《聲の神に顔はいらない。》69 人の評価って一瞬で崩れるし上がるもの

オーレライは自分たちの所に再び現れたと思ったら、バルクさんとハグして、バッシュ・バレルとバチバチしだした。まあこの二人はとても相悪そうだなって思ってた。けど、バルクさんからオーレライの事は実はちょっとは聞いてるんだよね。

それを知ってるとしては、自分たちといるバッシュ・バレルがこれから制作される映畫の重要人だと察してもいいはずだ。オーレライはバカじゃない。それはバルクさんからも、それにここ數日の接でわかってる。ハリウッドでそこそこ功してるんだ。馬鹿なわけないよな。

世界中からここには夢見る奴らが集まってきてる筈なんだから。その中でもそこそこ、うん、そこそこ功してる。それでもバルクさんの報ではあんまりかな生活はしてないようだ。こんなめっちゃ男を手玉に取って、『私綺麗でしょ?』とか喧伝しながら歩いてる様な奴なのにそこまで派手な生活をしてないってのは実はいがいだった。

まあ印象はあがったが、けどやっぱりがつがつ來る所は苦手なんだけどね。だからそんなオーレライは直ぐにバッシュ・バレルの事を察したはず。でも今、こびへつらう必要もないと判斷したのかも。実際、自分もまだバッシュ・バレルを監督に……とは決定してない。

「私は、先生の作品にはこの人の波長は合ってないと思うわ」

「はあ!? お前みたいな見た目だけそうな奴に俺の『作品』の何がわかるってんだ!」

オーレライは作品に照らし合わせてる意見なのに、バッシュ・バレルの奴は完全に悪口になってるぞ。拠が見た目だけじゃん。しかもそれは主観だし……そもそもがこいつ、オーレライの事やらしい目つきで見てた癖にこの言い草である。

度下がってるぞ。

「ありがとう。でも私は顔がいいって知ってるし、ちなみにスタイルにも自信あるから、あんたにこれ以上褒められる必要ないわ」

「んな……」

うまいな。バッシュ・バレルの返しに乗った上でジョーク利かせて上を行ったぞ。確か演技はそこまで……って聞いてたんだが……これで? ハリウッドのレベルの高さが恐ろしい。いやでもハリウッドは最高峰の映畫の聖地。逆にこの位じゃないと期待外れなのかもしれない。

なんかバッシュ・バレル寄りちょっとオーレライへの興味が出てきたかもしれない。自分にグイグイとこないのなら、確かにオーレライは綺麗だ。それにまだ二十代前半らしく、みずみずしい。今度の作品になら、誰なら違和ないだろうか? そんな事をちょっと考えてしまう。

「はっ、聞いてたよりもずっと面白いじゃねーか」

「そっちも、聞いてたよりも隨分厄介そう」

「本人を前に言うか?」

「あんたわかっててやってるじゃない」

んん……なんか話が落ち著いてきたか? そう思ってると、バッシュ・バレルの奴が自分の肩に腕を置いてこういってきた。

「おい、こいつおもしれーぞ! 使うか!!」

「その前にまだ君は監督に決定してない」

「いやいや、もう俺で良いだろ! 今夜だけじゃこいつを落とすのに時間が足りないんだよ」

おい――だ。ちょっとは本音を隠せ。何でお前がオーレライを口説く為に監督任せないといけないだよ! こいつはやっぱり駄目だな――という評価が積みあがっていってる。

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