《聲の神に顔はいらない。》77 厄介事は神じゃなく人が運んでくる

もらった臺本を軽く読み込む。明らかに出てるキャラ多くない? が最初の印象だ。軽く読んだだけで違和ある。

負擔、負擔考えてる? いやこの人が考えてるわけ無い。わたし一人でやるって分かってるだろうにこの顔である。

毆りたい。

「匙川さんは〜、顔出しはNGらしいんで頑張ったんですよ〜」

「頑張った?」

それってどういう事? この企畫の立ち上げに盡力したって事? まぁそれならわからなくもない。

あんな崩壊しかけてた現場でこんな企畫があったなんて思えないし……いやもしかしたら初期段階からの企畫って線もある。

あまりにも現場がやばかったし聲優もいなくなってたからたち消えてたが今更き出したとか……そんなんではないだろうか?

「また余計なことをしたんですか?」

「そんな酷い。余計なことをなんてプロデューサーである自分がやるわけーー」

ジーーー

「う、たまにはあったかな? けど今回は本當に頑張ったんだよ!!」

そういって泣き真似始めるこの人……絶対に反省してないでしょ。そもそもが目薬見えてるし。突っ込んでほしいんでしよ? その手には乗らないぞ。

「でもほら君なら出來るでしょ!」

「それが楽天的なんですよ!」

出來るからやってって、こっちは何も聞いてないですよ。こっちだって々と通さないと煩い人がいるんだ。ここで安易に「はい! やりましょう!」なんて言えない。

それにさ、他にも気になることある。

「あの、これってキャラの設定おかしくないですか? ちゃんとした人が書いてるんですよね?」

「あちゃ〜、やっぱり分かりますか? 実は誰も引きけてくれなくて自分で書いたんですよ。自信作ですよ」

そんな事聞いてねぇよ。え、え? この人がこれ書いたの?

「なんでキャラの事、プロデューサーの貴方が把握してないんですか……」

その事実に腸が煮えくり返りそうだ。この人は仕事だけ取って來ればそれでいいと思ってるのだろうか?

私はプロデューサーの仕事なんか聞いたくらいしか知らないから、実際この人がプロデューサーとしてどれだけなのかなんてわからない。でもこの人が作品に真摯では無いのは確かだ。

どうせこのラジオだって今私がバズってるからその勢いに乗りたいって魂膽だろう。

「でも頑張ったんだよ?」

「それは……」

確かにそれは実は否定出來ない。滅茶苦茶なキャラの掛け合いにしかなってないが、その分量はじつは凄い。

ここまで書く前にしでも設定資料をみかえせば……

「はぁ〜」

「そうだ! なら君が書けばいい。全部のキャラ把握してるだろう? 完璧だ!」

「は……はぁあああああ!?」

この人の思考の飛躍についていけない。私は口をあんぐりとするしか出來なかった。

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