《LIBERTY WORLD ONLINE》ヨルムンガルド
「マチ!大丈夫か!」
マチが引きずり込まれていった湖に駆け寄ったヒロキは水面に向かって大きな聲で呼びかけるが、上がってくるのは空気の泡だけでマチは一向に上がってくる気配が見えない。
「だめか…」
「俺が泳いで助けに」
「だめよ、シュン。その気持ちはわかるけど、【泳ぎ】のスキルがないのにどうやってマチを助けるのよ。もし助け出せたとしても、またあいつに捕まって犠牲が増えるだけだわ」
【泳ぎ】のスキルは水中の中でのきを大幅にアシストしてくれるパッシブスキルだ。きだけじゃなく、呼吸を要する時間までも大幅に長くなる。【泳ぎ】のスキルがなくても水中で活することはできるが、裝備の重さなどが邪魔をしてきが阻害されてしまう。通常で約5分間水中で活できるのに対して、【泳ぎ】のアシスト有だと約15分間活できる。
そのことを指摘されたシュンは悔しそうにを噛んだ。
◇
 (……息が…でき、ない…)
必死に足に巻き付いた尾をほどこうと力を込めるが、蟒蛇の締め付けが強すぎて全くびくともしない。そうして、私がほどこうともがいている間にも蟒蛇はどんどん湖の底へと潛っていく。
段々と酸素がなくなっていく最中、湖底に目線を向けてみると、湖底の巖壁に人一人がれそうなくらいの小さなが空いているのが見えた。
(あの窟…もしかして、あそこがボス部屋に!ヒロキの予が當たってたんだ。…でも、見つけたのはいいけど、もう息が持たない…!)
と、ここで湖底に著き、蟒蛇のきがピタリと止まった。
(きが止まった!一か八かで【《獣人化フェンリル》】を使って抜け出して…え?)
急に蟒蛇が、私を締め付けている尾を振り上げた。そして、をくねらせてた勢いで、そのまま尾を湖底に叩きつけた。
「ガボボッ…!」
思いっきり湖底に叩きつけられたことにより、私は殘っていた空気を全て吐き出してしまった。そのまま蟒蛇は、ダメ押しとばかりに再び湖底に叩きつける。為すすべもなく叩きつけられ、どんどんとHPが削られていくが、そんなことを気にする余裕はない。
「もう、ダメ…意識が、途切れ……」
既に尾を振りほどく力もなくなった私の意識はどんどんと遠ざかっていった。
――ピチャーン
――ピチャーン
「うっ、がはっ!……ごほっ、ごほっ…」
顔に當たった水滴により、目が覚めた私は肺に溜まった水を吐き出そうと咳き込んだ。不思議と、水をかなり飲んだはずなのに、水は吐き出されなかった。
し落ち著いた私は、周囲を見渡してみると、どこかみたことがある風景が広がっていた。
「ロキアがいた空間と似てる気がする」
ここには水辺などがあるが、それ以外の部分はロキアがいた空間に酷似しているように見える。と、いうことは、ここにもロキアやシグファルドと同じように封印された神獣がいるのかもしれないと思った私は、きょろきょろとその存在を探した。
「やっと起きたのか、人間」
「えっ!?」
周りを見渡してもそれらしき存在を見つけられなかった私は、不意にすぐ近くから聲を掛けられてびっくりした。聲の方向を見てみると、今まで巖山だと思っていたところが、ゴゴゴゴゴと地面を振させながらき出した。揺れが治まると、そこには蟒蛇の數倍はありそうな大蛇が私を見下ろしていた。その迫力に、私はしだけびくりとを震わせた。
「君の名前はマチだろう?その容姿などは竜と姉さんからあらかじめ聞いていたよ。報告と稱した自慢話をね…。あぁ、そんな脅えなくても大丈夫だよ、食べるつもりはないから」
食べられると思っていたわけではないが、げんなりとした雰囲気で話す大蛇に、私はしほっとした。
「ええと、あなたの名前は?」
「僕の名前?僕に名前はないよ。竜ファフニールや姉さんフェンリルも名前はなかっただろう?ただ、皆からは、蛇ヨルムンガルドって呼ばれていたね」
そうだった。シグファルドやロキアにも呼び名はあったけど、名前はなかった。
「さっそくで、悪いんだけどさ…僕にも名前をつけてくれないかい?」
「え?」
「毎日毎日、竜や姉さんから自慢話を聞かされてね。僕もほしくなっちゃったんだけど、ダメかな?」
突然のことで一瞬固まった私に、蛇ヨルムンガルドはそう言った。
「シグファルドやロキアに名前を付けておいて今更だけど、私なんかでいいの?」
「うん、いいよ。かっこいい名前で頼むよ」
姿は蛇だけど、面と向かってそう言われるとなんか恥ずかしいものがある。
ヨルムンガルド。ヨルムンガルドは北歐神話に出てくる毒蛇で、ロキとアングルボザの子供の一人だ。ロキアもこの二人から生まれた子供だ。ロキとアングルボザからは被るので、何か蛇ヨルムンガルドと関係が深いものがないか探すと、トールと因縁があるのを思い出したので、その二つを合わせることにした。
「ニルガルドってのはどう?」
「ニルガルド……うん、良いね、気にったよ。ありがとうマチ」
かっこいい名前を付けられたかはわからないが、本人が気にってくれたので私はホッとをなでおろした。
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