《(ドラゴン)メイド喫茶にようこそ! ~異世界メイド喫茶、ボルケイノの一日~》狐の恩返し・6
「お釣りを用意するのでお待ち下さい」
まあ、ケイタもその価値に気付いていることだからあまり呵責しないことにしようか。
「いえ、大丈夫です」
ケイタの行を、は言葉で遮った。
「え?」
「……私を助けて下さった、あのメイドさんのためならば、それほどのお金は無駄ではありません」
「やっぱり、そうだったか」
私は、気付けばその言葉をぽつりと口にしていた。
「え?」
「え?」
ケイタとは同時に私の方を向いて、そう言った。
不味かったかな。表に出るつもりはなかったのだけれど、まあそこまで気にすることでもない。今更隠れたってもう遅いし、それを気にするほど私は小心者ではない。
「……ずっと気になっていたんだよ。こんな子供がボルケイノに來たことがあったか? ってね。まあ、ミルシアとかは居たかもしれないが、でも、それは數派だ。だから、だからこそ気になっていたんだよ。このお客さんは誰なんだ、って。普段はそんなこと気にもとめないし、プライバシーの侵害に繋がるわけだけれどね」
「なら、どうして……」
「確信があったからさ。それは、來店時には証拠なんて一つもなかったことだったけれど」
それは、例えば『食べたいと思ったメニュー』。
それは、例えば『最後に伝えたその言葉』。
仕草や言葉の一つ一つから、予想は確信へと変化する。
「じゃあ、それはいったい……」
「実はさっき狐の親子に食べを分け與えてね。ま、おかげで晝飯を食べるタイミングをすっかり逃してしまったわけだけれど。そんで、もう一つ。確か狐には姿を変えることが出來る……正確に言えば、錯覚を見せることが出來るんだったかな? ケイタの世界にもかなりの逸話が殘っていたはずだけれど」
「じゃあ、もしかして……」
「そういうこと。彼は狐、それにしてもまさか恩返しでやってくるとはね。律儀な狐も居るものだね」
◇◇◇
後日談。
というよりも今回のオチ。
結局、自らが正を明かすことはなかった。けれど、やっぱりあのは狐で合っていると思う。いなり壽司を食べたかった、というのもその點に挙げられるだろうしね。
余談だが、ケイタの世界でも油揚げは『きつね』のことを言うのだとか。初めて知ったけれど、実は私の世界もそうだったりする。案外常識が似通っているんだよな。……実はルーツが一緒だったりして? まあ、そんなことはないか。
そんなことはあっという間に流れ去って、今日もボルケイノは営業するのだった。
……なんか、テンプレートっぽい〆だけれど、たまにはそれも良いだろう?
私は誰に問いかけるでもなく、そう呟くのだった。
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