《四ツ葉荘の管理人は知らない間にモテモテです》しほりんのアドバイス
そしてフリーマーケット當日になった。
夏樹先生の車には、おれと秋乃先輩と商品が乗ることとなり、春花と冬海は別に行くことになった。それは商品の搬がおれたち三人の仕事だったからだ。夏樹先生の車は快適で、丁寧な運転だった。
フリーマーケットが始まると、三人のコーナーは大盛況だった。おれが電卓を叩き、秋乃先輩がそれを伝える、會計はおれと秋乃先輩の二人だった。春花、冬海、夏樹先生はお客さんと話している。
そして大きな波が去った後、おれは提案する。
「代で買いに行ってくるのはどうかですか?」
それに全員が賛してくれた。そして一番初めに、おれが行ってくることになった。
フリーマーケットでは様々な店が參加している。おれは初めて參加するのでが躍る。そして可いストラップを売っている店に目を吸い込まれた。
「こんにちはぁ、どうぞ見ていってください! って、蒼太くんじゃん。久しぶりぃ☆」
そこの店番をしていたのは、おれの一歳年下の従姉妹である四ツ葉 紫穂しほだった。紫穂も姉ちゃんと同じで、平凡な見た目の四ツ葉の家系に生まれたはずが、一般的な顔立ちと比べると異を放つ顔立ちだ。彼は目鼻立ちがくっきりしていて、大きな瞳はいつも星が輝いているだ。そしてギャルでもある。
「紫穂、こんなところで何してるんだ?」
紫穂は頬を膨らました。そんな姿も、妹可さで贔屓目に見ても、とても可い。
「しほりんって呼んでって、いつも言ってんじゃん。今日はフリーマーケットだよぉ? ハンクラしたのを売りに來たんだぁ。ほら、見てってよ」
ハンクラとはハンドクラフト、日本語でいうと手蕓という意味だ。
そして紫穂が作ったというストラップを手に取ってみる。それはとても出來が良くて、思わず唸ってしまった。細部まで凝っていて、プロの技としか思えない。
「すごい上手じゃないか」
紫穂は腰に腕を當てて、を反らした。誇らしげな顔な顔は、い子供が褒められてする表のままで、い頃を思い出した。
「でしょぉ! ゆくゆくは四ツ葉の會社で、職人として雇ってもらうためにがんばってるんだぁ。絶対に蒼太くんと一緒に働いてみせるからね!」
嬉しいことを言ってくれると笑顔になる。もう一度、ストラップに目を戻す。これなら新規部門も作れるだろうと確信した。
「おれもしほりんを待ってるよ。なあ、これより簡単なやつなら、おれにも作れるか?」
紫穂は怪訝そうな顔をしたが、すぐに悩める職人の顔になる。そして、おれが持っているストラップを見た。それを確かめると、シートの一番外側に置いているものを取ると、おれの顔の前につきだした。
「蒼太くんって用だから、これならすぐ作れるよ。どうしたの、ハンクラに目覚めちゃった系?」
その質問に、ちょっと悩んでから頷く。良いアイディアを思いついたのだ。
「おれは今、四ツ葉荘の管理人をやってるんだ。それで、そこに住んでいるみんなにプレゼントできたらいいな、って思ったんだけど……」
紫穂はキラキラと効果音が出そうなをまき散らしながら笑った。
「なにそれ、めっちゃいいじゃん! あたしが教えてあげるよ!」
ありがたく頼むことにしたおれは、また明日會う約束をして別れた。みんなのところに戻ったおれは、たいそう上機嫌だったらしく、みんなに理由を聞かれた。しかしサプライズをするつもりなので、と言い張った。
✽
おれは學校が終わると、春花と冬海の三人で四ツ葉荘に帰った。そしてすぐに四ツ葉荘から一番近い駅で、紫穂を待った。
「おまたせぃ、蒼太くん」
紫穂はおれの視界の外から現れた。突然聲をかけられた驚きと紫穂の制服への驚きで、おれの肩は激しく跳ねた。
「しほりんって、花南學院だったのか!」
花南學院、花と省略される學校は、地域でも有名なお嬢様學校だ。街ですれ違う花の生徒はみな清楚で上品な子校生で、花を知る男子の憧れの的だった。
「そうだよっ、この制服、かわいいっしょ?」
紫穂はくるりと回ってポーズをきめて、おれに制服を見せる。確かに可い。
「確かにかわいいな」
紫穂はニンマリと笑い、頭に手をやる。なんだ、そのポーズは。
「いやぁ、たらしの蒼太くんに褒められると、うれぴすなぁ」
「は? たらしの蒼太?」
「やっぱりなんでもないでぇす。早く四ツ葉荘に行きましょぉ!」
話の逸らし方が雑だが、突っ込まないことにする。そして紫穂の重たそうなカバンをおれが代わりに持つと、紫穂は反対の腕にくっついてきた。
「歩きにくいから、ちょっと離れろよ」
「なぁんにも聞こえないなぁ」
そんな軽口を叩きながら、四ツ葉荘に向かった。
✽
おれがハンクラを始めてから一週間が経ち、ようやく四つのストラップができた。春花にはピンク、冬海には水、秋乃先輩には黃、夏樹先生には赤、この四をイメージした。
これから渡そうと思っていた夕食後の管理人室はなぜか張に包まれていた。
「あの、おれが作ったストラップをけ取ってくれないか?」
おれが聲を出すと、みんな嬉しそうな顔をしてくれる。想像していた通りで、とても嬉しくなった。
「蒼太の手作り! 本當に嬉しい! 一生の寶にします!」
春花はストラップを掲げて、喜んでくれる。
「あ、ありがとう……大事にするね」
冬海は顔を真っ赤にして、小さな聲で話す。とても照れているようで、こちらもし照れてしまう。
「ありがとう、すごい上手だねっ! うわあ、どこにつけようかなぁ」
秋乃先輩は褒めてくれた後に、すぐに悩み始めた。その悩み様はとても嬉しいものだ。
「ありがとな、嬉しいぞ。それに確かに上手だな。最近、蒼太が花生を連れ込んでいたのは、このためか?」
夏樹先生はストラップを揺らしながら、にやりと笑った。だが、人聞きの悪い言い方だ。
「従姉妹に教えてもらっていたんですよ。その子はすごい上手なんです」
おれが言うと、春花と冬海は大きな息をついた。そして冬海が涙目で言う。
「いつの間にかに彼ができてたら、どうしようと思ってた……よかったぁ」
春花は今にも泣きそうな冬海を抱きしると、優しい聲で言う。
「本當によかったねぇ。はあ、安心したよ」
なんといえばいいのか分からずに黙っているおれに、秋乃先輩は大人の達観したような顔で言う。
「本當に蒼太くんって、罪作りだよねぇ。危ない、危ない」
「秋乃も、たまには冒険も必要かもな」
夏樹先生がお茶を飲み、コップを機に置いて言った。秋乃先輩の顔は真っ赤になり、ふぎゃあと可らしい聲を出した。
それが面白くて笑うと、みんなもつられた様に笑った。
「今のは笑うところじゃないよ! もうっ!」
秋乃先輩は、頬を膨らませるが、それも可くて、みんなの笑みはもっと深くなった。
こんな風に、五人で暮らす夜は更けていった。
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