《(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~》冬の風詩・前編

「寒い!」

その日は、そんな怒り心頭のメリューさんの言葉から始まった。

確かに隙間風がってくるというか、どこか寒いじがする。何でこんなことになっているのか全くもって解らなかった。そもそもの話、ここは確か他の世界とは全く違う異世界のはずだから、溫度や気候なんて関係ないはずではなかったのか。

「それなんだけどね……そのシステムが故障しちゃったらしいのよ。ガタがきたのかもしれないわね……。それに、あのシステムは魔で作られているから私たちのような魔に明るくない存在がやったところで直るはずが無いのよ。ってか、寧ろ悪化する」

「……だったら、誰か直せる人を呼ばないと……」

「それは今、リーサが何とかしているから。……まあ、それでも半日くらいかかるらしいけれど」

それじゃあ、あと半日はこの寒さがつづくのか。……うーん、正直それは拙い気がするな。生憎まだお客さんが來ていないから良いけれど、お客さんが來たら大変なことになってしまうだろう。寒すぎて、飯なんて食えるか! なんて言われたらそれまでだ。

そんなことを考えていたわけだが、それについて提言したのはメリューさんだった。

「……あら、もうお晝になるのかしら」

時計を見ると確かに十二時五分前。結局午前中には誰もお客さんが來なかった、ということになる。

まあ、いつものことではあるけれど。

そんなことを思っていると、メリューさんが何か土鍋を持ってきた。

「それじゃ、今日は暖かい晝ご飯としましょうか」

「鍋……ですか?」

「ええ。いい材が手にったから、使ってみようかと思って。ヒリュウさんも、なかなか珍しいものを持ってきてくれたものね」

ヒリュウさんが持ってきた、ということは羊関連ということか。羊とか? となると、鍋の中は羊を使った鍋……ということになるのだろうか。うーん、羊獨特な臭みがあって好き嫌いがあるというけれど、食べることが出來るだろうか。

そんなことを考えていた俺だったが、メリューさんがテーブルにクロスを引いて、それを置いたとき、こんなことを言った。

「ああ、そうだった。ケイタにサクラ、お前たち……臓は食べられるか?」

……まさかのもつ鍋だった。

もつ鍋。

ふつうは牛や豚の臓をニラやキャベツなどの野菜と一緒に煮込んだ鍋である。味付けは大抵醤油ベースの味が多かったはずだ。それに、唐辛子などをれて臭みを消すパターンもある。さっきも言ったけれど、かなりもつ自獨特な香りがあるわけだし。

嫌いな人も居るけれど、好きな人はとことん大好き。それがもつの魅力かもしれない。

……それにしても、臓まで食べるのはきっとあの世界でも俺たち日本人くらいなのだろうけれど。

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