《(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~》狐の恩返し・3

「……いい香りがしてきましたね」

ケイタもできあがったタイミングでなぜかやってきた。何だ、結局腹が減っているんじゃないか。そんなことを思ったが、まあ、それは言わぬが花というものだ。気付けば二人分の分量でちょうど良いくらいのボリュームできつねうどんを作っていたが、これはきっと普段のパターン、というやつだ。いつも通り、とでも言えば良いだろうか。

私は二人分のきつねうどんをよそって、し離した位置にケイタの分を置いた。

「あれ? 俺の分、用意していただけたんですか」

「食べたそうな顔をしているからな」

……噓だ。

ほんとうは気付けば二人分作っていた、というだけなのだが、そんなこと言えるわけが無い。

だから普段のように超スピードでうどんを作ったと言うしかない。

「そいつはどうも、ありがとうございます」

そう言って、ケイタはうどんの皿を取っていった。

相変わらず、ケイタは細かい要所要所で律儀だ。やっぱりしつけが良いのだろう。かつてサクラに聞いたことがあるが、言葉を澱んでいた。どうしてだろうか? いつか明らかになるときが來るだろうか。

さて。

ケイタはカウンターのほうへ向かってしまったので、廚房には私が再び一人殘る形となった。まあ、それは想像の範囲だったので、別に問題ないのだが。

私はきつねうどんを食べることにしよう。箸を手に取って、うどんを掬う。そしてそのうどんを口にれて思い切り啜る。

うどんにマキヤソースベースの味が絡んで、味い。我ながら完璧なできあがりだと思う。

さて、揚げを食べてみるとしようか。

そう思い、私は油揚げを箸でつかみ、そのまま口に運ぶ。

噛み切ると、口から染みこんでいたスープが口の中に流れ込んでいく。

ああ、味い。

それでいて、油揚げにもともとっている甘さが際立って心地よい。

そのために敢えてスープの味をしょっぱくしていたが、正解だったようだ。

市販のものを購したので味付けは々気になっていたが、それでもこの味付けにはちょうど良い。ともなれば、大功と言えるだろう。

「今度は油揚げからここで作るか……。さすがに大豆の栽培は難しいが」

一応畑はあるが、さすがに全部自作は難しい。ある程度はものを購する必要があるわけだ。それは技的問題もあるが、近所付き合いの観點からもそう言える。

例えば、すべて自作の材料で賄えたとしよう。となると、わざわざ材料を購する必要がなくなるわけだ。実際にはそんなことはこのボルケイノではほぼ有り得ないことと言って過言では無いのだが。

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