《一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...》紫音先生の過去 2

もうここ數年は、忙しい毎日の中で咲を思い出すことも隨分なくなっていたのにな...

來蘭と出會ってから、咲のことをよく思い出すな...

今日のリハビリルームの業務を終え、やれやれと自販機橫のベンチで缶コーヒーを飲んでいた。

窓からオレンジの西日が斜めに差し込む様を、ぼんやりと見ていた...

1人のがジュースを買いに來た。

ゴトンと落ちてきた缶ジュースを取り出し、開けようとするが、なかなか開かないらしくカチカチやってる...見兼ねた俺は、貸してみろと聲をかけて開けてやった。

「ありがとう」と言っては笑顔を見せた...と思ったら俺の手を取り「來て!」と引っ張る。

に連れられて來たのは、さっきまで居たリハビリルーム...

部屋の一番奧、リハビリ用のキーボードを弾く、咲の姿がそこにあった。

咲はゆっくり振り返ると

「そうちゃん」

しかそう呼ぶことのなかった呼び名で、俺の名を呼んだ...

紫音 創一(しおん そういち)、それが俺のフルネーム。苗字が珍しいから、友達も先生もみな「紫音」と呼んだが、彼だけは俺のことを「そうちゃん」と呼んだ。

「そうちゃん老けたね」

「うるせーよ、ばーか」

「おっさんじゃん」

「まだ28だわ、ボケ!」

あの頃みたいに咲と、子気味よく軽口を叩く

「ねぇそうちゃん、もうそろそろ幸せになりなよ...」

「咲...」

「好きなんでしょ...あの子のこと...」

「......」

「今のあの子のこと救えるのは、そうちゃんだけだよ...あの子が無理して笑ってるの、気が付いてるんでしょう?」

「俺には幸せになる資格なんかないよ...」

「そうちゃん...もうその十字架降ろしていいよ...」

そう言って咲は俺を抱きしめた。

「紫音先生?こんなとこで寢たら風邪引くよ?」

そこに居たのは來蘭だった。

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