《彼が俺を好きすぎてヤバい》あか あお きいろ
俺の彼は三人いる。
浮気をしているという意味ではない。
瀬野せの遙はるかという人間は、そのくらいテンションに差があるという話だ。
妙ちくりんな事をまくし立て続ける奇人。
靜かで理知的な才。
そして、はにかみ照れ屋な普通のするの子。
誰しも様々な面を持ち合わせているだろうが、彼の場合はその差が隨分と激しい。
利便上(?)、奇人モードを黃yellow、理知的な青cyan、の赤magentaと、勝手に呼んでいる。本人や誰かにそれを言うことはないが。
その昔、どれが本かと聞いたことがある。すると、
「オヤオヤ、じゃあ【しっかり者の私】、【可憐な私】、【面白おかしい私】、どれがお好みカナ? どれでも好きな子をあげヨー」
などと言って、俺の周りをまわりながら、合畫のように影分をして微笑んだ。
「全部ってのはナシよン」
「えー」
自稱「しっかり者」擔當の遙はるかがくぎを刺してきた。
「じゃあ」
俺はし考えて、ずっと恥ずかしそうにモジモジしている「可憐」擔當に手をばす。
そしてすぐさま向き直って殘り二人を見る。
「馬鹿だなー」
俺はそう言って反対の手をばして殘り二人も抱き寄せる。
「そんなあからさまにしょんぼりするなら変なこと言うなよな」
「そんな顔してないわ……」
「翼つばさ君の気のせいポン」
俺の腕の中で小さくなっている遙はるか(たち?)が、口々に文句を言う。
「へいへい。ほーら、一人で充分だ。戻れ戻れ」
「うぅ~……」
三人をぎゅーっと押し付けるように抱きしめると、遙はるかが小さくきながら一人に戻った。
元通りになっただろうと、顔を覗き込む。
嬉しいような、不満なような、複雑な顔をしている彼をそのまましばらく抱きしめていた。
俺の彼は三人いる。しかし、案外その境目はあいまいで、三人より、し多いかもしれない。
ある日の空き時間の部室。遙はるかが急に話題を振ってきた。
「私の見ている赤と、貴方の見ている赤は、果たして同じでしょうか」
「逆転クオリアですか」
「よくご存じで」
「あれさ、脳を直結とかしないかぎり、他人の見ているものと自分の見ているものを、完全に共有できないわけで、結局は確かめる方法ないんじゃねって思うんだけど」
「まーねー。各人が生まれた時からそれぞれを『赤』だと見ているから、どんなに話し合っても分かんないものだよね」
遙はるかはそう言って首をかしげながら続ける。
「でも私はそういうわけにはいかなくてだね……」
しかし何か言いかけて黙ってしまう。
「ん?」
遙はるかは、俺の相槌をシカトしてしばらく考え込む。
そして、意を決しこうんだ。
「例えば……【一面の赤】!」
突然、視界が真っ赤になって心臓が飛び上がる。
「わわっ。びっくりした」
「赤だった?」
「脳の管が切れたかと思ったわ」
「幻って、どっちの認識が採用されてるんだろうね?」
「知らんわ。お前の方が詳しいだろうが」
幻なのは百も承知だが、こういうドッキリは正直やめてほしい。
「一応癒じゃなくて魔のはずなんだけどねぇ……。者の魔力を使うから、私の認識なのかなぁ……。私が見せたいものを見せるから……でももし『赤』って聞いて翼つばさ君のイメージで再現されたら……範囲幻だと……」
思考が飛んでいる遙はるかを放って、自分の自習を再開する。
「アレー?」
シカトされてることに気付いた遙はるかが絡んでくる。
「翼つばさ君は真面目だにゃー。その頭脳を貸してほしいにゃん」
……青と黃のグラデーション。
「俺は別に賢くない」
「私より績いいじゃーん」
「お前は賢いのに々こじらせてるからな」
「なにおーっ」
遙はるかがわざとらしくぷりぷりしだす。
「……黃が強くなった」
「ん?」
「なんでも」
いつの間にか口に出していた。危ない。
「……かぁ……」
遙はるかが呟いて靜かになる。
そして、ふっと笑い、座っている俺の橫に立つ。
「今度はなんだ」
「翼つばさ君の髪はかっこいいよね。月のみたいな、銀髪」
そう言ってさわさわでる。
「目のも……青みがかった緑……」
そう言う遙はるかの目は獲を見定めるような目をしだしていた。
自分の額を俺の額にすりつけて囁く。
「飴玉みたいで、とっても綺麗」
この遙はるかは狂気の紫purple。こうなるとかなり面倒くさい。
俺が怖がるのを狙っているから。
俺はしばらく遙はるかをにらみ、視線を落とす。
それから、すっと腕をばして遙はるかのをソフトタッチする。
「きゃあ」
遙はるかがやる気なさげな悲鳴を上げて離れる。
「何をするのだー」
「目の前にらかそうな桃饅ももまんがあったからな」
「どうせお饅頭まんじゅうくらいしかありませんよーだ」
実はもうちょっとあるが、黙っておく。
「めば大きくなるって聞くぜ?」
「だめぇ……」
遙はるかが消えそうな聲で呟いて、「赤く」なった。
俺は立ち上がって遙はるかの近くに寄る。
遙はるかがあからさまに警戒して口をとがらせる。
「なによー」
「やり返しすぎた。だから仲直りのキスをしようと思って」
「なにそれチャラいー」
そう言う遙はるかだが、明確な拒絶ではないとふんで、そっと抱きしめる。
「悪い。でも、予告なしでかけられてビビらされたから機嫌が悪くなったんだぜ?」
「翼つばさくん怖いの駄目だもんね……」
「そういう問題じゃないだろ」
「分かってるよー。もうしません」
「そうやって素直なところ、好きだ」
「馬鹿じゃないの……」
遙はるかの朱に染まった頬にキスをする。
そして、不意打ちに驚いてこちらを見上げたにキスをした。
俺の彼は三人いる。三人とも必要だと言ったのは俺。
頑張って付き合うさ。
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