ーーチッ、鈴音の・か。

地面を蹴って後方へ。

俺を追って延び上がる鋭い。

と、赤い塊がに集結し、発。が霧散した。

俺は風に乗って大きく後方に飛んだ。

デキム・ファイアーボールは防用の魔法だ。今、俺の周りには常に10個のファイアーボールが廻っており、範囲に攻撃対象がり込むと自で迎撃する。

著地と同時に次の詠唱を開始する。

『――私は魔法を行使する

デキム・ウォータ』

俺が手のひらを前に出すと、１０の水の玉が出現。

ふよふよとに向かって進んでいく。

は警戒をしていないのか、無視をして俺を追ってくる。

「殘念。それは悪手あくしゅだな」

が水の玉の1メートル以にる。と、水の玉の自迎撃プログラムが発。一斉に放たれたジェットウォータに貫かれた影は、暁に溶け込むようにして消えていった。

「主、後ろに多數！　気を抜くな！」

見ればそこにはざっと20以上の。狼型だ。

バックステップし、詠唱。

『――私は魔法を行使する

デキム・ウィンド』

10の風の刃が走り、それぞれの対象へ襲い掛かかる。

風の刃に次々に霧散していく狼の。刃は2～3の影を破るまで止まらない。

あっという間に後方にいた影は壊滅した。

が、影はが沈まない限り湯水の如く沸いてくる。

すでに先ほど倒した集団よりも、さらに多くのが出現していた。

「今日は隨分と數が多いのう。手伝うか、主？」

「いや、大丈夫」

俺は先日プログラミングした新しい改変魔法を試してみることにした。

『――私は魔法を行使する

イクス・プロ―ジョン』

出現した焔の玉はみるみる大きくなっていく。

直徑60センチを超えたところでに向かって発。放線を描いて

集団の中心へ落とされる。

「なんじゃその馬鹿みたいにデカいのは」

「鈴音、ちょっと離れたほうがいいぞ」

鋭い閃が瞼を焼く。

次にの芯に強い振。遅れてあたりを劈つんざく音がやってきた。

「フギャ？！　馬鹿もの！　もっと早く言わんか！」

差すような熱風が俺のを焼いた。

集団になっていたは綺麗に霧散していた。

イクス・プロ―ジョンはファイヤーボール20個分を一つに纏めた改変魔法だ。発した効果は見ての通り。直徑12メートルを跡形もなく焼き盡くしてしまう。

（効果は上々だな。これで戮対策がまた一つ増えた）

≪補助スキル『詠唱宣言省略』を取得しました≫

ん？　なんだろう。コン先生が何か言ったな。

「ほれ、ボーとするな。まだは落ちておらんぞ」

俺はコン先生の報告を頭の片隅に追いやり、殘ったの殘黨駆除に意識を戻した。