《一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...》手紙
〈奏太side〉
部室を後にして、鞄を取りに教室へと向かった。介は職員室に用があると言って途中で別れた。
それぞれ興味のある部活に行っていて、教室にはクラスメイトの姿はまばらだった。
來蘭と隣り同士で帰り支度をしていると、機の中の教科書を鞄にれようと、機に手をれた來蘭のきが一度止まってから、しを屈めて中を覗き込んだ。そして、小さく畳まれた紙のようなものを取り出して、俺に背を向けるようにして紙を広げて見ている。
ラブレターか?
いや、ラブレターならあんな紙切れなはずないな...アイツらの嫌がらせかな...
「來蘭どうした?」
聲をかけてみた。
「なんでもないよ?...」
隠した?
やっぱりラブレター的なやつか?
いずれにしても來蘭から目を離さないようにしないと、んな意味であぶないな...
「來蘭、支度できた?」
「ん」
「じゃあ帰ろ」
ふたりで下駄箱へと向かった。
靴箱の扉を開けてローファーを取り出した時に何かが落ちた。なんだろうと拾い上げてみるとそれは手紙だった。
「どうしたの?そうちゃん?」
俺の手にある手紙に來蘭の視線は注がれていた。
來蘭は〈察した〉顔をして、視線を逸らし、急いで靴を履こうとしてよろけた。
「あぶなっ」
當たり前のように來蘭を抱き留めた。
來蘭は目を合わせようとしない。
あきらかに揺している。
「ご、ごめんそうちゃん、ありがとう」
目を合わさぬままを離そうとした來蘭の名を呼んだ
「來蘭?」
やっと俺を見た。
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◇SQEXノベルさまより書籍全3巻発売中!3巻は完全書き下ろしで、WEB版の続きになります。幸せいっぱい、糖分過多のハッピーエンドです。 ◇ガンガンONLINEさまにてコミカライズ連載中! コミックス2巻が発売中です。 ◇ 書籍ではWEB版のラストを変更しています。 伯爵家に引き取られたジゼルは、義母や妹に虐げられながらも、持ち前のポジティブさと亡き母に貰った『やさしい大魔法使い』という絵本を支えに暮らしていた。 けれどある日、自身が妹の身代わりとして変態侯爵に嫁がされることを知り、18歳の誕生日までに逃げ出す計畫を立て始める。 そんな中、ジゼルは奴隷市場でムキムキの青年を買うつもりが、ついうっかり、歳下の美少年を買ってしまう。エルヴィスと名乗った少年は、ジゼルをクソガキと呼び、その上態度も口もとんでもなく悪い。 ──実は彼こそ、最低最悪の性格のせいで「人生をやり直してこい」と魔法を封印され子供の姿にされた後、神殿から放り出された『大魔法使い』だった。 魔法によって口止めされ、自身の正體を明かせないエルヴィス。そんな彼に対しジゼルは、あまりにも辛い境遇のせいでひねくれてしまったのだと思い、逃亡計畫の傍らひたすら愛情を注ぎ、更生させようとする。 (あれ、エル、なんだか急に身長伸びてない?魔法が少し使えるようになったって?ていうか距離、近すぎるのでは……?) 世話を焼き続けるうちに、エルヴィスに少しずつ不思議な変化が現れ始める。彼に掛けられた魔法が、人を愛することで解けることを、二人が知るのはまだ先で。 家を出たい心優しい少女と、元の姿に戻りたい優しさの欠片もない魔法使いが、幸せになるまでのお話です。
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