《終末デイズ〜終末まで殘り24時間〜》酒井 東夜の章:9
會計(諭吉を置いただけ)を済ませてコンビニを出る。
既に咲希さんは荷臺に待機しており、早く早くと急かすようにサドルをペシペシと叩いていた。可すぎんだろ...。
僕はサドルに腰掛けて、ペダルをフルスロットルで漕ぐ。
咲希さんもスピードに慣れてきたのか、僕の腰に腕を回さずしてもバランスが取れるようになったようだ。
「ねぇねぇ、次はどこに行くの?どこに連れて行ってくれるの?」
親に言われるがままに車に乗った子供のように咲希さんは問いかけてきた。
その聲はどこかげで、可らしい子貓のようである。
「ちょっとばかり遠くにある山の中腹だよ。まあ、ちょっととは言っても坂道ばかりだからすごい時間はかかると思うけどね」
自転車に付いている時計を確認すると午後の1時。本気で漕いで行っても3時までに著くかどうかだ。
それに今は咲希さんを乗せている。
それ以上に時間がかかってしまうだろう。
「こりゃ本當に一日中借りちまうかな...」
ため息混じりに呟いてしまう僕がそこにはいた。
「ここは...」
咲希さんの目の前には寂れた教會。
ステンドグラスは割れ、どこからかびた植のツルがレンガ造りのそれを侵食していた。
「驚いた?ここは小學生の頃、僕たちが基地として使っていた教會。咲希さんが引っ越してすぐに、ここの神父さんが亡くなっちゃってそのままなんだよ」
そう、小學生の頃に咲希さんたちと一緒に基地と稱して遊び場としていた教會。
教會までの道も相當変わってしまったために咲希さんはここに著くまで気付かなかっただろう。
「懐かしいな...ここでみんなで遊んでいたな...それなのに...わたし...、みんなと別れて...勝手にいなくなっちゃって...」
微笑む咲希さん。その目には涙が浮かんでいる。
ずっと見つめるその一點には薄く汚れた壁とくっきりと寫るペンキの跡。
「みんなでここに落書きをして神父さんに怒られちゃったよね」
黃のペンキで丸を描き、その中に赤いZの文字。それが僕たちにとっての暗號というか、サインのようなものだ。
「一応小學校の頃の奴らの連絡先持ってるけど今すぐに會いたくなったかな?」
「もう無理でしょ、こんな時間なんだから...」
朝から変わらず空は赤く染まっていたが、時間は経ってしまうものだ。
時計を見ると現在の時刻は5時過ぎ。
今から帰宅しようとしても、世界が終わるのが先か、家に著くのが先か、どちらか分からないほどだ。
「それなら何時か、みんなって飯にでも行く?」
「この世界が終わりを迎えていなかったらね...奢ってよ」
おそらくこれ以上とないほどの"世界が終わっていなかったらジョーク"であろう。
僕ら二人は不覚にも笑ってしまった。
【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、女醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄光のラポルト16」と呼ばれるまで~
【第2章完結済】 連載再開します! ※簡単なあらすじ 人型兵器で戦った僕はその代償で動けなくなってしまう。治すには、醫務室でセーラー服に白衣著たあの子と「あんなこと」しなきゃならない! なんで!? ※あらすじ 「この戦艦を、みんなを、僕が守るんだ!」 14歳の少年が、その思いを胸に戦い、「能力」を使った代償は、ヒロインとの「醫務室での秘め事」だった? 近未來。世界がサジタウイルスという未知の病禍に見舞われて50年後の世界。ここ絋國では「女ばかりが生まれ男性出生率が低い」というウイルスの置き土産に苦しんでいた。あり余る女性達は就職や結婚に難儀し、その社會的価値を喪失してしまう。そんな女性の尊厳が毀損した、生きづらさを抱えた世界。 最新鋭空中戦艦の「ふれあい體験乗艦」に選ばれた1人の男子と15人の女子。全員中學2年生。大人のいない中女子達を守るべく人型兵器で戦う暖斗だが、彼の持つ特殊能力で戦った代償として後遺癥で動けなくなってしまう。そんな彼を醫務室で白セーラーに白衣のコートを羽織り待ち続ける少女、愛依。暖斗の後遺癥を治す為に彼女がその手に持つ物は、なんと!? これは、女性の価値が暴落した世界でそれでも健気に、ひたむきに生きる女性達と、それを見守る1人の男子の物語――。 醫務室で絆を深めるふたり。旅路の果てに、ふたりの見る景色は? * * * 「二択です暖斗くん。わたしに『ほ乳瓶でミルクをもらう』のと、『はい、あ~ん♡』されるのとどっちがいい? どちらか選ばないと後遺癥治らないよ? ふふ」 「うう‥‥愛依。‥‥その設問は卑怯だよ? 『ほ乳瓶』斷固拒否‥‥いやしかし」 ※作者はアホです。「誰もやってない事」が大好きです。 「ベイビーアサルト 第一部」と、「第二部 ベイビーアサルト・マギアス」を同時進行。第一部での伏線を第二部で回収、またはその逆、もあるという、ちょっと特殊な構成です。 【舊題名】ベイビーアサルト~14才の撃墜王(エース)君は15人の同級生(ヒロイン)に、赤ちゃん扱いされたくない!! 「皆を守るんだ!」と戦った代償は、セーラー服に白衣ヒロインとの「強制赤ちゃんプレイ」だった?~ ※カクヨム様にて 1萬文字短編バージョンを掲載中。 題名変更するかもですが「ベイビーアサルト」の文言は必ず殘します。
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