《聲の神に顔はいらない。》60 エゴと気障で発しろ!!

「やめてください!」

それを此花さんは英語で言い直して再びオーレライへと向けていった。最初に日本語だったのはきっと慌ててたんだろう。ドレスだからスカート部分は長いが、スリット深くってる。その腳をもろに見せながら來たのかと思うと、ちょっと申し訳ない。

せっかくおめかしまでしてもらったのに、自分の事でちょっとでも崩れてしまったら……いや、大丈夫ようだけどね。

周囲はにわかにがやがやしだしてる。まあここにはがたくさんいる。それこそタイプは々と違うがそろってるといっていい。ここ數日でバルクさんがパーティーを開きまくるから、しずつではあるが、顔見知りの人達もできてきたとは思う。

オーレライもその中の一人だ。どうやらバルクさんともとても良い関係……そう良い関係のようでなんかよく贈りをもらってた。それ以上があるかどうかとかは知らないが……取り合えずオーレライは自分の中ではなかなかに危険な奴という位置付けだ。

それはどうやら此花さんも同じのようで、オーレライが事は気をつけろと言われてる。バルクさんを通じて前から知り合いだったのか、なかなかに二人は犬猿の仲だ。まあ対象的と言っていい二人だからな。

オーレライはまさに自分のをわかってる奴だ。そしてそれを使うのにためらいないし、寧ろなにが悪いのってじだ。

「私は神様にされて生まれてきたの」

みたいなことをなんか言ってた。まあ翻訳機がそう翻訳しただけだから、本當にそういってたのか不明だ。だって流石に意味わからないしな。最近の翻訳機は凄いが、間違う事だってあるだろう。けどまあ、あいつなら神様にされてる自分の行は全て正しい……とか思っててもおかしくないな――とか思う。

二人は何やら英語でまくし立ててる。下が回りすぎでて自分には既に聞き取る事も不可能な領域だ。周りはなんかヒートアップしてるけど……海外の人はこういうの好きだよね。一応皆さん上流階級の人達のはずだが? まあ此花さんとオーレライは花がある。

それにどっちもドレスだし、二人ともスタイルもいいからちょっとけば揺れる。きっと周りはそんなことを楽しんでるんだろう。流石に彼たちが取っ組み合いのケンカとかを始めたら流石に止めると思う。が、二人ともそこまではいかない。

せいぜい口喧嘩だ。けど折角のパーティーで此花さんかとても綺麗になってるんだ。自分の事で、彼の魅力を減らす様なことは不憫だ。というか、もっとこの此花さんを見せびらかしたい気もする。だって今回はちゃんとドレスになってくれたが、いつもなら接待に彼はこんな事はしない。

もちろんドレスコードとかは守る人だ。けど、なるべく地味になるようにしてるから……裏核に徹するその視線は素晴らしいと思う。けど、今日は違う。いつもの謝のしるしでもあるし、今日の自分のバートナーでもある。

まあ毎回そんなんの決め手なんかないが、今日はそうなんだ。変な蟲が彼につくのは困るが、ここにはスターとか、金持ちしかいない。金持ちに嫁いだから幸せなんて事は言わないが、此花さんはちょっと仕事にしすぎだからな。

自分も心配なんだ。彼は自分の手伝いを使命といった。自分の為にいてくれる、働いてくれるのはとても嬉しいことだ。ありがたいことだ。

けどだからこそ、それには謝を返したいし、こっちが幸せになる分、彼を幸せにしたい。だからたまにはこういうのもな……勿論此花さんがあんまりこういうのを求めてなんかないって知ってるが、だれもやらないと本當にバルクさんが言ったように彼は自分の作品とともに死んでいく様な……そんな気がした。

それでも此花さんが幸せならって思ってたが、それはハルクさん言わせればエゴらしい。そして彼が自分の作品をして奉仕ししてくれるのも結局はエゴなのだとそういった。だからまた一つ、自分がエゴをやるくらいいいだろう。

だってこれはエゴだから。

「此花さん」

自分はオーレライと英語の舌戦を繰り広げてる此花さんに聲をかける。なるべく落ち著いた聲でね。二人は言葉を止めてこっちをみた。

そしてそんな此花さんに手を差し出す。いやこれだけじゃ弱いかな? って思って片膝ついてジェントルマンを意識するよ。

ちょっと恥ずかしい。いや、かなりだ。けどここは我慢。

「先生……私は……」

そう言って顔を赤らめる此花さん。その隣にオーレライが立つ。そして躊躇いなく手をばしてきた。こいつマジか……どう対応しよう? 習ってないぞこれ。とか思ってるとガバッと此花さんが両手で自分の手を抱きしめてきた。

予想外の事だ。彼らしくない。そしてきっとそれは此花さん自が思ってる。なんか自分が何やったからわかってないみたいだ。

けどそれを見てオーレライが此花さんの耳に顔を近づけて何かをささやいた。一瞬瞳孔が開く。そしてオーレライの方を向くが、既にオーレライはちょっと離れていて、何やら捨て臺詞? 的なことを言って、周りで見てた背が高くかっこいい男の腕に飛び込んで行ってた。

すげえたくましい奴だ。あれがアメリカ式なんだろう。

「先生、変じゃないですか?」

消えりそうな聲でそういう此花さんはちょっと反則くさい。けどクラっと來てる場合じゃない。ここからだ。だから自分はジェントルマンだと言い聞かせてこういった。

「空にある星には屆かないけど、水面に映るかのような星はここに會ったんですね」

それは自分の小説の中のセリフだった。なんかアメリカで黒歴史を生産してる気がするぞ。

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