《聲の神に顔はいらない。》21 と闇
変な聲が出た。振り返ってみると、なんかモデルみたいな形でサングラスをつけこなしたいけ好かなさそうながいた。
(今の……私に言ったんじゃないよね?)
私はそう言い聞かせて、この場から立ち去る判斷をする。だってこんなイケイケなじのの人と知り合いな訳がない。
「ちょっとこれから同じ現場で仕事するのに、挨拶もないのですか?」
「え?」
そういってサングラスをかっこよくとるその人。わになった顔には見覚えがあった。
「し……靜川秋華……さん」
大人気聲優靜川秋華その人だ。確かに臺本にその名前があった。私が合格したから靜川秋華は落ちたのかと思ってたが、そんな事はなかったのだ。まあ當然だよね。普通はこんなはどこも歓迎だろう。役にあってさえいれば、絶対に制作側からお願いしたいくらいだと思う。
だってなにこれ? 直接相対してみて分かる。これは同じじゃない。だって同姓なのに、私を見てると思うだけでドキドキしてくる。私はノンケのハズなのにだ。私から意識してみる事はあったが、向こうが私の様な売れてない聲優を意識する事なんか今までなかった。だからこうやって直接視線を投げかけられるなんて事は勿論なくて……一全どうしてこんな?
やっぱりこれだけのになると、私みたいなブスは存在自が許せないのだろうか? 勘弁して頂きたい。だってこの顔は生まれつきなのでどうしようもない。逆にこんな綺麗な顔は生まれつきなのだろうか? 疑問に思う。
「整形?」
「んん? なんですか?」
しまったと思った。ついつい心の聲がれてしまった。整形なんて面と向かって言うものじゃない。心なしか靜川秋華の笑顔が怖い気がする。
「せせせせせ……せーせんせーいしたいなぁ。この気持ち宣誓したいなぁーと」
「どうぞ。お気になさらず」
「…………」
「どうぞ?」
宣誓ってなんだよ。何言うの? 咄嗟に誤魔化す為にそんな事言ったけど、私そんなキャラじゃないし。けどここでやっぱりやめますなんて言えない。なので私は意を決して宣誓した。何を宣誓したかって? それは勿論アニメの収録に向かう意気込みとかをだよ。
終わった時、靜川秋華がお腹抱えてプルプルしてた。屈辱である。いや私がアホな事を言ったせいだが……でもやらせなくてもよくない?
「ふふ、暗そうな人かと思ったら、面白い人なんですね匙川ととのさん」
「私の……名前」
なんでこんな大人気聲優が私の名前何て知ってるのだろうか? 確かに臺本を見れば役の下に聲優の名前は書いてあるが、今まで言葉をわした事もない筈の私達では匙川ととのが私だとはならないハズでは?
「気になったのでし調べさせて貰いました」
こわ。この、なに自然なトーンでとんでもない事言ってるの? 調べるってなに? ググる程度だよね? そもそもこんな大人気聲優が私みたいな売れてない聲優の事が気になるなんて事があるのだろうか?
「これから同じ現場ですね。よろしくお願いしますね」
ぺこりと頭を下げてくれる靜川秋華。案外丁寧だ。家の事務所の鼻っ柱がびてるどこぞの聲優とは大違い。もしかして良い人なのか? ちょっとそんな事を思った。
(でも、宣誓させられたしな)
それを考えるとやっぱいい人ではなさそうだ。いい人なら、あそこはスルーするであろう。でも挨拶をされたら、返さない訳にはいかない。私は何も対立したい訳じゃない。寧ろ溶け込みたいのだ。なら、この現場でもカースト上位になりえるであろう靜川秋華と事を構えるのは得策ではない。
ここは大人になろう。
「こちらこそ……宜しくお願いします。匙川……ととのです」
私はおどおどとお辭儀をした。だってこんなと相対したくないじゃん。こんなのを目の前にしたら、私はもうという生じゃないんじゃないかと思えてくる。だってこれが同種? っていうね。周りまで華やかにしそうな雰囲気を放ってる靜川秋華。
対する私は周囲まで暗く沈めそうな雰囲気と見た目をしてる。いや、これでも一杯オシャレしたんだよ? そんな私の努力をこの靜川秋華という奴は易々と踏みつける。地を這う蟲なんか邪魔といわんばかりに……実際私は沈んだの服を著てる。対する靜川秋華は明るいの服を著てた。
どこまでも私達は対照的だ。靜川秋華をとするなら、私は闇だ。まあ靜川秋華というにかき消される程度の闇だけどね。全然私は釣り合ってない。こいつと対するのなら、それ相応の闇でないと……それこそ魔王とかが放つクラスの闇でないとだめだろう。
だって靜川秋華ってヒロインが凄くある。対して私はモブしかない。
「普段はそうでもないな」
ボソッと、そんな言葉が聞こえた気がした。なんのことかよくわからない。私は普段からこんな顔ですが? そりゃあ靜川秋華の様な恵まれた容姿の人からすれば、そうでもないでしょうよ。でもね、この世界の大半は大抵そうでもないんですよ。その容姿が特別なんだよ!
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