《LIBERTY WORLD ONLINE》決勝トーナメントブロック決勝戦 [獣姫]マチvs[氷の魔]アイリス
「おいおい、まじかよ」
「じょ、冗談でしょ?」
「噓だろ…」
「彼とんでもないわね」
私たちは目の前に広がる景に驚愕に目を見開いていた。
「あのガルドさんでも手も足もでなかったのかよ…」
闘技場には氷漬けとなりピクリともかないガルドさんと、無表のままその場を去るアイリスさんがいた。
ガルドさんは試合が始まるとすぐにアイリスさんとの距離を詰めて攻撃を仕掛けた。
攻撃が決まったかに思えたが、ガルドさんはアイリスさんの目の前できを止めていた。
違和を覚えたガルドさんが足元を見てみると、自信の足が氷漬けとなっていた。
氷が地面を這うように侵食していていたのだ。
異変に気づいた時にはすでに遅く、アイリスさんが前回フーガさんに使った同じスキルを再び発させてガルドさんを瞬く間に巨大な氷像へと姿を変えてしまった。
◇
『さぁ、今イベントも殘すところあと一つとなりました!』
『いよいよ決勝戦ね』
『そうですね、決勝まで勝ち殘った選手は今大會のダークホースのマチ選手と數々の強豪たちを一瞬にして退けてきたアイリス選手です!』
『これまでのアイリス選手は——』
私たちを紹介する実況者の聲が闘技場に響き渡る中、私は目の前に立っているアイリスさんと相対する。
(たぶん、【《神獣降臨・フェンリル》】の獣人化の狀態ではアイリスさんには敵わないと思う。獣化したとしても勝てるかはわからないと思う…。でも…決勝まできたんだから勝ちたいよね!)
予選の時にプレイヤーを一瞬で氷漬けにしてしまえばよかったのにそれをしなかったのは、あれは相當燃費が悪いからだと思う。なんとかあれを防ぐことができれば、消耗したアイリスさんに勝てるかもしれない。
「決勝まで來たんだ」
私の視線に気がづいたアイリスさんが口を開いた。
「ひとつ聞いてもいいですか?」
私は試合が始まる前にアイリスさんに聞いておきたいことが一つあった。
「…なに?」
「どうしてそんなに悲しい表をしてるんですか」
予選では戦いに集中していたため気づかなかったが、フーガさんとの試合を行っている最中にアイリスさんの方を見てみるとそんな表をしていることに気づいた。
「………そんな顔をしているつもりはない」
「そうですか」
今もそんな表をしているし見間違いではないと思うけど、言う気がないのなら何度聞いても無駄だろうと思った。
『それでは參りましょう!決勝トーナメントブロック決勝戦、マチ選手vsアイリス選手による戦いです!』
「手加減はしない」
「私も全力でいきます!」
開始のゴングとともに私は【《神獣降臨・フェンリル》】を発させた。
いきなり獣化は使わないで殘しておいた。
まだアイリスさんのスキルを把握できていないし、何が起きるかわからないからその時に使おう。
アイリスさんはその場からかないで私の出方を窺っている。
「【《雙風爪ダブルウィンドクロウ》】!」
ガルドさんはアイリスさんと接近して足元を凍らされて行を封じられたため、私はアイリスさんとの距離を詰めずに遠距離からスキルを発させて攻撃した。
「【《氷壁アイスウォール》】」
アイリスさんがそう呟くと、地面から2mはある巨大な氷壁が出現した。
私が放った【《雙風爪ダブルウィンドクロウ》】はアイリスさんまでは屆かず、その巨大な氷壁に阻まれた後、氷の壁を深く抉って霧散した。
深く抉られた氷壁は【《雙風爪ダブルウィンドクロウ》】が霧散してすぐ崩壊した。
 「【《氷竜巻アイストルネード》】」
 「【《暴風テンペスト》】!」
氷の壁が崩れて姿を現したアイリスさんは予選の時に見せた氷の竜巻を発生させた。
私もそれに合わせて【《暴風テンペスト》】を放つ。
二つの違う屬の竜巻がぶつかるとお互いがお互いを打ち消し合い消滅した。
「【《氷柱雨飛アイシクルフォール》】」
お互いのスキルによる攻撃が晴れると私の頭上に氷柱が大量に出現した。
私は急いでその場から飛び出して攻撃を回避する。
「【《吹雪》】」
私が反撃する隙も無くアイリスさんによる次の攻撃が飛んでくる。
新たにスキルが発し、闘技場に雪が吹き荒れる。
雪に紛れて細かい氷の粒が混ざっているためじわじわとダメージをけている。しかも、吹き荒れる雪により視界が悪く気溫低下でだんだんのきが鈍くなってきている。
このままではまずいと思い私は覚悟を決めてアイリスさんとの距離を詰めて、【《雙風爪ダブルウィンドクロウ》】に【《赤熊の爪レッドウルステアー》】を纏わせて攻撃した。
(あれ?手ごたえが無かったような……)
私の心配をよそに相手の抵抗もなくあっさりと攻撃が決まったが、その手ごたえがあまりにもなさ過ぎておかしいと思い見てみると、それは人型の氷の塊だった。
(アイリスさんはどこに!?)
「後ろよ」
背後から聲が聞こえ、咄嗟に【《暴風拡張テンペストオーグメント》】を発させて相手を吹き飛ばそうとしたが
「…無駄よ」
アイリスさんは自分の足を氷で固め、後ろに壁を作り風で吹き飛ばされないようにしていた。
「足が!」
すぐさま攻撃を仕掛けようと後ろを振り向こうとしたが足が氷で覆われていてきが取れない。
「捕まえた」
(……このままじゃ!)
この狀態に既視を覚え、なんとか逃げ出そうとするがアイリスさんの追撃が飛んで來た。
「【《氷地獄アイスヘル》】」
私のを徐々に氷が侵食していき、抜け出そうとする抵抗空しく頭まで氷で覆われていった。
『なんとマチ選手までも氷に覆われてしまったぁぁ!』
(……嫌だ、まだ負けたくない!でもここから抜け出さないと…)
『このままマチ選手にきがないと試合続行不可能となり、アイリス選手の勝利となります!』
(ここまで來て負けたくない!私はまだやれる!)
(その意気だ、マチよ)
(シグファルド!?)
(我がちょっと手助けをしてやろう)
え!?どこから!?という疑問をよそに私の耳にアナウンスが響いた。
・ユニークスキル【《神獣降臨》】形態:ファフニールの封印狀態が解除されました。
(ではな、マチよ)
(え、ちょっと…!)
何度か呼び掛けてみたがシグファルドの聲は聞こえなくなっていた。
何だったんだろうと思いつつも、【《神獣降臨》】形態:ファフニール の能力を確認した。
・【《神獣降臨》】形態:ファフニール 炎を司る神獣。
使用可能スキル:【《炎の鎧フレイムアーマー》】——etc。
私は効果を確認すると【《神獣降臨》】形態:ファフニール を発させた。獣化の狀態で。
◇
私は目の前の景を見て、やっぱりだめだったかと思う。
予選の時に彼の顔を見てただの直だが、しだけ期待を寄せはしたが結局は何も得ることが出來なかった。
『マチ選手にきがないため、この試合アイリス選手のしょ——ん?な、なんと氷の中からが溢れ、氷が徐々に解け始めております!』
既に闘技場から去ろうとしていた私は解説者の聲を聴いてそんな馬鹿な!と思い後ろを振り返る。
すると、さっきまで何の変化もなかったはずなのに氷の中からが溢れ、氷が解け始めていた。
さらに、溶け始めたことで氷が薄くなり罅がり始めた。
そして、その罅が徐々に大きくなり氷の中から何かが飛び出すと同時に崩壊した。
(……ドラゴン?)
『な、なんと氷像が輝き崩れたかと思えば、その中から白いドラゴンが出現しました!こ、これは氷の中にいたマチ選手なのか!?』
「さぁ、第二ラウンドの開始だよ」
私の目の前にその白いドラゴンが降り立つと、そう言い放った。
【書籍化】 宮廷魔術師の婚約者
★角川ビーンズ文庫さまより2022/06/01発売予定★ 今まで數多くの優秀な魔術師を輩出してきた名門スチュワート家に生まれたメラニー。 しかし、彼女は家族の中で唯一魔力の少ない、落ちこぼれだった。 人見知りの性格もあって、いつも屋敷の書庫に篭っているようなメラニーに、婚約者であるジュリアンは一方的に婚約破棄を申しつける。 しかもジュリアンの新しい婚約者は、メラニーの親友のエミリアだった。 ショックを受けて、ますます屋敷に引き篭もるメラニーだったが、叔父で魔術學校の教授であるダリウスに助手として働かないかと誘われる。 そこで発揮されたメラニーの才能。 「メ、メラニー? もしかして、君、古代語が読めるのかい?」 メラニーが古代魔術を復元させて作った薬品を見て、ダリウスは驚愕する。 そして國一番の宮廷魔術師であるクインも偶然その場に居合わせ、異形の才能を持ったメラニーを弟子に誘うのだった。
8 101【書籍化・コミカライズ】誰にも愛されなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴虐公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺愛されていました〜【二章完】
『醜穢令嬢』『傍若無人の人でなし』『ハグル家の疫病神』『骨』──それらは、伯爵家の娘であるアメリアへの蔑稱だ。 その名の通り、アメリアの容姿は目を覆うものがあった。 骨まで見えそうなほど痩せ細った體軀に、不健康な肌色、ドレスは薄汚れている。 義母と腹違いの妹に虐げられ、食事もロクに與えられず、離れに隔離され続けたためだ。 陞爵を目指すハグル家にとって、侍女との不貞によって生まれたアメリアはお荷物でしかなかった。 誰からも愛されず必要とされず、あとは朽ち果てるだけの日々。 今日も一日一回の貧相な食事の足しになればと、庭園の雑草を採取していたある日、アメリアに婚約の話が舞い込む。 お相手は、社交會で『暴虐公爵』と悪名高いローガン公爵。 「この結婚に愛はない」と、當初はドライに接してくるローガンだったが……。 「なんだそのボロボロのドレスは。この金で新しいドレスを買え」「なぜ一食しか食べようとしない。しっかりと三食摂れ」 蓋を開けてみれば、ローガンはちょっぴり口は悪いものの根は優しく誠実な貴公子だった。 幸薄くも健気で前向きなアメリアを、ローガンは無自覚に溺愛していく。 そんな中ローガンは、絶望的な人生の中で培ったアメリアの”ある能力”にも気づき……。 「ハグル家はこんな逸材を押し込めていたのか……國家レベルの損失だ……」「あの……旦那様?」 一方アメリアがいなくなった実家では、ひたひたと崩壊の足音が近づいていて──。 これは、愛されなかった令嬢がちょっぴり言葉はきついけれど優しい公爵に不器用ながらも溺愛され、無自覚に持っていた能力を認められ、幸せになっていく話。 ※書籍化・コミカライズ決定致しました。皆様本當にありがとうございます。 ※ほっこり度&糖分度高めですが、ざまぁ要素もあります。 ※カクヨム、アルファポリス、ノベルアップにも掲載中。 6/3 第一章完結しました。 6/3-6/4日間総合1位 6/3- 6/12 週間総合1位 6/20-7/8 月間総合1位
8 88名探偵の推理日記〜君が消えれば〜
あいつがここにいると面白くない。よし、じゃあ、あいつを殺そーー。 以上(異常)です。 〜登場人物〜 松本圭介 小林祐希 中島徹(被害者) 巖下修二(テストの順位2位) 有村健太(イケメン順位2位) 坂田奏多(テニス部內順位2位) 佐々木香奈美(噂好き)
8 50異世界生活物語
目が覚めるとそこは、とんでもなく時代遅れな世界、転生のお約束、魔力修行どころか何も出來ない赤ちゃん時代には、流石に凹んだりもしたが、でも俺はめげないなんて言っても、「魔法」素敵なファンタジーの産物がある世界なのだから・・・魔法だけでどうにか成るのか??? 地球での生活をしていたはずの俺は異世界転生を果たしていた。 転生したオジ兄ちゃんの異世界における心機一転頑張ります的ストーリー
8 135初心者がVRMMOをやります(仮)
親の頭があまりにも固いため、ゲームはおろか攜帯すらもっていない美玖(みく)。このたびめでたく高校一年生になりましたので、今まで母方祖母に預かっていてもらったお金でVRMMORPGをやることに決めました。 ただ、周囲との兼ね合い上、メジャーなものはやりたくない。親の目を盜んですることになるから、ヘッドギアは小さなもの。そして月額料金は発生せず、必要に応じて課金するもの、と色々條件を絞ったら、「TabTapS!」というゲームにたどり著いた。 ただ、このゲーム初心者がやるにはかなり厳しいもので……
8 198貓神様のおかげで俺と妹は、結婚できました!
勉強、運動共に常人以下、友達も極少數、そんな主人公とたった一人の家族との物語。 冷奈「貓の尻尾が生えてくるなんて⋯⋯しかもミッションなんかありますし私達どうなっていくんでしょうか」 輝夜「うーん⋯⋯特に何m──」 冷奈「!? もしかして、失われた時間を徐々に埋めて最後は結婚エンド⋯⋯」 輝夜「ん? 今なんて?」 冷奈「いえ、なんでも⋯⋯」 輝夜「はぁ⋯⋯、もし貓になったとしても、俺が一生可愛がってあげるからな」 冷奈「一生!? それもそれで役得の様な!?」 高校二年の始業式の朝に突然、妹である榊 冷奈《さかき れいな》から貓の尻尾が生えてきていた。 夢の中での不思議な體験のせいなのだが⋯⋯。 治すためには、あるミッションをこなす必要があるらしい。 そう、期限は卒業まで、その條件は不明、そんな無理ゲー設定の中で頑張っていくのだが⋯⋯。 「これって、妹と仲良くなるチャンスじゃないか?」 美少女の先輩はストーカーしてくるし、変な部活に參加させられれるし、コスプレされられたり、意味不明な大會に出場させられたり⋯⋯。 て、思ってたのとちがーう!! 俺は、妹と仲良く《イチャイチャ》したいんです! 兄妹の過去、兄妹の壁を超えていけるのか⋯⋯。 そんなこんなで輝夜と冷奈は様々なミッションに挑む事になるのだが⋯⋯。 「貓神様!? なんかこのミッションおかしくないですか!?」 そう! 兄妹関連のミッションとは思えない様なミッションばかりなのだ! いきなりデレデレになる妹、天然幼馴染に、少しずれた貓少女とか加わってきて⋯⋯あぁ、俺は何してんだよ! 少しおかしな美少女たちがに囲まれた少年の、 少し不思議な物語の開幕です。
8 70