《スキルを使い続けたら変異したんだが?》第九話 ヨルムンガンド
なんでこんな時に限ってモンスターは襲ってこないのか。
レベル差があり過ぎると、やはりエンカウント率は下がるのか。
思い返してみると、ここ最近はモンスターに襲われるよりも、モンスターを襲うことの方が多かった。
頼む、どんなモンスターでもいい。この狀況を覆してくれ……‼
その時、俺の願いに答えるように警告音が鳴り響いた。
俺は瞬きの間に剣を抜いて中段に構える。
「敵だ! くそ、どこにいる⁉」
モンスターの姿は見えない。都合がいい。
「戦っている暇はない。一気に崖下まで駆け抜け」
「――ヨルムンガンド」
俺の言葉を食うように。
レナは抜いた杖を掲げ、靜かにその名を呟く。
杖に巻き付いた素材不明の大蛇の彫刻の瞳が紫に輝いた。
直後。
周囲數十メートルの地面にヒビが走り、大地が溶巖とともに発した。
吹き上がる溶巖と大人の握り拳以上の破片が辺りを躙する。
ああ、地獄ってこういう景なんだろうな。
やがて、大地は靜かに塞がっていく。しかし、元通りとはいかない。範囲にあった木々は全て薙ぎ倒され、溶巖によって焼き焦がされていた。
崖下までが隨分と見晴らしのいいことになっている。
戦闘が終わったことを示すようにタブレットが俺たちの前に現れた。
経験値:1345×2÷2
ゴールド:930÷2
ドロップ:
森の中に隠れていたモンスターをこそぎ消し去ったらしい。え、えげつねえ。
「今のは、ゴーレムの?」
やり場のない刃を鞘に仕舞い、俺は恐る恐る問いかける。
「うん。ヨルムンガンドの裝備スキル。流石ユニーク裝備だけあって範囲と威力は絶大ね」
「は? 裝備スキルなんてあるのか、初耳だぞ」
「ユニーク裝備に限られるけどね」
なるほど。つまり、俺もユニーク裝備を手にれればクリムゾンブレイズ以外のスキルを使用することもできるということか。
なんだか、希が見えてきた気がする。
「そうだったのか。じゃあ、このクエストの報酬ももしかしたらユニーク裝備の類かもしれないし、頑張るしかないな」
俺はそう息巻いて、再び崖まで向かって歩き出す。
さあ、クエスト張り切るぞ!
「うん、そうだね。――で、私の料理がなんだっけ?」
結局、話題を逸らし切ることはできなかった。
レナの料理は、それはひどいものだった。
一日目。畑仕事を終え、俺が夜中まで狩猟を行って手にれた兎。
「はい、召し上がれ」
一時間の調理の末、の子の手料理に心躍らせる俺の前に差し出されたのは、黒い質の塊が乗った一枚の皿だった。
「いや、あの、これ何……?」
目の前の質の正について訊ねると、彼ニコニコと笑って答えた。
「え? あなたが獲ってきただけど。見てわからない?」
わかれば聞いてない。
俺はマジマジと皿の上のを観察する。見た目には判別不可能だが、よく匂いを嗅げば焦げ臭さの中にどこかの存在をじなくもない。
え? まさかこんなになるまで焼き続けたの? ヴェルダンとかヴェリーヴェルダンどころじゃないじゃん、ただの炭じゃん。
いや、待て。の表面だけを強く焦がして旨味を閉じ込めるという技法という可能もゼロではない。
俺は淡い期待を持ってにナイフをれる。ザクザクという、到底を切っているとは思えない歯切れの良い音とともに、一點の曇りもない漆黒の斷面がわとなる。
俺は天井を仰ぎ見た。
――噓みたいだろ? 兎なんだぜ、これ。
ここで一つ勘違いしないでほしいのが、これは料理スキルが低いから起きた現象ではないということ。
全てのスキルに言えることだが、そのレベルによってプレイヤーの元々の技能が下がるということはない。
あくまでスキルはプレイヤーをサポートするためのものなのだ。
つまり、今ここにある料理は彼の腕をそのまま示したもの。
「お、お前は食べないのか?」
彼の前には皿一つ置かれておらず、気になって問いかける。
レナは照れくさそうに舌を出して笑った。
「うん。私の分はちょっと失敗しちゃって」
俺は戦慄した。
馬鹿な。これ以上の失敗があり得るというのか。
「ほら、私のことは気にせずに冷めないうちに食べちゃって」
そう頬杖をついて、にこーっと微笑むを前に、どうしてその料理を殘すことができようか。
俺は覚悟を決め、そのを戦いの中へ投じていった。
彼の名譽のために味についての一切を伏せるが、俺は運営スタッフの首っこを摑みたい気分だった。どんな味を再現してやがるんだと。
それからの日々は辛く、語ることもはばかられる。
料理スキルのレベルは上がっても、彼の料理の腕は中々上がらなかった。
サポートをもってしても、補うことはできなかったようだ。
四日目になって、ようやく料理を焦がすことのない技能を手にれたようで、味がわかるものが出るようになった。
それが幸か不幸かは一概に答えることはできないが。
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