《聲の神に顔はいらない。》67 普段との違いを分かってる分、自分の方が一歩進んでるから

『バッシュ・バレル』

バルクさんから彼を紹介されたとき、自分はどんな反応をしただろうか? 普通の日本人なら、バッシュ・バレルの見た目に多分近づかないだろう。それくらい、バッシュ・バレルは外人で、日本人が思う怖い外人的な外見をしてる。大きな背に堀が深い顔。にはタトゥーがあり、鼻とかにもピアスがある。口を開けると、舌にもある。

よくその恰好でここにきたなって服裝だし……唯我獨がめっちゃある。

「へえーあんたがあの腳本を書いたのか」

此花さんがそう訳してくれた。いや、此花さんはもっと丁寧に訳してる。けど、こいつの顔の圧が強くてそう聞こえるんだ。てか眼が強い。外人はなんでそんな綺麗な目でめっちゃ睨んでくるの? 自分の目が滅茶苦茶突き刺してくるって理解してほしい。

「腳本?」

確か自分が書いてたのは普通に小説だったはずだが? 腳本はしらない。自分が知らないことは大此花さんが知ってる。だから彼に目を向け……ようとしてやっぱりそらす。何故かって? それは彼人だからだ。いや、前々から人だとは思ってた。けど普段の此花さんはスーツできっちりと決めたキャリアウーマンなのだ。

いやらしさよりも仕事できます――が真っ先にくるタイプなんだ。だからそのイメージが強かったわけだが……今やそれを塗り替えつつあるのが、今のドレスバージョン此花さんだ。

(自分はとんでもないものを生み出してしまったのかもしれない……)

そんな思いが沸いてくる。それほどに今の此花さん魅力的だ。このバッシュ・バレルもそうだが最初は此花さんにめっちゃ聲かけてたしな。此花さんは相手にせず、バッシュ・バレルもバルクさんにたしなめられたからようやく、こっちに意識を向けて來てるんだ。

「映畫にするにあたって小説のままというわけにはいかないので腳本の形に腳本家さんに依頼したんです」

「そういう事ですか」

確かにあの小説は先に映畫の話をいただいて書いたから、自分的には映畫の尺、所謂二時間前後に収まる様に書いたつもりではいた。セリフも多くしてたし、自分で通して音読してストップウォッチで測ったり……けどそれは結局、素人の足掻きでしかなかったわけだ。ちょっと殘念。

「すみません先生。けど、殆ど容は変わってません。そういうことはやはり先生の意見が必要なので。形式を小説から腳本に変えただけ……流石です」

そう言ってニコッと笑ってくれる此花さん。いつも自分の作品のことを話す時は此花さんの顔が綻ぶ。それは知ってる。大好きがあふれてるのがわかる。

けど今のその恰好、姿でやるのは反則だ。自分だけじゃない、目の前のバルクさんもバッシュ・バレルもその微笑みに見惚れてた。

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