《ACT(アクト)~俺の婚約者はSな毒舌キャラを演じてる…~》下之城のする相手って……
「え……? お前ら、何やってんの……?」
休み時間にるやいなや、教室を飛び出して補習組へと向かった俺だったが、教室にはなごみも下之城もおらず。
近くにいた男子に聞いてみれば仮病で保健室に向かっているということなので、急いでそちらに向かってみれば、道中待ちけていたのは衝撃的な景だった。
「そ、奏太君!?」
を重ね合う二人の。
一人は俺の婚約者、もう一人はつい昨日俺にプロポーズをしてきた…俺に好意を寄せているはずの二人のによるキスシーンを目撃してしまい、思わず俺は一瞬その場で直してしまった。
「あら、誰かと思えばワタクシの結婚相手の藤岡君じゃないですの。てっきりどこかの変態が覗いているのかと思いましたわ」
「うん、イマイチ狀況が飲み込めないんだが……、とりあえず俺はお前の結婚相手でも名ければ変態でもない」
下之城にツッコミをれつつも未だ気が転しまくりの俺。
「ち、違うの! これはこの子が勝手やってきたことで……」
同士のキスシーンを彼氏兼婚約者に見られ、俺以上にパニック狀態のなごみ。
しかし、そんな俺達二人とは対照的に、
「なるほど。ワタクシとあなたは結婚相手ではない、ということは…つまり離婚ということかしら」
下之城だけは通常運行。俺達が揺していることなど関係なく、落ち著いた様子でどんどんボケを放り込んでくる。
「いや、離婚っていうか、そもそも結婚してないからね?」
「まぁ確かに旦那にする人とのキスシーンという言い逃れのできない浮気現場を見られてしまった以上、ワタクシに反論の余地はありませんものね。甘んじてけれますわ」
「いや、聞けよ――って、“する人とのキスシーン”!?」
徐々に落ち著きを取り戻し、ボケの応酬を仕掛けてくるお嬢様に適當にツッコミをれていた俺だったが、聞き流しそうになった単語に思わず聲を張り上げた。
え? 何? どういうこと? コイツの好きな人って俺じゃないの!? 俺、コイツとキスとかしてないんですけど!?
ちょっと待て。一旦狀況を整理しよう。
俺が目の當たりにしたのは、の子同士のキス現場。
下之城はそれを“する人とのキスシーン”と言っている。
そして、下之城がキスしていた相手といえば……。ふと隣を見ると、『え!? え!?』とオドオドしているなごみの姿が……。
「えーっと、今の発言って、さすがにボケだよな……?」
「? 何を仰っていますの? 別にワタクシ、先程から一度もボケてなんていませんわよ?」
「……一応確認だが、お前の好きな相手って、俺じゃないの?」
「あら、何を仰っているの? ワタクシがあなたのことを好きなはずありませんわ」
「……じゃあ、お前の言う“する人”って――」
「そんなの決まっていますわ! ワタクシのする人は彼――波志江なごみさんを置いて他にいませんわ」
…………。
なごみの方を指さし堂々とを宣言する下之城財閥のお嬢様。
その表はどこか誇らしそうで、とても冗談を言っているようには見えなかった。
そんな彼の発言に脳の処理が追い付かず、互いに顔を見合わせ數秒の機能停止という過程を経た後に、俺となごみは、
「「えぇぇぇ!?!?」」
數秒の時間差で二人揃って驚愕の聲を張り上げた。
「え!? いや、でもあなた、奏太君にプロポーズして……」
「えぇ。確かにプロポーズはしましたわ。でもワタクシ、『藤岡君が好き』だとは一言も申していませんわよ?」
「た、確かに……」
言われてみればこの。結婚を迫ろうとはすれど、一度も俺のことが好きとは言ってなかったような。ていうか、なんか俺振れらたみたいになってない?
「と、とりあえずお前が俺のことなんて好きじゃないってことは分かった! でも、じゃあ何で好きでもない俺にわざわざプロポーズなんてしたんだ!? 萬が一俺がOKしてたら好きでもない奴と結婚することになってたんだぞ!?」
とりあえず、ようやく狀況は把握できた俺は、その上で、今回の最大の疑問點を口にしてみた。
好きでもない相手と自ら結婚する意味なんてあんのか? メリットなんて一つもねぇだろ。すると、
「そんなの決まっていますでしょう? 波志江さんがあなたのことをとてもしているということが分かっていたからですわ」
「……は?」
うん、ちょっと何言ってるか分かんない……。
「あなたがいる以上、ワタクシが普通に波志江さんにアプローチを掛けても無駄なのは明らか。それなら、ワタクシがあなたと結婚することで波志江さんにあなたを諦めてもらってからアプローチした方が効果的――ワタクシはそう判斷しただけですわ」
自分の選択した行が間違っているとは全く疑うことなく、はさらに続ける。
「ワタクシはする波志江さんとのを就させることができますし、結婚という形こそこの國ではせませんが、波志江さんのこともきっと幸せにしてみせます。まぁあなたとの結婚がのない形だけのものとなってしまうのは申し訳ないですが……、あなたにとっても一生働かなくても裕福な暮らしができるメリットもありますし――ワタクシ、この計畫は全員が幸せになれる最高のものだと自負しておりますわ!」
自信満々にを張る下之城。そして、
「波志江さん、ワタクシと一緒に幸せになりましょう!」
改めて、“する人”なごみへと向き直って告白し、にっこり微笑みながら手を差しべる。
が、しかし…
「ごめん、あなたと人にはなれない」
「え?」
當然ながら、告白をけた側のなごみには全く笑顔はなく。考える間もなく厳しい表で“ノ―”の返事を突き返した。
まぁ、そりゃあそうだろう。というか、逆になんで下之城は自信を持ってたんだ?
「ど、どうして――」
「『この計畫は全員が幸せになれる』!? ふざけたこと言わないで! あなたの考えた計畫で幸せになれるのなんて、あなただけじゃん!!」
珍しく怒りのをぶつけるなごみに、今まで穏やかな様子を崩さなかった下之城も揺を隠しきれないご様子で。
「そ、そんなことは――」
「そんなことあるよ!」
なごみが素の狀態で誰かに怒ってるところなんて何年ぶりだろう。
一方、怒りをぶつけられた張本人はというと、さっきまでの自信に満ち溢れた態度はどこへやら。反論することすらおぼつかない。
「下之城さん、知ってる? 私の幸せは奏太君と一緒にいられることと、奏太君が幸せになってくれることなの! あなたの考え方では、なくとも私の幸せは実現できない!!」
「!!」
「私だって、あなたの考えを聞くまでは『奏太君の將來的な幸せを考えるなら裕福な家庭の下之城さんと結婚した方が……』って本気で考えてたんだよ!? それなのにあなたは『あなたのことを好きとは言ってない』とか『の無い形だけの結婚』とか……。あなたには奏太君が『お金さえあれば幸せだ』って考えるような人に見えるの!? あなたからのプロポーズをすぐに斷ろうとした奏太君を見たのに!?」
息をし、涙を流しながら必死に怒るなごみの姿に、下之城はまるで親に怒られる子供のように、下を俯くだけで最早何も言い返すことはできなくなっていた。
多分普段怒らないなごみの怒る姿に圧倒されたから、だけではないだろう。
下之城も嫌がらせでこんなことをやっていたわけではなかったのだろう。しかし、だからこそ、なごみの言葉が心に突き刺さったに違いない。
多俺やなごみのことも考えていたのだろうが、最終的には邪魔者を排除して好きな人と一緒になることしか考えていなかった自分自と、自分のことより人のことを考えて怒れるなごみとの差を痛したのだろうか。ハッとした表を浮かべて茫然とする下之城。
「下之城、俺は別に好きでもない奴のことまで思いやれとか言うつもりはない。だから、なごみはああ言ってるけど、別に俺のことを利用しようとしたことは気にしなくてもいい。だけど、自分の好きな相手が何をんでるかくらいは考えてやれよ」
「わ、ワタクシったら、なんてことを……」
そして、今まで黙っていた俺の言葉が最後のきっかけとなり、遂に彼の目から罪悪と後悔の涙があふれ出した。
「波志江さん……、ごめんなさい! ワタクシ、あなたを藤岡君から奪うことばかりで……、藤岡君も、ごめんなさい……!!」
「もう……! そんなに謝らないでよ……!! もっと言いたいこといっぱいあったのに……。そんなに謝られたら、もう怒れないじゃん……!!」
涙を流しながら謝ると涙を流しながら許す。――そんな青春の一ページのような景が俺の目の前には広がっていた。
多分下之城優奈というはそれほど悪い奴ではないのだろう。
本気で自分ののことだけを考えている人間なら他にいくらでもやりようはあっただろうし、なくとも彼が考えたような回りくどいやり方は浮かばないはずだ。
彼はただ、自分のに忠実で、周りが見えなくなっていただけなのではなかろうか。
相手は金の力を使い、両親を利用してまでなごみを奪おうとした奴だというのに……。俺達の追及に対して正直に全てを話したり、自分が悪いと分かれば素直に謝る彼の姿を目の當たりにし、俺はつい、そんなことを考えてしまっていた。
そんな中……、
キーンコーンカーンコーン
校には次の授業の開始を告げるチャイムが鳴り響いたが、俺達は誰一人この場をこうとはしなかった。
じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
【2022年6月1日 本作が角川スニーカー文庫様より冬頃発売決定です!!】 「オーリン・ジョナゴールド君。悪いんだけど、今日づけでギルドを辭めてほしいの」 「わ――わのどごばまねんだすか!?」 巨大冒険者ギルド『イーストウィンド』の新米お茶汲み冒険者レジーナ・マイルズは、先輩であった中堅魔導士オーリン・ジョナゴールドがクビを言い渡される現場に遭遇する。 原因はオーリンの酷い訛り――何年経っても取れない訛り言葉では他の冒険者と意思疎通が取れず、パーティを危険に曬しかねないとのギルドマスター判斷だった。追放されることとなったオーリンは絶望し、意気消沈してイーストウィンドを出ていく。だがこの突然の追放劇の裏には、美貌のギルドマスター・マティルダの、なにか深い目論見があるようだった。 その後、ギルマス直々にオーリンへの隨行を命じられたレジーナは、クズスキルと言われていた【通訳】のスキルで、王都で唯一オーリンと意思疎通のできる人間となる。追放されたことを恨みに思い、腐って捨て鉢になるオーリンを必死になだめて勵ましているうちに、レジーナたちは同じイーストウィンドに所屬する評判の悪いS級冒険者・ヴァロンに絡まれてしまう。 小競り合いから激昂したヴァロンがレジーナを毆りつけようとした、その瞬間。 「【拒絶(マネ)】――」 オーリンの魔法が発動し、S級冒険者であるヴァロンを圧倒し始める。それは凄まじい研鑽を積んだ大魔導士でなければ扱うことの出來ない絶技・無詠唱魔法だった。何が起こっているの? この人は一體――!? 驚いているレジーナの前で、オーリンの非常識的かつ超人的な魔法が次々と炸裂し始めて――。 「アオモリの星コさなる」と心に決めて仮想世界アオモリから都會に出てきた、ズーズー弁丸出しで何言ってるかわからない田舎者青年魔導士と、クズスキル【通訳】で彼のパートナー兼通訳を務める都會系新米回復術士の、ギルドを追い出されてから始まるノレソレ痛快なみちのく冒険ファンタジー。
8 77【書籍化】誤解された『身代わりの魔女』は、國王から最初の戀と最後の戀を捧げられる
【書籍化準備中】 秘密だけれど、ルピアは世界でただ一人の魔女だ。『相手の怪我や病気をその身に引き受ける』魔法が使える。そんな彼女は、初戀相手であるフェリクス王と結婚することになった。 彼のことを一途に思うルピアに、フェリクス王も魅かれるけれど……誤解から、彼女が裏切ったと考えて冷たく當たってしまう。 ルピアはそんな彼の命を救い、身代わりとなって深い眠りについた。 「……ルピア。君が私への思いを忘れても、私はずっと君を愛するし、必ず君を取り戻すから」 夫のことが大好きな妻と、妻のことがもっと大好きな夫の話。 あるいは、長い片思いで息も絶え絶えになった夫が、これでもかと妻を溺愛する話。
8 193俺だけステータスが、おかしすぎる件
この小説の主人公、瀬斗高校2年 迅水 透琉(はやみ とおる)は、クラスで、いじめを受けていただが突如現れた魔法陣によって異世界 アベルに転移してしまった。透琉のステータスは、 あれ?俺〇越えるんね!? 透琉は、アベルで自由気ままに生きて行く? ことは、出來るのか!? ん? 初投稿です。良かったら見てください! 感想やご指摘も、お待ちしてます! あ、言い忘れてましたね。 俺は飽き性です。時々やらなくなっちゃう時があります。 ストーリーも自分のしたいようにやります。 皆さんの期待を95%裏切ります。 萎える人もいるでしょう。 今までの方が良かったと思う人もいるでしょう。 なので気の長さに自信がある人なら作品を最後まで見れる...かな?
8 89この度、晴れてお姫様になりました。
現世での幕を閉じることとなった、貝塚內地。神様のはからいによって転生した異世界ではお姫様?ちょっぴりバカな主人公と少し癖のある人達との異世界生活です。 拙い點の方が多いと思いますが、少しでも笑顔になってくれると嬉しいです。 誤字・脫字等の訂正がありましたら、教えて下さい。
8 146能力しかないこの世界で
舞臺は現代日本に近い平和な國ショパン。その國では2種類の人間がいた。1つはある特殊能力を持つごく1部の人間、もう1つはその特殊能力を持たない多數の人間。特殊能力を持たない人間達(以後無能力者と言う)は特殊能力を持つ人間(以後有能力者と言う)を妬み迫害していた。そんな世界を変えるために主人公、柊和斗とその仲間達が戦う物語です。 ※初投稿になります。未熟な部分が多數ありますが、是非是非コメントでご指摘や感想などをしてくれるとありがたいです。一定の部分までは書いてあるのですぐ進むかも知れませんが、その先は不定期更新になってしまうことをお許しください。
8 152Licht・Ritter:リッチ・リッター
ここは日本、生まれてくる人間の約90%は魔法・能力をもって生まれてくる時代。 そんな日本で生活する主人公、耀 練(かがやき れん)は様々な騒動に巻き込まれ、それに立ち向かう。 彼自身にも色々謎が多いなか、一體どうなっていくのか。 魔法の世界がやがて混沌にのまれる時...全ての謎が明かされる。
8 68