《ACT(アクト)~俺の婚約者はSな毒舌キャラを演じてる…~》そうだ!困った時は相談しよう!!
「よし、やっぱ二人きりで話すならここしかないよな。ここなら途中で邪魔がることもなさそうだし」
「それで、相談したいことがあるって言ってたけど、どうしたの?遠慮せずに何でも言って?」
放課後。俺はこっそりなごみにだけ今朝の栞との一件を相談しようと考え、彼を屋上に連れてきた。 平は部活だし、他にここに來そうな奴もいないし…の相談するならここがベストだろう。
しかしなぜだろう…。今日はデートとかじゃなく、真面目な相談をするためにここに來た…はずなのだが…
「…いや、勿論相談はするんだが…お前、何でそんな嬉しそうなの…?」
肝心要の相談相手はというと、とても今から真面目な相談をけるとは思えないニマニマと嬉しそうな笑顔をこちらに向けていた。
あれ?俺、ここに來る前にちゃんと真面目な相談があるって言ったよな…?
「あの、なごみさん…?俺がお前をここに連れてきた理由、分かってる…?」
「ご、ごめんね!これから真面目な相談するって時にこんな嬉しそうにしてるのおかしいよね!?」
多分無自覚だったんだろう。嬉しそうな顔を指摘され、ワタワタと慌てふためくなごみ。…うん、まぁとりあえず用件はちゃんと伝わってるみたいでよかったわ。
「いつも私が助けられてばっかりだから…奏太君の力になれるって思ったらつい嬉しくなっちゃって…ごめんね?」
「お、おう!…まぁ、別に分かってればいいからっ!」
いかんいかん。思わず上目遣いで申し訳なさそうに恐る恐る謝るなごみの姿にドキリとしてしまった…。ちょっとちょっとなごみさん?ただでさえ中々お目にかかれない素の格の狀態でこの不意打ち…さすがにそれは反則でしょ…。
「お、オホンッ!――まぁ、それはいいとして…肝心の相談なんだが――」
いや、今は惚気てる場合じゃない!
俺は気を取り直し、真剣モードで今朝の出來事を事細かに話した。
「――う~ん…なるほど…あの栞ちゃんが…」
「どう思う…?」
そして、俺の話を一通り聞き終えて難しい顔で唸るなごみに、率直な想を聞いてみた。すると…
「あくまで個人的な想になっちゃうけど…」
「構わん。言ってくれ!」
「うん…。それ、間違いなく奏太君のこと異として好きなんだと思うよ…?」
「や、やっぱり…?」
返ってきた意見は俺が今朝抱いたものとほぼ同じ…。妹大好きお兄ちゃんが自意識過剰な勘違いをしてしまっただけ――という線はどんどん薄くなっていく…。
「もしかしたら、気のせいってこともあるかもしれないけど…その後すぐに逃げるように走って行っちゃったっていうのは…」
「だ、だよなぁ…」
別に栞に好かれているのが嫌なわけじゃない。むしろ妹大好きな俺としては大歓迎だ!…それが”兄妹としての大好き”なら、だが…。
「でも、逆に奏太君はどう思ってるの…?栞ちゃんのこと、好き…?」
「當然好きだ!というより大好きだ!!それはこれからも変わらない!いわゆる永遠のっていう奴だ!!」
なごみの質問に、俺は迷うことなく即答。妹へのをハッキリとを張って口にした。
「あの…仮にも人で婚約者の立場からすると、即答で堂々と言われると複雑なんだけど…」
「大丈夫!確かに俺は栞のことが大好きだ。だがそれは”兄妹として”。――つまり、なごみに対するとは種類が違う…そう、例えるなら兄妹と人へののような」
「全くもって例えられてないような気がするんだけど…」
「とにかく!俺は栞とは”異”としてでなく、”兄妹”としてのを育んでいきたい――そういうことだ!」
なごみへの=異、人に対する。
栞への=家族、兄妹に対する。
――俺は、なごみと栞…大好きな二人に対するの違いを力強く熱弁して見せた。
「う、うん、分かった。確かに奏太君、昔から栞ちゃんのこと可がってたもんね…」
なごみが俺の熱弁っぷりに若干引いている気もするが…まぁ気のせいだろう。
「とりあえず奏太君としては、これからも栞ちゃんのことは兄妹としてするけど、奏太君のことを異として意識してる栞ちゃんの気持ちには応えられない、ってことでいいのかな…?」
「ああ、そんなじだ。ついでに言うと、できる限り栞のことは傷つけたくないし、アイツには”兄”として俺を好きでい続けてほしい。あと可能ならお前と栞にも昔みたいに仲良くしてほしい!――なごみ、なんかいい方法はないか!?」
俺の要をまとめると…
1.栞を傷つけずに俺の気持ちを伝えたい。
2.かつこれからも今まで通り仲の良い兄妹の関係を続けていきたい。
3.できれば栞にはこれからも”兄”として俺のことを好きでいてほしい。
4.なごみと栞という將來の”義姉妹”にも仲良くしていてほしい
――こんなところだろうか。
…うむ。々張りすぎな気もするが、どれも妥協できないことばかりだからな。仕方あるまい。
「うーん…。そうだよね…。私も栞ちゃんとはこのことでギスギスせずに仲良くしたいし、奏太君とも仲良し兄妹のままでいてほしいんだけど…」
しかし…もしかして誰かに相談すれば目から鱗の方法が出てくるのでは?と勝手に期待してみたが、世の中そんな簡単にいくはずもなく…。
現狀と俺の要を一通り聞いたなごみは困った表を浮かべ、
「でも、どういう結果になるかは分かんないけど、やっぱり一回栞ちゃんとしっかり話し合うしかないんじゃないかな…?」
「やっぱりそれしかないよな…」
そして、真剣に悩んでくれた末、なごみが提案してくれた方法は正攻法だった。
正面から話し合うしかない!…それは分かっている。だが…
「あぁ…これで栞との兄妹関係がギクシャクしたらどうしよう…」
他人行儀な喋り方をする栞…兄妹間で最低限の會話しかない日々…素っ気ない態度の栞…ダメだ。し想像しただけで涙が出てくる…。
けないが、そんな々しいことを思わずはいられなかった。
「だ、大丈夫だよ!何ができるか分かんないけど、私もいろいろと力になるから!!」
「おう…ありがとうな!」
こんな々しいシスコン男でも見捨てないとは…さすがは俺の惚れた!思わず惚れ直しちまったぜ!!
――と、その優しさに激しつつ、自分の彼の魅力を再認識していると…
ガチャガチャ
不意に屋上の扉を開けようとする音が…。
もしかして平か?いや、でもアイツは部活のはずだし、そもそも放課後にここに來ることだってアイツには言ってないはず…。
でも、屋上の鍵が実は壊れてて、コツを摑めば簡単に開けられること知ってるのなんて俺達以外だと平くらいだし…。
もしかして、なごみが気を利かせて平も呼んだのか…?いや、でも…
ガチャガチャ…ガチャ
そうこう考えているうちに、遂に扉の向こう側の人間によって屋上の扉が開けられた。
そして…
「もう~やっと開いた~!」
「こ、これ、勝手に開けて大丈夫なの…?」
「大丈夫大丈夫」
ってきたのは二人の。
「「!!」」
俺となごみはそのうちの一人の…その見覚えのある姿に、目を見開き、それはそれは驚いた。
だって…
「やっと見つけた!お兄ちゃん…それと、なごみちゃん」
「し、栞!?」
そこに立っていたのは、まさに今回の俺の悩みの元になっている、藤岡栞…俺の可い可い妹だったのだから…。
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「世界最初の超知能マシンが、人類最後の発明品になるだろう。ただしそのマシンは従順で、自らの制御方法を我々に教えてくれるものでなければならない」アーヴィング・J・グッド(1965年) 日本有數のとある大企業に、人工知能(AI)システムを開発する研究所があった。 ここの研究員たちには、ある重要な任務が課せられていた。 それは「人類を凌駕する汎用人工知能(AGI)を作る」こと。 進化したAIは人類にとって救世主となるのか、破壊神となるのか。 その答えは、まだ誰にもわからない。 ※本作品はアイザック・アシモフによる「ロボット工學ハンドブック」第56版『われはロボット(I, Robot )』內の、「人間への安全性、命令への服従、自己防衛」を目的とする3つの原則「ロボット工學三原則」を引用しています。 ※『暗殺一家のギフテッド』スピンオフ作品です。単體でも読めますが、ラストが物足りないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。 本作品のあとの世界を描いたものが本編です。ローファンタジージャンルで、SFに加え、魔法世界が出てきます。 ※この作品は、ノベプラにもほとんど同じ內容で投稿しています。
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