パァンという竹が炸裂するような音が頭に響き渡り、目の前が一瞬暗くなるような覚がした。

目の前には上げられた三本の白旗。

それと共に確定した私の負け。

私は悲しみを堪えて蹲踞の姿勢をとり、試合の為に線引かれた四方から抜け出した。

私、椎名蒼は剣道部に所屬している中學三年生。

9月に行われた県大會では4位になるも地方大會への出場権は逃してしまった。

地方大會に進出するためにの滲むような努力を続けた。ランニングから始まる基礎のトレーニング。素振りの回數だって倍以上にした。

それだけでなくあらゆる稽古法を探求し、より良い練習メニューにもした。

それなのに...いや、だからこそ私は敗北してしまったのだろう。

余裕をじてしまい、驕りを見せてしまったのだろう。

それ故に私は彼に負けてしまったのだ。

そう、共に歩んだ親友、岡本 紅菜に。