《(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~》年越しそばリターンズ

「……なんやかんやで、まさか今年もこうなるなんてね」

「大晦日もシフトれるのは、きっと俺くらいですからね」

大晦日。

一年の最後の日であり、一年の総決算をするような日である。そういえば去年もここで仕事をしていたっけなあ。その時は確かメリューさんとティアさん、それに俺だけだった。

「……あの時は、人數がなかったんだよな……。それが今や、倍以上だもんなあ」

俺は一年前の出來事を思い返しながら、ただコップを拭いていた。

「にしても、まさか今年もお前が『年越しそば』を作るとはな……。來年こそは、私が作らねば」

「いいんですよ、別に。いつもメリューさんに作ってもらっているんですから。こういう時くらい、俺に作らせてくださいよ」

「……うーん、そう言うなら致し方無いか」

どうやらメリューさんは納得してくれたようだった。納得しなかったらどうしようかと一瞬思ったが、それは特に問題なかったようだ。

「さて、ちょうど出來たじですかね」

俺はスマートフォンを取り出して時間を確認する。なぜかというと、ボルケイノの時間軸は他の時間軸とは大きく異なる。しかしながらスマートフォンとは便利なもので、ボルケイノにいる時でも日本の時間軸を示してくれる。おで正しい茹で時間を示してくれる。

ということは充電が無くなったらおしまいになってしまう。だからバッテリーは必須だ。それも五回くらい充電出來る大ボリューム。それくらいじゃないとボルケイノの業務をこなすことが出來ない。……まあ、それは言い過ぎな話かもしれないけれど。攜帯の電波なんてあるはずがないから、インターネットなんて見られない。だからその機能をオフにしてしまえばいいだけの話だ。

そばをいれて、つゆを注いでかきあげを載せれば出來上がり。それをメリューさん、ティアさん、リーサ、シュテン、ウラの目の前に差し出す。

「……これが年越しそば、というのか?」

リーサ以下は初めての年越しそばになる。だからとても珍しいのかもしれない。

そして、彼たちはほぼ同時に両手を合わせて、こう言った。

「いただきます!」

今年ももう年を越した。

今年はいろいろ大変な年だったが、來年はどんな年になるのだろうか。そんなことに不安と期待を織りぜながら、俺は皆が食べ終えた年越しそばのを洗い始めるのだった。

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