《一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...》僕の歌姫は君だけ...

屋上で、紫音先生に借りたギターを練習していた。ライブでやったあの曲のコードなら覚えていたから、コードの押さえ方をひとつひとつスマホで調べて、かない右手の親指で弦をれて音を出した。

「下手くそー」

いつの間にか後ろに居た紫音先生に言われてカチンと來たわたしは

「まだ始めたばかりなんだからしょうがないでしょ!」

と、睨みつけた。

わたしからコード譜を取り上げ

「貸してみ?」

ギターを構え 

「歌ってみなよ」

わたしが作詞したあの曲を、紫音先生の弾くギターに合わせて歌った。

歌聲は初夏の風に乗り、のびやかに響いた。

歌い終わると、屋上に居た人々が盛大に拍手してくれた。

「お前すごいな...」

「さっきまで下手くそとか言ってけなしてたくせにー」

ってほっぺを膨らましたら

「ギターはまだ下手くそだろ?」

って言いながら、わたしにギターを渡すと行ってしまった...

先生めちゃくちゃギター上手かったな...

このギターも、Gibsonのビンテージアコースティックギターだし...紫音先生って何者なんだろ...

しっかしこのFとBは難しいなぁ

ギターを練習していると、弦を押える左手に意識を集中させていられるからいい。かなくなった右手のことを忘れて居られる...

「來蘭ちゃん」

呼ばれて振り返ると、そこには、涙ぐんだ優輝くんが立っていた。

「優輝くん!來てくれたの?」

「來蘭ちゃん、ギター...」

「あぁ、うん、ギターなら弾けるかなと思って...リハビリにもなるしね。

ごめんね優輝くん、わたしの右手、かなくなっちゃった...ベースはもう弾けない。

でもね、わたしには左手があるし、歌も歌える!これからもわたしを、このバンドで歌わせてくれる?」

優輝くんは一度後ろを向いて、涙を拭ってからまたこちらを向くと

「僕の曲は、來蘭ちゃんにしか歌わせないに決まってるだろ?

僕の...僕らの歌姫は、來蘭ちゃんだけなんだから!」

今度はわたしが涙を拭って

「うん...ありがと...」

「新しい曲、何曲か仕上げたんだ。あとは來蘭ちゃんの歌を乗せるだけになってる音源持ってきた。退院するまでに詞を書いて!」

そう言ってiPodを差し出した。

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