《VRMMO生活は思ってたよりもおもしろい》62.龍二くんの初ログイン 2

みきさんのマシンガントークを適當な相槌を打ちながら聞いていると、後ろから肩を叩かれた。

振り返ると、そこにはなぜかモモが……。

「あれ? なんでここに? 二人で楽しんでって言ってたよね?」

「なんか嫌な予がして來てみたんですけど、大當たりでした」

これが俗に言う“の勘”ってやつか。

「ところで、貴は誰ですか?」

「えぇ、覚えてないの? ……って、そっか。今、姿が変わってるんやった。久しぶり、モモちゃん。覚えてる?」

「みきさん?」

モモがし驚いた表で聞くと、みきさんは満面の笑みでうんうんと頷いた。

しかし、それに対してモモは、疑うような目でみきさんを見詰めている。

「えっとぉ……ウチ、何かしたっけ?」

「忘れたとは言わせません! リュウさんにキスしたこと!」

「あぁ、あれね!」

「あれねじゃないです! 私の目の前で堂々としたくせに!」

「ええやん、ええやん。あれはお禮みたいなもんやったし、第一減るもんやないんやから」

「減ります! 私のSAN値が減るんです!」

この討論、いつまで続くんだろう。と思ってみていると、いつの間にか傍に來ていたリュウジくんに話し掛けられた。

「ねぇ、ももかおねえちゃんたちいつまでおしゃべりしてるの? はやくあそびたいよ!」

「リュウジくん、ゲームの中ではプレイヤー名で呼び合わなきゃいけないんだよ。桃香はモモって呼んでね」

「……うん、わかった」

詰まらなさげに頷くリュウジくん。

確かに、リュウジくんにとっては暇な時間だよね。

かく言う僕もし暇になってきたので、二人の會話を止めにった。

「二人とも、リュウジくんが詰まらなさそうにしてるからそろそろやめてくれないかな?」

「あ、そうでした。リュウジくん、ごめんね」

「ごめんな……」

二人して手を合わせてリュウジくんに謝った。

その後、クエストをけるためにクエスト注場所に向かった。

僕には謝らないんだね……なんか寂しい。

◆◇◆◇◆

クエスト注場所に著くと、リュウジくんが大はしゃぎでクエストを見比べ始め、モモとなぜかサラッと付いてきたみきさんが、リュウジくんの傍でそれを見守り始めた。

僕は、それをし離れたところからチラチラ見つつ、シアンとブランをでていた。

しばらくすると、クエストを決めたのかリュウジくんがやって來て「リュウにいちゃん、いくよ!」とリーダーシップをとって、歩き始めた。

「なんのクエストにしたの?」

歩きながらモモとみきさんに聞くと、二人は苦笑いしながらこう答えた。

「お兄さんがけたクエスト全部ける言うたから」

「取り敢えず、ドラゴンの卵を輸送するクエストを奨めておきました」

……リュウジくんの思考が読めない。

なんでそういう発想になったんだろう?

まぁ、楽しんでくれればそれでいいんだけどね。

ここで、気づいたことがある。

それは……リュウジくん、武も何も裝備してないじゃん、ということ。

なので、リュウジくんを引き留めて、クエストに行く前に久しぶりにコラソさんの鍛冶屋に向かった。

モモとみきさんは、クエスト注場所で待っていると言うので、そこで集合することにした。

「コラソさん、居ますか?」

「おう、居るぞ……って、リュウじゃねぇか! 久しぶりだな!」

「はい、お久し振りです」

「今日はどうした?」

「この子の剣を作ってもらおうと思って」

「おねがいします!」

僕がそう言いながらリュウジくんを前に出すと、リュウジくんはそう言いながら頭を下げた。

それを見たコラソさんは、目を丸くして驚いた。

「この子、お前の弟か?」

「惜しいですね、従弟です。そして驚くなかれ、ノワールの店長の息子です」

「なにぃ!? あのノワールの!? ってことは、あのエルフの店長がリュウの叔母さんってことか!?」

「ま、まぁ、そうなりますね……」

言わなきゃよかった、と後悔するくらいにドでかい聲で言われた。

「マジか……。世間って、意外と狹いんだな」

「そう、ですね……。あの、それより、剣を作ってほしいんですけど」

「あ、あぁ、そうだったな。悪い、悪い。見たところ5歳くらいだと思うんだが、合ってるか?」

「あ、はい。合ってます。今日が誕生日なので」

「おぉ! そうか! おめでとう! んじゃあ、誕生日プレゼントってことで今日は剣1本好きなの作ってやるよ。もちろん、お代は無しでだ」

「えっ、それは悪いですよ」

僕がそう言うと、コラソさんは「いいから、いいから」と言って、リュウジくんにどんな剣がしいかを聞き始めた。

しすると、コラソさんが奧にって作業をし始めた。

「リュウジくん、どんな剣がしいって言ったの?」

「えっとね、リュウにいちゃんのとおなじやつ!」

そう、満面の笑みで僕の腰に提げられている刀を指しながら言うリュウジくん。

まぁ、男の子なら刀見たら刀がしくなるよね。

刀には男の子ロマンが詰まってるから。……個人的意見では。

それから何十分間か待ち、漸くコラソさんが打ち上がった刀を持って出てきた。

「ほら、お兄さんと同じ刀だぞ。大事にしろよ?」

「うん! ありがとう、お兄さん!」

「やめろよ、お兄さんっていうよりおじさんだぞ、俺は」

「ううん。お兄さんはお兄さんだよ?」

なにこの子、サラッとコラソさんをおだててるんだけど?

「そんなこと言われるとおじさん照れるなぁ」

「照れないでください。顔が気持ち悪いことになってます」

「なに言ってんだ! こんなこと言われて照れないわけないだろ!?」

僕の言葉にコラソさんが憤慨した後、リュウジくんがこう言ってきた。

「あっ! そうだ、はやくクエストいこうよ、リュウにいちゃん!」

「あ、そうだね。行こうか。それじゃあ、コラソさん、また」

「おう、またな」

挨拶を終えると、クエスト注場所へ戻った。

戻り際、僕からリュウジくんへオリハルコンの裝備一式を譲渡した。

二つも持ってたからちょうどよかった。

でも、こうなるとリュウジくんって、強くてニューゲームだよね……。

まぁ、楽しんでくれればそれでいいってことで、良しとしておこう。勝手に。

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