《ACT(アクト)~俺の婚約者はSな毒舌キャラを演じてる…~》まさか……あの巨は幻だったというのか!?

「あ~あと5日もこの生活が続くなんて耐えられん……」

翌日の放課後。今日も何とか1週間限定のご主人さまと化したによる無茶振りを何とか乗り切り、屋上で愚癡をこぼす俺。え? 放課後なんだからなごみと一緒に帰らなくていいのかって?

「悪いな。なごみちゃんと帰るところ邪魔しちまって」

「いいってことよ! お前の相談ってのも面倒だが、今なごみと一緒に居ても無茶振り喰らわされるだけだからな! それよりは遙かにマシだ!」

俺は満面の笑みで親指を立てた。

「本來噓でも『親友のお前のためなら仕方ないだろ』とか言う場面だと思うんだが…清々しい程の本音だな」

我が親友であり、今は同じ境遇に苦しむ平さんが、相談したことがあるって言うんだから、仕方あるまい。

「まぁいいや。それで肝心の相談事――というか確認したいことなんだが……駒形先輩だったけ? あの超巨な先輩」

「ああ、そうだけど」

駒形優……あんな持ち主の名前、忘れられるわけがない。

「その駒形先輩……本當に存在してるよな……?」

「……は?」

子から理不盡な扱いをけ続けたせいで頭がおかしくなっちゃったのか? 真剣な顔であまりに突拍子のない質問をしてくる平に、俺は思わず唖然としてしまった。

確かにあの推定Hカップ以上はあろうかというは夢だったんじゃないかと思いたくなる程のデカさだったことは認めるが……。

「いやいや、存在してるも何も……俺もお前も、それからクラスの連中も、ちゃんと実見ただろ?」

「そ、そうだよな……」

っていうか、あれが夢の中の存在だったのならどんなに良かったことだろう。それならこの理不盡な下僕生活もなかったというのに……。

「でもさ、俺昨日サッカー部の先輩に聞いたんだよ。『先輩の學年にグラビアアイドルみたいな超巨先輩いますよね?背も高くてスタイルもよくて……確か駒形先輩っていうんですけど……。やっぱり三年生の中でも有名人なんですか?』って」

「おお、それで?」

「でも、その先輩さ、『駒形? 誰だ、それ? っていうか、うちの學年にそんな子なんていねぇぞ』って言うんだよ」

「え? どういうことだ?」

「それだけじゃない。マネージャーの含めてサッカー部関係の先輩全員知らないっていうんだよ。ちょっとおかしいと思わねぇか?」

「確かに……」

あんなでスタイル抜群な人、同じクラスじゃなくても同じ學年にいれば目立つに決まってる。喋ったじそんなに気な人でもなかったし……なくとも普通の生徒より報通であろう育會系の人々 (勝手なイメージです)が存在を知らないなんて考えにくい。

「もしかして他校の人だったんじゃないか?ほら、似たような制服なんていくらでもあるし」

ここらの公立高校の制服なんて大似たりよったり。夏服ともなれば見分けなんて付かないんじゃないか?――と思ったのだが、

「いや、それはない」

目の前のイケメンは俺の考えを即棄卻した。

「なんでだよ!? あの時は先輩も夏服だったし、守衛さんが見落として校れちゃったって可能も――」

「いや、制服は見間違えてもリボンまで見落とすなんて考えにくいと思わないか?」

「!!」

そういえばそうだった。この學校では子は夏服でもリボンの著用が義務付けられていて、そのも學年によって決められている。ここらの學校で夏服でもリボンを著用してる學校なんてないし、しかもうちの學校のリボンの柄は學校指定で學校を通してしか購できないものらしい。

そして……あの時の先輩はちゃんと指定のリボンをつけていた。

「他校の生徒がうちの學校指定のリボンを簡単に手にれられるわけないし、聞くところによると守衛さんもリボンの柄は必ず見るらしい」

「つまり、先輩が他校の生徒っていう可能はかなり低いってことか」

駒形先輩は三年生にも存在は知られておらず、他校の生徒の線も薄い……。となると、可能としては一つしかないんじゃないか?

「ってことは、先輩は実は1年生でリボンはこの學校の別の先輩から借りたとか――」

「殘念ながらそれもない。なぜなら何人かの後輩にも聞いたが、誰もそんな子のことは知らなかったからな」

「お前の捜査スピード半端ねぇな……」

この男は昨日1日でどんだけ調べ上げてんだよ。本職の刑事さんもビックリだよ。でもこの流れ……またもや嫌な予しかしないんだが……。ここはこの早目に話を終わらせて、さっさと撤退するのが吉だな。

「駒形先輩が謎の人だってことは分かった。もしかしたらあれは幽霊だったのかもしれんな。――それで? 俺はこの話を聞いてどうすればいいんだ? まさかこの話をなごみにして『あれは人間じゃない。幽霊だったんだ。だから許してくれ』とか言わせるつもりか? 悪いがそれなら――」

「一緒に駒形先輩を探してくれないか?」

……はいはい。言うと思ったよ。これを言われる前に一方的に話を終わらせて帰るつもりだったのに……。

「俺にはどうしてもあれが幽霊だったとは思えん。かといってこのまま何もしないのも何だか気持ち悪いし……だから――」

「悪いがお斷りだ」

「は!?」

俺は真剣に頼みこんでいる最中の友の言葉を遮り、キッパリと斷った。悪いな、平。俺はノーと言える日本人なんだ。

「なんでだよ! お前だってこの話聞いて先輩のこと気になっただろ!?」

「いや、全く。っていうか、もし、あの先輩を探してるっていうのをなごみが知ったら……俺はそのリスクを冒してまでこのミステリーに付き合うつもりはない」

もしなごみにバレた場合、彼視點で見れば…巨な先輩に再會するために三年生の教室まで探しに行く彼氏――どう考えても良いイメージは持たれまい。

平と一緒に先輩の捜索を行う。

②それをなごみが知ってしまう。

③なんやかんやで、俺はなごみに更なるペナルティを追加される。

――ここまでの流れが手に取るように分かる。これが分かっているのに、平のいに乗るなんて正気の沙汰じゃない。それに……

「あと、ぶっちゃけ面倒臭い」

「お前、それが本音だろ!!」

「ま、悪いがそういうことだ。じゃあな」

「何勝手に話終わらせようとしてんだよ!……って、おい! 本當に行くのかよ! この薄者―!!」

俺は涙目で引き留めようとする平を振り切ると、振りかえることなくスタスタと屋上の扉の方へと歩き出した。

しかし……

「……分かった。もし手伝ってくれるなら、夏休みの課題、全部寫させてやる」

優等生でもある友人のその甘い一言に、ついつい足を止めてしまった。

しっかりしろ、藤岡奏太! ちゃんとリスクを考えろ! お前はこんな単純なに負けるようなチョロイ男じゃないはずだ!! 振りかえりそうになるのを必死に耐える。が……

「寫すのも半分は俺が手伝ってやる」

「よし! さっさと謎の巨、駒形先輩の存在を確かめに行くぞ!!」

結局俺は夏休みの面倒事から解放されたいというに勝つことはできなかった。仕方ない。だって人間だもの!に負けるのも當然だ!!

え? なごみにバレるリスク? 大丈夫大丈夫! 上手くやれば問題ないって!

「さすが相棒! 頼りになるぜ!!」

「水臭いこと言うなよ!――さぁ、一緒に謎を解き明かしに行こうぜ!!」

俺達は意気揚々と三年生の教室へと向かった。

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