《闇夜の世界と消滅者》十五話 治癒者
「うーん、思ってたほど怖そうな人ではなかったね」
そう呟きながら、寫影朧は先ほどのとの會話を思いだす。
「真面目そうだし、なにより可かったし」
の話を聞いたとき、もっと強面を想像していたのだが、いざ出會ってみると、かなり可い顔つきだった。それこそだと偽っても全く不審がられないようなレベルである。
寫影がが男だと分かったのは単に男子生徒の制服を著ていたからだ。裝していたら確実に子生徒だと間違えただろう。
「あんなに可い顔つきなのに、メルガリアの、あのシルフィードの一員だなんてね」
は答えてくれなかったが、彼がメルガリア特殊暗殺機関ーシルフィードの一員だということは聞いていた。
メルガリア特殊暗殺機関ーシルフィードの名は、おそらくライバースの倍以上に有名だろう。
なにせシルフィードと言えば、メルガリアの中でも特殊で殘酷極まりない試験にかって初めて一員として認められる特殊部隊だからだ。それゆえに舞臺にメンバーは全員が化けクラスであり、シルフィードの中の最低ランクでもSなのだ。
ここまで兇悪な部隊が暴れずに一つの組織に団できているのは、ひとえにメルガリアのトップの実力であり、なによりシルフィードを束ねる隊長の手腕のおかげでもあろう。
4年前、ヴァリアントが東京灣近海に出現したとき、シルフィードは真っ先に戦場に駆り出された。
ほかの組織から援軍が駆け付けるまでの間、シルフィードの隊員はたった十人で何千何萬というヴァリアントを皆殺しにした。
援軍が駆け付けた時、戦場にあったのは、數え切れないほどの人間に骸と、それをはるかに凌駕するヴァリアントの骸、その上に佇む十人のシルフィードのメンバーの姿だけがあったという。
その景を見た全員が戦慄し、恐怖を覚えた。
ーー自分たちはとんでもない化けたちを味方にしているのではないか、と。
「それほどまでに恐れられるシルフィードの一員である彼を、なぜこんな學校に編させてたんだろうね」
「それは、兄様にやってほしい仕事があるからとのことですよ」
寫影の獨り言に言葉を返したのは、いつの間にか傍らに立っていただった。端正な顔立ちに白くる銀の髪、深い蒼い瞳、見た目からして十二歳くらいだろう。まるで人形のようなだ。
「お久しぶりですね、無効者キャンセラー」
「あれ、僕って君と會ったことってあったっけ?」
「ええ。4年前の祝賀會の時に一度だけ」
そういわれて思い出す。確か、シルフィードによるヴァリアントの大量殺した翌日に、東京を死守したということで盛大な祝賀會が開かれた。
その時にメルガリア特殊支援部隊ークシナダに一人の新人が隊したはずだ。確か名前は………。
「三觜島みししま鈴音君だっけ。確かコードネームは治癒者キュアーだったような」
「よく覚えていらっしゃいますね」
そう言いながら右手に短刀を握っている。危ないからしまってほしい。
「苗字が三觜島ってことは、君は君の妹さんかい?」
「なぜ兄様のことを名前で馴れ馴れしく呼んでいるんですか? 殺しますよ?」
怖いこと言うなー。この子絶対ヤンデレだわ。
と、そんなどうでもいいことを考えながら、寫影は問う。
「ところでさっきの話なんだけど、君にさせたい仕事っていったい何なのかな?」
「それは私にもわかりません。ですが面倒事なのは間違いありません」
鈴音は確信したように言う。
まあ、それも當然だろうと寫影も納得する。
あのシルフィードの一員をこんな學園に寄越すぐらいなのだから、面倒事に決まっている。
「で? 君は彼を護衛するためにこの學園に潛しているのかな?」
そう、彼は服裝は言わずもがな制服である。
「その通りです。兄様は戦闘に関していえば何も言う必要はないですが、生活力が殘念すぎるに乏しいのです」
「あの見た目なのに?」
「あの見た目なのにです」
なるほど。つまり彼に生活関係でお手伝いをすれば好度が上がるのか。
そんなのことを考えていると、鈴音から殺意の籠った視線が突き刺さる。
「何か余計なことを考えてはいませんか?」
「別に何も考えてなけど」
笑顔でそう答えると、余計に殺意が強まった気がした。
「そうですか。この場で殺してやりたいところですが、あまり面倒事を起こすと兄様に迷がかかってしまう可能があるので」
そう言って鈴音は短刀をしまう。
「それでは私はここで。機會があればあなたは殺します」
そんな騒なことを言いながら鈴音はが言った方角へと足を向けたのだった。
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