、幸也の親に連絡して迎えに來てもらった。
「龍君、ありがとう」
「なんとお禮を言ったらいいか……」
「ですから、気にしないでください。あとは幸也次第ですし」
僕がそう言うと、幸也の両親は「本當にありがとう」と頭を下げて幸也を連れて去っていった。
ふぅ、やっと終わった……。でも、次に桃香の誕生日があるから髪飾りを完させておかないとな……。
本當、今年は今までの夏休みより大変だ。
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