《ACT(アクト)~俺の婚約者はSな毒舌キャラを演じてる…~》ショッピングってこんなに大変なものだったんですね……

※※※※

すぐそこに困っているの子がいる。

それも見ず知らずの他人じゃない。俺自人が、だ。

さっきからキョロキョロ、オドオド。し離れた場所から見ていても焦りまくっているのは一目瞭然。

だというのに……

「なぁ、栞。ホントにこれでいいのか?」

俺はそんな彼をただ遠巻きに見守ることしかできない。

本當は今すぐにでも窮地に陥っているアイツを助けに行ってやりたい! 安心させてやりたい!! だけど……、

「もう、お兄ちゃんこれで確認するの何回目? ――大丈夫。これが一番なごみちゃんの為になるはずだから」

他でもない。なごみ自のためということで、飛び出したい衝を必死に抑えて、今もこうして見守り続ける。

「あとは“あの人”に任せよ?」

「お、おう」

『お兄ちゃん、もし、なごみちゃんが今回一緒に出掛ける友達と本気で今以上に仲良くなりたがってるなら……ちょっと、私に任せてくれるかな?』

――可い妹からの真剣な顔で言われた、その言葉を信じて……。

※※※※

「なごちゃん! 次はあっちの店に行きましょっ!!」

本來なら近くで見守っている奏太君と栞ちゃんから逐一アドバイスをもらいながら行する予定だったのに、唯一の連絡手段であるスマホは既に電池が無く戦力外。戦場に丸腰で送り出された気分の今日この頃。

「ほら、早く早く!」

「ちょ、ちょっと待って……!!」

出鼻を挫かれた私は、ただただ下之城さんに振り回されっぱなし。

待ち合わせてすぐ、下之城さんの提案により近くのショッピングモールに行くことになったまでは良かったんだけど……まだ11時過ぎだというのに私は既にヘロヘロ狀態。

まぁ、沈黙になったり、やることがなくなって気まずくなるよりは全然いいんだけどさ……。この調子が一日続くのは力的にさすがに……。友達と遊ぶのってこんなに力必要なの?

しかし、そんな弱音を吐いている暇なんてなくて、

「なごちゃん! ここのお店、結構良い服が揃ってるんですのよ」

「そ、そうなの?」

下之城さんに連れられてやってきたのは、私なんか場違いに思えるおしゃれな服が並ぶ洋服屋。

ただ、お嬢様な下之城さんが來るようなイメージとも違うような。

あ、そうか。私も一緒にいるから一般的な子高生が行くような店に合わせてくれてるのか。

さすが下之城さん、気遣いも完璧だ。私なんか自分のことだけで一杯なのに……。と、ちょっとしたことで人間としての量の差を見せつけられ、若干へこんでいると、

「なごちゃん、この服なんてどうかしら?」

下之城さんが手に洋服を持ちながら私に意見を求めてきた。

い、いきなりファッションの意見を求められるとは……。

手に持っているのは爽やかで可らしい白いワンピース。相手は綺麗で気品があってスタイルの良い下之城さんだ。正直ファッションセンスなんて持ち合わせていない私にとって、服裝について意見するなんてハードル高過ぎだけど、下之城さんが著れば大抵の服は似合うはず!

栞ちゃんも『友達に意見を求められたらとりあえず褒めておけば大丈夫』って言ってたし、ネットでも『褒められて嫌がる人はそうそういない。似合うかどうか聞かれたら迷わず褒めておこう!』って書いてあった!!

よし! ここは褒めておけば問題ないはず!! しかし……

「ええ。可いし、上品っぽさもあるし、よく似合うと思――」

「ワタクシとしてはこっちのスカートの方がなごちゃんに似合うと思うんですけど」

「え?」

話しの流れから察するに、どうやら下之城さんは私用の服を選んでくれているらしい。

あの、こういうケースでどう答えればいいか、私教わってないんだけど……。

“友達から服を進められた時の答え方”なんて、栞ちゃんからの事前アドバイスにも、ネットにも書いてなかったじゃん!

「どう? なごちゃん?」

「そ、そうね…」

本來ならこういう時こそ、栞ちゃん達に相談したいのに……。

チラリとカバンからスマホを取り出して電源ボタンを押してみるが、無常にも畫面は真っ暗なまま。

ど、どうしよう……。正直言ってどっちの服もあんまり私の好みじゃないんだけど……。でもどう返せば……。

『私も似合うと思う!』とか言って同調すればいいの?

それとも『いや、こういうのは好きじゃないんだよね…』とか正直に言えばいいの?

――などと心の中で戸っていると、

「まぁ、悩んでても仕方ないですわ! こうなったら気になる服は片っ端から全部試著しますわよ?」

「え!?」

「ほら、“百聞は一見にしかず”って言いますでしょ!? ――店員さん!? ちょっと試著室お借りしますわよ?」

「はい、どうぞご利用ください」

「え、ちょっ!?」

下之城さんに強引に手を引かれ、試著室へ。

「ついでにこれとこれも……。それからこれも試著しましょ♪」

「え!? さ、さすがにこんなには……」

気付けば試著室の中は下之城さんセレクトの大量の洋服が。

う私ととても楽しそうな下之城さん。

「それじゃあ、まずはこの服を著てみて頂戴ね」

「う、うん……」

下之城さんの勢いを前に斷ることもできず…私は下之城さんの著せ替え人形と化した……。

そして、30分後。

「どれも可くてどれを買うか迷いますわね……。あ、これはワタクシからのプレゼントだからお金の心配は無用ですわよ」

「し、下之城さん……さっきから私だけいろいろ試著してて悪いし、あなたも自分の服選んでみたらどうかな? ほら、私も下之城さんにプレゼントしたいし」

「なごちゃんは優しいんですのね! でもワタクシのことは心配無用ですわ。ワタクシはなごちゃんの可い姿が見られるだけで満足ですから! ――ほら、次はこれ!これなんてどうかしら!?」

ダメだ……。この試著會、全然終わりが見えないんだけど……。

そして、ようやく下之城さんが満足したのはこの後さらに30分後のことだった。

ちなみに計1時間も試著したというのに、私の服は結局決まらずじまい。最終的に、一応二人とも自分用の小を購したものの、店を出る時の店員さんの引きつった笑顔に、私が気まずさで一杯になったのは言うまでもなかった……。

正月初めからインフルでした!最悪の年越しですよね?皆さんも調にはお気をつけて!

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