《スキルを使い続けたら変異したんだが?》第三十四話 カーレル
なんでよりにもよって、會いたくない人と出くわしてしまうのか。
自分の運の悪さを呪いつつ、俺は路地裏へ首を隠した。
もし、彼の前に姿を現せば、何かしらの接を図られるのは必至。
あの世紀末覇者の如きオーラでギルドへわれたら、斷れる自信がない。
そんな友好的なものならばいいが、因縁を付けられようものなら、立ったまま気絶する自信がある。
そもそも、なんでそんな大が酒場の前で仁王立ちしているのだ。
再び顔を出す。當然ながらまだ居る。
誰かと待ち合わせだろうか。
彼のせいか客足もかなり悪いようで、NPCのマスターが窓から困った顔をして大男を見ていた。
とりあえず、和樹にメールを送って待ち合わせ場所を変えるか。
そう考えた矢先、ピロリーンと脳で電子音が響いた。
タブレットを開いてみると、和樹からメールが屆いていた。
もしかして、和樹も似たような狀況で困っているのだろうか。
メールを開き、その容に俺は目をしばたかせた。
『もう酒場の前に著いてるぞ。
お前今、どこに居るんだ?』
酒場の前には、あの男しかいない。
ならば、まさか彼が和樹だとでもいうのだろうか。いや、それはない。
メールの差出人の名前はカーレル。これが和樹のキャラ名なのだから。
酒場の場所を間違えたのだろうか。
メールに書かれていた店名は“白貓のタンゴ”。間違いなく、この店だ。
黒貓のタンゴや白貓のダンゴの間違いではないだろう。そんな似通った店を點々と設置する理由もないし。
三度、俺は路地裏から顔を出す。
まだシヴァはそこに居る。だが、先と違う景が一か所。その巨の影から、タブレットを持つ手が出ていた。
…………。
……まさか。うん、まさかね。
いくら馴染の猛アタックに気付かないほど鈍とは言ってもさ。
あの鬼人の隣に並んで暢気にメール打てるほど、頭のネジは緩んでは――。
「いやぁ、にしてもユウトの奴遅いっすね。
メール送っときました。一どこで道草食ってるんだか」
ひょっこり影から姿を現した茶髪の青年がそう言って、きょろきょろと辺りを見回した。
白金の鎧を纏ってはいるが、間違いなく和樹だった。
「お前の話を聞く限りは、理由もなく約束の時間へ遅れるような人格とは思えん。
何かあったのかもしれぬな。“黃昏の円卓”に目を付けられているという話もある」
重い威厳のある聲で答え、シヴァが組んでいた腕を解く。
どうやら、和樹とシヴァは知り合いのようだ。道理で隣でへらへらとしていられる訳――。
……ちょっと待て。
なんで、和樹が『蒼穹の証人』のマスターと一緒に俺を待ってるんだ?
「そうでしたね。
昔から質の悪い奴らに好かれやすいんすよ、アイツ。お人好しな上に引きはいいんで」
鬼が頷く。
「ああ。それも聞いた」
……ちょっと待て。
和樹は、俺のリアルの話をどこまで話してるんだ?
「だからこそ、私は彼に會いに來たのだからな」
シヴァは真剣な聲音でそう言った。
それは一、どういう……?
俺が頭を捻る中、和樹はニヤけた口元を引き締め、タブレットを叩いた。
「先手、打たれたかもしれないっすね。
他のメンバーも招集しますか?」
「ああ、頼む」
何やら、大ごとになっている気がする。
狀況は全然飲み込めていないが、しょうがない。
俺は大きく息を吸い、深呼吸。覚悟を決め、足を踏み出した。
「よ、よぉ、和――カーレル」
あくまで自然な笑みを浮かべようと努力して、俺は和樹へ聲を掛けた。
努力が果たして形になっているかと聞かれると、自信はなかったが。
聲に振り返ったシヴァの鋭い雙眸が、俺を抜く。
視線だけで人が殺せるというのも、あながち噓じゃないのかも。
なるべくそちらへ目を合わせないようにして、俺は進んだ。
和樹はこちらを見て目を見開いたあと、いつもの軽薄な笑みを浮かべた。
「……お前、ユウトか。
マジで本名使ってんのな。SNSじゃねえんだからリアルの名前を持ち込まなくたっていいのに。
アバターもそっくりだし、ここじゃあ悪いこと出來ねえじゃん」
「いや、やるつもりもねえから」
話して確信する。ああ、やっぱり和樹だ。
適當なやり取りに、し恐怖が紛れた。
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