《四ツ葉荘の管理人は知らない間にモテモテです》スーパーに行った先で
冬海と竜膽先輩を迎えに行った日から一週間後、おれは冬海と一緒に晩飯を作っていた。
冬海は家事全般が得意らしく、よく手伝ってくれている。料理初心者としては嬉しいかぎりだ。
ちなみに春花は部屋で洋服作り、竜膽先輩はギターの練習でスタジオに行っているらしく帰りはもうし遅くなるそうだ。
「あっ、味噌を買い忘れた」
今日の晩飯は焼き魚と味噌、サラダとおひたしだったのだが、この間味噌を使い切って買うのを忘れていた。これでは食卓が寂しくなってしまう。
「冬海、味噌を買ってくるから、ちょっと頼むな」
「そういえば緑さんが用してたお味噌は、近くの店でこの間から取り扱いをされてないみたい。だから隣の駅の近くにあるスーパーに行くしかないの……」
冬海はすごく申し訳なさそうな顔をする。味噌にとって味噌は大事な味付けだ。その味が変わるのは、あまりよくないだろう。
「わかった。そのスーパーにいってくる」
玄関に向かい、行ってきますと言ったら、奧から冬海はおれのパーカーを持ってきて渡してくれる。
「まだ寒いから上著を著て行ってね。気をつけて、行ってらっしゃい。あとは任せて」
まるで夫を送り出す妻のような行に、口をぱくぱくとかすしかなかった。無意識の行なのだろうが、々気恥ずかしい。
「はい……行ってきます」
「うん、行ってらっしゃい」
冬海は笑顔で手を振った。その姿はまさに可憐で、辺りに雪の結晶が舞う妖のようだった。
✽
自転車でスーパーに向かい、味噌を持ちレジに並んでいると立葵先生とばったり會った。
「蒼太……こんな所で何をしてるんだ?」
なぜか揺している立葵先生はビールを一本、おつまみだろう袋をカゴにれていた。
「おれは味噌がなかったから買いに來たんですよ。立葵先生は晩酌ばんしゃくの用意ですか?」
「ま、まあな……帰り道にでも話すよ」
二人共が會計を済んだ後、立葵先生にどうやって帰るのか聞いた。
「このまま歩いて帰るぞ。このスーパーで買いをしてから歩いて帰るのが日課なんだ。蒼太は?」
「おれは自転車です。じゃあ、一緒に帰りましょうよ」
立葵先生はバツが悪そうに頬をかきながら、頷く。
そうやっておれたちは帰路についた。
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8 104異世界でもプログラム
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