《神から授かったチートスキル〜魅了〜を駆使して現代社會でたくさんの嫁を娶りたい!》青年編 第42話 溫泉旅行⑥
「とっても綺麗だわ……」
「そうですね〜〜」
私と氷堂先輩は外に出て、大空に輝く星を靜かに仰ぎ見ている。
今日ほど月が見當たらないことを嬉しく思った日ないだろう。
月のが有ればこの景観を壊すことになってしまうだろう。
夏とは思えない涼しい風を浴びながら、氷堂先輩が淹れたお茶を飲む。
そんな靜かで、心地よい空間を堪能している時、
「ねぇ。敦子ちゃん……すこし、昔話をしようかしら……」
「…………えぇ。いいですけど……」
「じゃあ、話しましょう。これは私が小さい時の話よ」
突然、靜寂を切り裂いて、氷堂先輩が話を始めた。
「私には昔大好きなお父さんとお母さんがいたの。私が小さい頃、うちは貧乏でお母さんとお父さんは日中の間は一生懸命に働いていた。仕事を終えて帰ってきたお父さんとお母さんは疲れていた様子があっても、私のことを可いがってくれた。私は貧乏でもお父さんとお母さんが自分をいてくれているだけで幸せだった…………でも、突然そんな幸せが消え去った。その原因はお父さんが仕事がうまく行った時だった……お父さんの給料が上がっていって、お母さんは家事に専念するようになった。最初の頃はおいしいご飯がいつも食べれるようになって、もっと幸せになったんだって思った。でも、それは僅かな時間で消え去ったわ。お父さんは貧乏だったものの顔はすっごくかっこよかったの。わたしも人っていわれるけど、お父さんに似たのよね。
お父さんはどんどん仕事で昇進していった。
その頃からお父さんの様子がおかしかった。
お父さんが夜遅くまで帰ってこなくなった。
帰ってきても、夜ご飯を一緒に食べることがなくなった。
お母さんもお父さんと同じ頃からおかしくなっていった。
お父さんが帰ってこないと、家にあるお酒を大量に飲んで、何かを忘れようと必死だった。
昔のわたしはなんでなのかわからないけど、今ならわかるわ……お父さんはイケメンでさらにお金も持つようになった……そんな人をの子たちがほっとくわけもなく、そしてお父さんもそんなに抗えるもなく、お父さんはお母さんとは別のの人と浮気をしていたわ。
お母さんもそんなお父さんに気付いてたけど、強くは言えなかったんだと思う……ここでお母さんが我慢せずに、お父さんにしっかりと不満を告げていたら、事は変わってたかもしれない。
その後もお父さんはの匂いをつけて、夜遅くに家に帰ってくる。お母さんはお酒をガブガブのんですぐ眠ってしまう。
まだ、これだったらマシだったかもしれない……またここで、問題が発生した。
これはわたしが原因でもあるの……今思えばあんなこという必要がなかったかもしれない……わたしは自分の誕生日の時にお父さんが帰ってこなくて、寂しくて言ってしまったの……
『なんでお父さんはそんなにいい匂いをつけて帰ってくるの?』って、お母さんはそんな私の言葉に酔いが覚めたようになって、私を見つめてた。
そして、その後わたしは気付いたら、床に転がっていたの。
わたしはお父さんに蹴飛ばされていたの。その夜はわたしは蹴られたところが痛くて泣きじゃくって、お母さんにあやされながら寢たのを覚えているわ。
お父さんも酔っていて、すぐ寢ちゃったから、お母さんも怒ることができなかったみたい。
そして、その日を機にお父さんがまた豹変したの。
原因はいろんなことがあったと思う。
まず、お父さんの仕事がうまくいかなくなった、そして、関係もうまくいかなくなった。
そんな狀況に置かれたお父さんは家で私とお母さんに暴力を振るうようになった。
昔は貧乏でも幸せだったのに、お父さんは昔とは別人になってしまった。
家に帰るとお父さんは不機嫌でお父さんの機嫌を悪くさせると、お父さんに蹴飛ばされて、を投げつけられて、怒鳴りつけられる。
そして、それが日々にエスカレートしていった。
そんなお父さんの様子にお母さんが溜めていた思いが発したんだと思う。
わたしがお父さんに蹴飛ばされて、さらに距離を詰められて毆られそうになった時、お母さんはまだっているお酒の瓶を持って、絶しながらお父さんの頭を思いっきり毆ったわ……お父さんからなのか、お酒が赤ワインだったのかは覚えてないけど、お父さんが倒れた頭から赤いものが流れていたわ……すごく生暖かいものが流れていた。
そのあとはわたしもおぼえていないわ……きっとあまりのショックに気を失ったんだと思う……わたしが次に気付いた時はおばあちゃんが目の前にいたの。
お母さんは? って、おばあちゃんに聞いたけどおばあちゃんは首をフリフリと振っていたわ……
その後、お母さんとお父さんの葬式が行われた……
お父さんの頭にはすこし凹んだ跡があった。
そして、お母さんの首には赤い締め付けられた跡があった。
お母さんは自殺してしまったんだってこの時すんなりとそう理解したわ。
わたしは最初の頃、こんな悲劇をけれることが出來ずに塞ぎ込んでいたわ……
おばあちゃんのところに預けられて、一日中部屋にいたわ。
こんな悲劇が起こったのはなんでだろうって……わたしは一つの結論を出したわ……お父さんが悪い……そして、お父さんにはもうわたしは苛立ちをぶつけることができなかった。
だってお父さんはこの世にいないもの……そして、わたしは怒りの矛先を男の子を向けるようになった……八つ當たりなのかもしれないけど……考え直したこともあったわ……
でも、大抵の男の子がの子をモノのように見ていることがわかったの。の子を嫌らしい目でみて、本當に不愉快だったわ……そして、そのうちにわたしの男嫌いが完全に私に定著したわ……男の子の中でも特に嫌いだったのはイケメンだった……イケメンを見るだけでお父さんを思い出してしまう……見るだけで不愉快になるの……相手がお父さんと違うのだとしても……
と、こんなじよ」
「…………」
いや、返す言葉が思いつかない……
「まぁ、今はおばあちゃんが良くしてくれたし、塞ぎ込んだ時期に面白い本と出會えたから、なんとか大丈夫になったってじなんだけどね……このことを話したのはあなたが初めてよ……」
俺が初めてだったのか……
なんだか……
どうすればいいのやら……
俺はとりあえず、彼の肩を寄せて抱こうとした。
しかしそんな俺の腕を払って、
「ねぇ。わたしは話したわよ! わたしの……だから、あなたのを教えて! あなたは一何者なの!?」
「えっ!?」
「あ! あんまり強引に聞くのはよくないわね……自分が話したからと言って……良ければあなたのを私に教えてくれないかしら?」
や、やばくないか?
彼は俺の不自然さに気付いてるのか?
俺が篤樹ってことは流石に気づいてないとおまうが……
どうすればいいんだ……
ここでを言わないと確実に攻略は遠のいてしまう。
彼の親度が上がらなかったのは疑う気持ちがどこかにあったからだ……
この不信を取り払わないと……
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