《聲の神に顔はいらない。》371 運命の日 6

「どういう事なのか、中にって聞いて來て」

「はい」

私も知ってる靜川秋華の付き人さんだ。キリッとした尖ったメガネをつけてスーツにを包んだだ。まさに出來るってじの人で、ちょっと私的には苦手っていうか……めっちゃきっちりしてるんだよね。はっきり言って、哀れだよね。

いや、靜川秋華がじゃなく。あの人が……だってあの人は本當に真面目な人だ。まさに會社員ってじで、スケジュールをびっちりと決めて、タスク管理をして、一つ一つそれを消化しながら、日々を生きてる……みないな? 私は會社員の経験なんてないわけだけど、まさに彼は會社員だなって印象を私は勝手に持ってる。

それに比べて私達聲優はどうか……案外自由だ。もっというと適當……というかね。いや売れてる人たちはそれこそタイトなスケジュールでカツカツなのかもしれないが、私にはその経験はないからね。

まあ靜川秋華なんて、その最たる例のはずなんだけど……私も靜川秋華の影をやってるだけあって、一応そっちのスケジュールもちょっとは把握してる。かなりカツカツだった。でもそれでも、靜川秋華は靜川秋華なんだよね。

何を言ってるかわからない? まあつまりはどんなに忙しくても、あいつは、自分を殺したりしないって事だ。仕事を自分の都合でキャンセルしたり、行かなかったり――なんて事は流石にしてないが、なんかどんどんんな要求してた。最初は腕を折った負い目からか、大人しくしてたんだけど……日が経つにつれて、なんか細かいことを要求してた。

「今日はあそこのお弁當食べたい」とか「抹茶フラペチーノ飲みたい」だのとか……そういうのを突然言って買いに行かせたりしてた。

まあそういうくらいなら、可……なのかもしれないが、毎日だとね。私はイラッとくるよね。

「さむ……」

そういった靜川秋華はそそくさと車に戻ろうとする。確かに外は寒いからね。靜川秋華の登場により、周囲がざわついてるけど、靜川秋華本人は全くそれを意に返してない。てか気づいてない。

あれが大か……私ならあんなに注目されてたら、ソワソワするだろう。てか……絶対にネガティブな方向に考える。ブサイクだって思われてるんだろうなって……とか。

あそこまで堂々とは出來ない。それを素でやってるんだから、靜川秋華は持ってると思う。

「あっ」

「っ!」

皆が靜川秋華に注目してた。けどそんな中、なぜか私と靜川秋華の目があった。淺野芽依を盾にしてたんだけどな……

「ととのちゃん!」

やめて、そんな思いっきり手を振らないで、ほらこっちにも注目が……私達の関係はそんなに喧伝しないほうがいいってそっちの社長も言ってたじゃん。

  きっと靜川秋華はそんなの頭から抜け落ちてるんだろう。

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